三軒茶屋デンタルデザイン歯列矯正歯科を運営する医療法人D.D.Orthoが監修しています。
矯正(マルチブラケット法で奥歯にバンドをつける理由)
2021年6月1日
こんにちは
マルチブラケット法という矯正治療では、奥歯を固定させ、その他の歯を移動させようとします。
そのため、奥歯だけは、ブラケットという金具ではなく、チューブをつけた金属製のバンドにしてあります。
■歯の固定が大切な理由
身近な例で言うと、走るときと泳ぐときをイメージするとわかりやすいかもしれません。
走るとき、地面をけって前に走りますよね。
泳ぐときは、水をかいて泳ぎます。
走るのと泳ぐのを比べると、走るときの方が、しっかりと前に進めます。
地面は足の力をしっかりと受け止めてくれますが、水はそうではなく、手や足からの力をしっかり受け止められないので、手や足からの力の何割かが逃げてしまいます。
これこそが、固定力の違いです。
地面の固定力は高いけれど、水の固定力は弱い、この違いが移動力の差となって現れます。
歯の移動も同じで、しっかりと移動させようと思うと、固定源となる歯が必要となるわけです。
■歯の固定の方法(バンド)
歯を移動させるに当たって、効率的に歯を移動させるためには、しっかりとした固定力を得られる歯が必要となります。
歯根の太い歯、多い歯ほど、移動させることは困難です。
そこで、矯正歯科治療では、そうした歯を固定源として利用し、残りの歯を移動させます。
具体的には、大臼歯という大きな奥歯です。
マルチブラケット法での矯正歯科治療で、大臼歯にブラケットを設けず、バンドとワイヤーを通すチューブをつけているのは、このためです。
言い方を変えれば、移動させることが難しい奥歯は、移動させるのではなく、固定力として利用することで、残りの歯を移動させて、全体の歯並びをきれいにしようと言うのが、マルチブラケット法のコンセプトと言えます。

奥歯は動かさず他の歯を移動させる