歯列矯正(ゴムかけの役割・効果)
2021年5月28日
今回は、マルチブラケット法でのエラスティック (elastics) (弾力ゴム) の役割などについてお話しします。
マルチブラケット法という矯正歯科治療では、ワイヤーに加え、ゴムも使って歯を移動させます。
このゴムのことを弾力ゴム、もしくはエラスティック (elastics) とよんでいます。
■マルチブラケットで用いられるエラスティックについて
マルチブラケットで用いられるエラスティック (elastics) (弾力ゴム) には、天然ゴムで作られたゴムリングと、ポリウレタンゴムなどの合成ゴムで作られた小リングやチェーンタイプゴムなどいろいろな種類があります。
ワイヤーをブラケットに固定する際には、細いワイヤーを用いることもありますが、小リングを使うこともあります。
すなわち、小リングはワイヤーをブラケットに固定するためのエラスティックです。
その他のエラスティックは、歯を移動させるために使います。
■エラスティックの掛け方
エラスティック (elastics) (弾力ゴム) には、垂直ゴム、斜めゴム、三角ゴム、四角ゴムなど掛け方によっていろいろな名称がつけられています。
垂直ゴム以外のエラスティックでは、歯に対して、斜め上方や斜め下方への矯正力が発揮されます。
エラスティックは、一箇所だけでなく、2〜3箇所に同時にかけることも珍しくありません。
■エラスティックの使い方
エラスティック (elastics) (弾力ゴム) の使用目的として多いのが、歯を引っ張る牽引という歯の移動です。
例えば、第一小臼歯という前から数えて4番目の歯を抜歯した後にできたスペースに、その手前の犬歯を移動させて隙間をなくす場合です。
実際、ワイヤーの働きだけで、歯を前後に動かすのは困難です。
そこで、ワイヤーの弾力性に弾力ゴムの作用を組み合わせて、歯を移動させています。
上顎と下顎の間に掛けた弾力ゴムでは、歯を引っ張り出す挺出という力が加わることがありますので、注意が必要です。