目立ちにくいマルチブラケット治療
2021年6月25日
こんにちは
目立ちにくい矯正治療といえば、インビザラインに代表されるマウスピース矯正がイメージされることでしょう。
反対に、目立つ矯正治療となるとマルチブラケット法を挙げざるを得ません。
どうしてマルチブラケット法が目立ってしまうのか。
それは、マルチブラケットの構造に理由があります。
ところが、比較的目立ちにくいマルチブラケット法も、最近開発されています。
マルチブラケットが目立つ理由
マルチブラケット法では、歯の表面にブラケットという金具をつけます。
これには前歯も奥歯も関係ありません。
そして、ブラケットに設けられている溝を通すように、弾性ワイヤーを装着します。
そのままでは弾性ワイヤーは外れてしまいますから、弾性ワイヤーが外れないようにブラケットにワイヤーやゴムを使って固着します。
こうした構造になっているために、マルチブラケット法は目立ってしまうのです。
目立ちにくく工夫されたマルチブラケット材料
一般的なマルチブラケット法では、ブラケットや弾性ワイヤーの金属色がどうしても目立つ原因になってしまいます。
そこで、ブラケットの素材を金属からセラミックに変えたセラミックブラケットが開発されました。
セラミックは、歯の色ににた白色ですので、金属製の従来型のブラケットと比べると格段に目立ちにくくなっています。
もちろん、歯の表面につけるわけですから、影の部分が生じるのは避けられません。
次にご紹介するのは、弾性ワイヤーです。
ワイヤーも、細いながらも金属色ですからどうしても目立ってしまいます。
そこで、白くコーティングされた弾性ワイヤーが開発されました。
白いセラミックブラケットと白いコーティングワイヤーを組み合わせると、従来型のマルチブラケット法とは比べられないほどに目立ちにくくなります。
裏側矯正
歯の表側にブラケットをつけるから目立ってしまうのだから、裏側につけたらどうかということで、歯の裏側に矯正装置をつけるマルチブラケット法が開発されました。
この方法なら、お口の中をのぞき込まない限り、見えることはありません。

虫歯と矯正治療
2021年6月22日
こんにちは
歯並びが悪いと、食べ物が詰まりやすかったり、歯磨きがしにくかったりしますから、虫歯や歯周病のリスクが高まります。
矯正治療の効果としては、見た目が良くなることはもちろんですが、食べ物が詰まりにくくしたり、歯磨きをしやすくしたりする効果も期待できます。
では、食べ物が詰まったり、歯磨きがしにくかったりしたために、虫歯になった場合、矯正治療はできるのでしょうか。
虫歯と矯正治療
結論から申しますと、虫歯があると矯正治療はできません。
矯正治療をすると、矯正装置がお口に入ります。
そのため、矯正治療をしていないとき以上に、歯磨きがしにくくなります。
つまり、矯正治療が虫歯をさらに悪化させる要因となってしまうわけです。
確かに、インビザラインのようなマウスピース型の矯正装置であれば自由に取り外すことができますから、歯磨きをするとき外せば普通に歯磨きはできます。
しかし、マウスピースを装着している間、歯の表面は唾液の流れが遮断されます。
唾液には、汚れを洗い流す洗浄作用とともに、虫歯になった歯を修復する再石灰化作用があります。
唾液が作用しない歯の表面は、再石灰化作用が十分作用しません。
また、虫歯の穴とマウスピースの隙間にプラークが発生し、虫歯がさらに進行する可能性も高いです。
こうした理由から虫歯になっていると、矯正治療ができなくなるのです。
虫歯だけじゃない
矯正治療ができなくなる原因は、実は虫歯だけとは限りません。
歯周病も同じく、矯正治療の大敵です。
歯周病になると、歯肉だけでなく歯を支えている歯槽骨という骨がダメージを受けます。
進行した歯周病にかかった歯がぐらぐらと動いてくるのは、骨がダメージを受けて減ってくるためです。
歯をいい位置に良好に移動させるためには、骨がしっかりとしていなければなりません。
歯を移動させてしまった結果、歯が抜けてしまったのでは話になりませんよね。
ですから、歯周病になっていた場合、矯正治療は受けられなくなるのです。

矯正治療中に気をつけておきたい食べ物
2021年6月18日
こんにちは
歯並びをきれいに整えるために、歯の表面にブラケットを弾性ワイヤーでつけるマルチブラケット法ですが、矯正治療といえばイメージされるほどオーソドックスな治療法です。
そのため、矯正治療を開始した後、今までと同じように普通に食べ物を食べられると思っている方も多いです。
確かに、矯正装置に慣れてくれば、食べるのも比較的スムーズになりますが、矯正治療を始めた頃、つまり慣れていない時期であれば、噛みにくく感じるものです。
そこで、今回は矯正治療中に気をつけて欲しい食べ物についてお話しします。
矯正装置にくっつきやすい食べ物
まずは、矯正装置にくっつきやすい食べ物です。
お餅やガムがブラケットなどにくっつきやすいのは想像しやすいでしょう。
お餅が歯と歯の間に挟まったことがあるという方も多いのではありませんか?
実は矯正装置にくっつきやすいのはお餅やガムだけではありません。
アメやグミも意外とくっつきやすい傾向があります。
矯正装置に挟まりやすい食べ物
矯正装置に挟まりやすい食べ物は、お餅やガム、グミなどはもちろんですが、お肉やお魚も意外と挟まりやすいものです。
お寿司も挟まることが多いので気をつけてください。
弾性ワイヤーに絡まりやすい食べ物
長い弾性ワイヤーに絡まりやすい食べ物は、細長い食べ物です。
ラーメンやうどん、おそば、そうめんが代表的ですが、春雨やパスタも忘れてはいけません。
また、レタスやキャベツなどの葉物、つまり繊維質が豊富な野菜類も意外と絡まります。
食べにくい食べ物
ピーナッツ、くるみなどのナッツ類やスルメなどは、噛むのが難しく、なかなか食べにくい傾向があります。
スルメが噛みにくいのは想像しやすいところですが、その他キュウリやニンジンなどの根菜類も噛みにくくなります。
おせんべいが食べにくくなる人もいます。
虫歯の原因になりかねない食べ物
矯正装置が入ると、歯磨きがしにくくなる上に、歯の表面にプラークがつきやすくなりますから、虫歯のリスクが高まります。
チョコレートやクッキーなどの糖分を豊富に含むお菓子類は、矯正治療をしていなくても虫歯のリスクを高めます。
矯正装置が入っているとさらにリスクが高まることは、想像に難くないことでしょう。

矯正が終わったら始まる保定処置
2021年6月15日
こんにちは
何年にも及ぶ矯正治療がようやく終わり、歯並びがきれいな状態になったと思ったら始まるのが、保定です。
歯並びがきれいになったら、矯正治療はおわりじゃないの?
今回は、そんなもっともな疑問にお答えしようと思います。
治療を終えた後も動き続ける歯
ヒトに限らず、生物は生まれてから死ぬまでの間、常にその臓器、器官、細胞が変化し続けています。
成人になるまではプラス成長、成人になって以降はマイナス成長という違いはありますが。
臓器や器官の変化は、それぞれ異なり、特定の変化を起こしていきます。
実は、歯や歯並び、歯を支えている歯周組織も同じです。
隣り合う歯や噛み合う歯や歯周組織の変化だけではありません。
舌や頬、唇などのお口の周囲組織の影響も受けて、ヒトが生命を全うするまで歯の移動を繰り返していきます。
「昔はこんな歯並びじゃなかったと思うんだけどなぁ」、「こんなところに隙間なんかあったっけ?」となるのは、このためです。
こう考えると、矯正治療で整えられた歯並びが、修正そのままの状態で保たれるわけではないことがわかってもらえるのではないでしょうか。
保定は不確実
保定とは、矯正治療を終えて、きれいな状態になった歯並びが元の歯並びに戻らないようにする処置です。
そこで、きれいな歯並びを確実に維持するために、保定装置をいうものをお口に装着します。
保定装置の働きによって、新しい歯の位置、噛み合わせにお口を慣れさせていきます。
残念ながら、困ったことに歯を含めたお口のすべての組織が、保定をしたからといって新しいきれいな歯並びに完全に馴染むとは限りません。
保定は、意外と不確実なものです。
保定に必要な期間
一般的には、矯正治療に要した時間と同じくらいの時間、保定を続けなければならないと言われています。
しかし、中には2年近くも保定を行っていたのに、後戻りを起こしたケースもあれば、2ヶ月と経たない間に歯並びが安定化したケースもあるようです。
どうやら保定の効果が不確実なのと同じくらい、保定の期間も不確実なようです。

どんな歯列不正もインビザラインで対応できるのか
2021年6月11日
こんにちは
矯正治療を受けると、どんな歯並びであっても、きれいな歯並びに整えられるとイメージされる方も多いでしょう。
ところが、マウスピースで歯並びを整えるインビザラインには手に余る歯列不正があります。
今日は、インビザラインで治療できる歯列不正についてお話しします。
幅広い歯列不正に対応できるマルチブラケット法
マルチブラケット法という矯正治療を選べば、その通りです。
マルチブラケット法とは、歯の表面につけたブラケットに通した弾性ワイヤーの働きで、歯を移動させていく矯正治療法です。
マルチブラケット法なら、普通の歯列不正から、骨切り手術を併用しなければならないような高度な歯列不正まで幅広く対応できます。
実際、骨切り手術の手術前の矯正治療はマルチブラケット法で行われています。
インビザラインでは難しい歯列不正とは
インビザラインは、マウスピースを使って歯を移動させていきます。
そのため、歯を上下方向に移動させるのが難しいです。
例えば、埋まっている歯を引っ張り出す牽引という歯の移動です。
埋まっている歯にはマウスピースはかけられないからです。
同様に、飛び出した歯を低く抑える圧下という歯の移動も苦手です。
飛び出した歯に力を加えようとすると、マウスピースが浮き上がってしまうため、力をかけにくいからです。
このように上下方向に歯を移動させることは、インビザラインでは困難です。
術前矯正も難しい
先ほど、骨切り手術の前の矯正治療をマルチブラケット法で行う話をしました。
では、インビザラインで手術前の矯正治療を行えるのでしょうか。
答えは、否です。
骨切り手術をした後、上下の噛み合わせを合わせるために、顎間固定という処置を行います。
顎間固定は、マルチブラケット法でしか行えません。
手術後もしばらくの間、矯正装置は使い続けなければなりませんが、マウスピースでは上下顎の歯並びを噛み合わせることができないので、この点からもインビザラインは使えません。

ご自身での管理が欠かせないインビザライン
2021年6月8日
こんにちは
インビザラインは、マウスピースで歯を移動させる矯正治療法です。
矯正装置をつけていても目立つことがないので一見しても気が付かれない、食事や歯磨きのときにご自身で取り外せますから日常生活に影響しにくいなど、インビザラインには多くのメリットがあります。
しかし、メリットがあるものにはデメリットもあるもの。
インビザラインも同じで、やはりデメリットがないわけではありません。
インビザラインのデメリットのひとつは、ご自身でマウスピースを管理しなければならないということです。
歯科医師が歯を移動させるマルチブラケット
歯の表面にブラケットという金具をつけて、弾性ワイヤーの働きで歯並びを整えていくマルチブラケットという矯正治療は、歯科医院で歯科医師がワイヤーを調整して、少しずつ歯を移動させていきます。
こちらは、歯科医院に通院するという点で、ご自身の協力がとても大切ですが、通院さえしていただければ、歯の移動に関しては歯科医師の手により、適した位置になるように動かしていきます。
ご自身でマウスピースを交換して歯を移動させるインビザライン
インビザラインは、マウスピースで歯を移動させる矯正治療です。
マウスピースは、歯科医師が入れたり外したりするわけではありません。
マウスピースを入れたり外したりするのは、治療を受けているご自身です。
ですから、インビザラインはご自身の手で歯を移動させているとも言えます。
インビザラインで効果的に歯を移動させるためには、少なくとも1日あたり20時間以上つけなければ効果が得られないと、アラインテクノロジー社は説明しています。
もし、食事や歯磨きの後マウスピースを入れるのを忘れていたりすると、歯の移動に必要とするだけの時間マウスピースをつけられないこともあるかもしれません。
また、マウスピース自体も定期的に新しいものに随時交換していく必要があります。
新しいマウスピースに交換するのを忘れていても、やはり歯を移動させるのが難しくなります。
すなわち、ご自身で適切にマウスピースを管理しないと、予定通りに矯正治療が進まなくなってしまうわけで、これがインビザラインのデメリットのひとつと言える所以です。

矯正(抜歯か非抜歯か)
2021年6月4日
こんにちは
矯正歯科治療で、抜歯する必要があるケースがあることはご存知でしょうか。
歯並びをきれいに整える治療であるはずの矯正歯科治療で、抜歯すると言うとなんだか矛盾しているように思われる方もおられるかもしれません。
しかし、歯並びをきれいに整えるという目的のためには、敢えて歯を抜かなければならないこともあるのが現実です。
もちろん、必ず歯を抜かなければならないというわけではありません。
今回は、矯正歯科治療での抜歯についてお話しします。
抜歯が必要となる理由
どうして、歯並びをきれいにするために抜歯が必要になるのでしょうか。
その理由は、歯の大きさ(幅)と、顎の骨の奥行きのバランスにあります。
一般的に、日本人の歯は、欧米人と比べると大きいと言われています。
しかも、頭の骨は前後に短い傾向もあります。
そのため、歯のすべてをきれいに収めようとすると、顎の骨の奥行きが足りなくなります。
日本人の3人に1人ほどと、欧米人よりも高い割合で乱杭歯が見られるのはこれが理由と言われています。
歯をきれいに収めようとしても、収めるスペースが足りないので、やむを得ず、歯を抜いてスペースを確保するわけです。
親知らずの抜歯
では、どの歯を抜いてスペースを確保すればいいのでしょうか。
ひとつは、親知らずです。
親知らずを抜いて、そのスペースを利用して歯並びをきれいにするという考え方です。
親知らずは、まっすぐ生えていることが少ないので、理想的に思われますが、親知らずを抜いてもその手前の大臼歯という奥歯を後ろに移動させることはとても難しく、1mmほどしか動かないという研究結果もあります。
そのため、親知らずだけ抜いても、歯並びのスペースの確保にはつながらないようです。
小臼歯の抜歯
最も多いのが、第一小臼歯という前から4番目の歯を抜いて、スペースを確保するケースです。
この歯は、前歯と奥歯の境界付近にあり、前歯をきれいに整えるのにとても都合が良い場所に生えています。
もちろん、奥歯の歯並びの凸凹を治すのにも適しています。
そのため、小臼歯を抜歯して、歯を並べるためのスペースを確保することが多いのです。

矯正(マルチブラケット法で奥歯にバンドをつける理由)
2021年6月1日
こんにちは
マルチブラケット法で歯並びを整える際、奥歯だけはブラケットという金具ではなく、チューブをつけた金属製のバンドにしてあります。
どうして奥歯もブラケットにしないのか、不思議に思われる方も多いことでしょう。
矯正歯科治療では、歯並びをきれいな整えるために歯を移動させるわけですが、歯の移動と切っても切れないとても大切なポイントがあります。
それは、歯の固定です。
移動と固定とは、一見すると矛盾するように感じられるかもしれませんが、歯の固定は歯を移動させるために欠かせません。
奥歯にバンドを巻く理由は、この歯の固定に関係しています。
今回は、奥歯にバンドをつける理由である歯の固定についてお話しします。
歯の固定が大切な理由
身近な例で言うと、走るときと泳ぐときをイメージするとわかりやすいかもしれません。
走るとき、地面をけって前に走りますよね。
泳ぐときは、水をかいて泳ぎます。
走るのと泳ぐのを比べると、走るときの方が、しっかりと前に進めます。
地面は足の力をしっかりと受け止めてくれますが、水はそうではなく、手や足からの力をしっかり受け止められないので、手や足からの力の何割かが逃げてしまいます。
これこそが、固定力の違いです。
地面の固定力は高いけれど、水の固定力は弱い、この違いが移動力の差となって現れます。
歯の移動も同じで、しっかりと移動させようと思うと、固定源となる歯が必要となるわけです。
歯の固定の方法(バンド)
歯を移動させるに当たって、効率的に歯を移動させるためには、しっかりとした固定力を得られる歯が必要となります。
歯根の太い歯、多い歯ほど、移動させることは困難です。
そこで、矯正歯科治療では、そうした歯を固定源として利用し、残りの歯を移動させます。
具体的には、大臼歯という大きな奥歯です。
マルチブラケット法での矯正歯科治療で、大臼歯にブラケットを設けず、バンドとワイヤーを通すチューブをつけているのは、このためです。
言い方を変えれば、移動させることが難しい奥歯は、移動させるのではなく、固定力として利用することで、残りの歯を移動させて、全体の歯並びをきれいにしようと言うのが、マルチブラケット法のコンセプトと言えます。
