金属アレルギーの方も安心して受けられるマウスピース矯正
2021年10月29日
こんにちは
金属アレルギーというアレルギー症状についてお聞きになったことありますか?
金属アレルギーとは、ある特定の金属が原因で起こるアレルギー症状のことです。
したがって、アレルギー反応を示すような金属を使った歯科治療は受けられなくなります。
それは、矯正治療も例外ではないのですが、マウスピース矯正ならそうではありません。
今回は、金属アレルギーの方も安心して受けていただけるインビザライン・マウスピース矯正についてご紹介します。
■金属アレルギーとは
まずは、金属アレルギーについてご説明します。
金属アレルギーとは、先ほどお話しした通り、ある特定の金属が原因でおこるアレルギーのことです。
ひとことでアレルギーといっても、実はいろいろなタイプがあります。
その中で、金属アレルギーは、少々難しい言葉になりますが、Ⅳ型の接触アレルギーに分類されます。
Ⅳ型のアレルギーは遅延型アレルギーとも言われ、接触から24時間から72時間も経ってから症状が現れる性質をもっています。
○金属アレルギーは、金属自体に反応しているわけではない
金属アレルギーの特徴は、”金属”のアレルギーといいながらも、実はヒトの体は、金属そのものに対してアレルギー反応を起こさないという点にあります。
例えば、食物アレルギーにしても、花粉アレルギーにしても、蕎麦粉にアレルギーがあるなら、蕎麦粉そのものにアレルギーを起こしますし、スギ花粉にアレルギーならスギ花粉に対してアレルギー反応を示します。
しかし、金属アレルギーはそうではないのです。
金属アレルギーは、金属から溶け出した金属のイオンがタンパク質と結合して、アレルギー源に変化するのです。
この金属イオンとタンパク質が結合したものに対して、免疫細胞が反応することでアレルギー症状が起こります。
食物アレルギーも花粉アレルギーも、このようなややこしいプロセスを経ることなく、直接アレルギーの症状を引き起こしているわけで、金属アレルギーの発生プロセスは、全く異なるわけです。
○金属アレルギーの症状
金属アレルギーの症状としては、アレルギー症状を引き起こす金属と触れ合ったところに起こるただれや赤みなどの接触性皮膚炎や粘膜炎が代表的です。
例えば、歯科用の金属が金属アレルギーの原因となっている場合は、口内炎や舌炎を起こしたりしますし、掌蹠膿疱症という手足を中心とした皮膚の難治性の病気を引き起こしたりもします。

インビザラインは金属アレルギーの心配がない
■マウスピース矯正なら金属アレルギーも大丈夫
当院で人気が高まっているインビザラインをはじめとするマウスピース矯正は、ブラケットやワイヤーを使わず、マウスピースを矯正装置として利用しています。
インビザラインのマウスピースは、透明度が高く、厚みも0.5ミリというとても薄い素材で作られています。
インビザラインが目立ちにくいのはこのポリウレタン製のマウスピースのおかげです。
ポリウレタンって聞いたことないよという方もいらっしゃるかもしれません。
実はポリウレタンは、インナーなどの衣類やカバンなどから、住宅用の防音材や断熱材としても使われているとても身近なプラスチック素材です。
したがって、とても安全性の高い素材ですから、安心して使っていただけます。
このようにインビザラインのマウスピースはプラスチックで作られていますから、金属素材を全く使っていません。
もし、いずれかの歯科用金属に何らかのアレルギーがある方も、インビザラインなら安心して受けていただけます。
■ワイヤー矯正の場合は?
インビザラインなどのマウスピース矯正が開発される前は、ブラケットとワイヤーを使ったマルチブラケット法という矯正治療法が主流でした。
ブラケットとは、歯の表面につけられている金具で、多くの場合、金属製です。
セラミックブラケットというセラミック製の白くて目立ちにくいブラケットでさえ、完全に金属を排除しているわけではなく、ブラケットの一部にはコバルト合金などの金属が使われています。
固定源となる大臼歯という奥歯に装着するバンドも金属製です。
また、ワイヤーについては、形状記憶合金を使って作られており、やはり金属製です。
しかも、ブラケットとワイヤーでは、使われている合金の成分に違いがあります。
いろいろな種類の金属を使って矯正治療にあたることから、金属アレルギーの原因となる金属を含んでいる可能性が高くなっています。
そのため、もし、ブラケットやワイヤーの素材に含まれる金属成分に金属アレルギーがある場合、マルチブラケット法での矯正治療はとても難しいものになります。
■マウスピース矯正とワイヤー矯正を比べてみよう
金属アレルギーという視点から、マウスピース矯正とワイヤー矯正を比べてみますと、金属素材を使っていないマウスピース矯正の安全性の高さが理解できます。
確かに、マウスピース矯正といえども、マウスピース単体での矯正治療が難しい場合、アタッチメントや金属製のアンカースクリューを組み合わせることもあります。
アタッチメントとは歯の表面につける突起のようなもの、アンカースクリューは顎の骨に設置する細いネジのようなものです。
アタッチメントをつけるとインビザラインのマウスピースの密着度を高めるなどの効果が、アンカースクリューをつけると奥歯を後ろに移動させる効果などが得られ、矯正治療がより効率的に進められます。
アタッチメントにはいろいろなタイプがありますが、いずれもコンポジットレジンという歯科治療でよく使われるプラスチックで作られています。
また、アンカースクリューは金属ですが、金属アレルギーをほとんど起こさない生体親和性の高いチタニウム合金で作られています。
そのため、アタッチメントやアンカースクリューを使っても、一般的な矯正治療であるワイヤー矯正と比べて、インビザラインは金属アレルギーに対する安全性がとても高いことがわかっていただけると思います。
そのほかにも、例えばポリウレタン製のマウスピースがとても薄く、しかも透明度が高いことによる目立ちにくさや、食事や歯磨きのときは、ご自身の手で取り外しが可能であるなどの利点もあります。
こうした利点は、ワイヤー矯正では得られないものです。
通院回数という点で比べてみても、インビザラインは将来の交換用マウスピースを前もってお渡ししておくことができますから、ワイヤー矯正と比べて通院回数を減らすことも可能です。
最近、インビザラインによるマウスピース矯正の人気が高まっているのも、うなずけますね。
■ワンランク上の矯正治療
ワイヤー矯正と比べて、マウスピース矯正は担当医の技術力はそれほど問いません。
それは簡単なケースに限定されます。
難しいケースとして他院での治療のリカバリー、他院で断られた歯並び全体の矯正があります。
当院はインビザライン「ダイヤモンド」認定医院の認定を受けており、担当医が矯正治療に関しての知識や経験が豊富なため対応できるわけです。
より精度の高い治療計画を微調整も加えて対応しております。
■当院からのお願い
今回は、矯正治療と金属アレルギーについてお話ししました。
インビザラインをご希望の方については、金属アレルギーがあってもインビザラインを使った矯正治療なら、ほとんど影響を受けません。
したがって、金属アレルギーがあっても、ほとんどの方に受けていただくことが可能です。
ですが、受診される方にアレルギーがあるかどうかは、私たち歯科医師にとってはとても重要な情報です。
目標と診断
2021年10月22日
こんにちは
矯正治療に限らず、医療行為には治療と目標というものがあります。
目標がなければ、治療が成功したかどうか決められませんし、何よりどのように治療を進めていくのか、どのような状態になれば治療が終了となるのかも決められなくなってしまいます。
歯科医の担当分野でいえば、虫歯治療なら『痛みをなくすこと』、歯周病の治療なら『腫れや揺れをなくすこと』といったところでしょうか。
もちろん、被せ物をセットして虫歯で失われた歯の形を回復するというのも目標でしょう。
では、矯正治療の目標は一体なんでしょうか。
『歯並びをきれいに整えること』、これはすぐに思いつくと思いますが、実はこれだけではありません。
■矯正治療での治療目標
矯正治療に先立って、いろいろな検査や診査を受けていただき、その結果を分析します。
問題となる異常箇所が、歯並びだけなのか、顎の骨も含めたものなのか、両者の関係性も含めて見出し、どの部位を治療すべきか判断します。
この診療行為を治療目標の確立とよんでいます。
治療目標となる異常としては、『歯並びや噛み合わせの異常』『上顎骨や下顎骨の骨格の異常』『横顔の異常』『お口に関係するいろいろな組織の異常』の4つが挙げられ、それぞれの改善が目標となります。
矯正治療というと歯並びをきれいに整える治療というイメージがありますが、実は、単に歯並びを良くするだけにとどまらず、お口全体の組織を良くしようというコンセプトで行われていることがわかっていただけたのではないでしょうか。
だからこそ、矯正治療は誰でもできる治療ではないのです。
普通の歯科医院でも矯正治療を手がけているところは数多くありますが、当院のように矯正歯科治療を専門に行っているところの方が、おすすめとされる背景にはこのように矯正治療の治療目標がとても複雑であるという事情があります。
■矯正歯科治療での診断はちょっと特殊
矯正歯科治療においては、『病気や病状を判断』して『病名を決定する』だけでは十分とはいえません。
矯正歯科を受診する方の病名は、『不正咬合』『歯列不正』ですが、これだけで治療方針は決定できないからです。
そのため、矯正歯科治療の診断では、単に病気や病状を判断するにとどまらず、治療方針の決定に関係する範囲まで広く判断することが求められています。
また、患者さんのお口やお顔の形に加え、『食べ物を噛む』『言葉を発する』などのお口の機能の異常について、どこまでを正常とするのか、言い方を変えると、どの程度を病気として捉えるのかも問題となります。
しかも困ったことに、現代では、矯正歯科治療に対するニーズは年々多様化の一途をたどっています。
単に歯並びをきれいに整え、噛み合わせを適切にするだけではダメで、お顔を整える、さらには横顔もきれいにしたいというご希望を叶えられるようにしなければならなくなっています。
加えて、矯正治療の方法も、目立ちにくい方法や治療期間を短くする方法が望まれるようになってきました。
当院でも人気の高いインビザラインなどのマウスピース矯正が誕生したのは、こうしたニーズがあったからです。
そのため、治療前に行う診断の持つポテンシャルは、大きくなる一方です。
このような特殊性をはらんでいるのが、矯正歯科での診断なのです。
現在では、矯正治療前のさまざまな検査や診査を経て診断をくだし、それに基づいて治療前の状態を分類して評価するようにしています。

矯正歯科治療の診断には幅広い判断が求められる
■不正咬合の分類
歯並びが整っていない状態を、不正咬合、もしくは歯列不正といいます。
いろいろな治療前の検査や診査を経て、最初に歯並びの状態を診断します。
不正咬合の分類法としては、現在、一般的にはアングルの分類という分類法が用いられています。
○アングルの分類
アングルとは、角度という意味ではありません。
この分類方法を考案したアメリカ人歯科医師の名前エドワード・アングル博士に由来しています。
アングル博士は、今では近代的な矯正治療の父とも言われているほど矯正歯科治療の歴史に大きな貢献を果たした人物です。
このアングル博士が、100年以上前に考案した不正咬合の分類が、アングルの分類です。
アングルの分類では、上顎と下顎の歯並びの前後的な関係性を重視しています。
その上、アングルの分類を評価するときには、特別な計測器具はいりません。
歯型をとって作った石膏模型があれば十分です。
しかも、評価の方法もとても簡単で、矯正歯科治療のベテランでなくてもできる優れた方法です。
そのため、実際の矯正治療の現場でもとても重宝しています。
○アングルの分類の実際
アングルの分類は、上顎と下顎の第一大臼歯、いわゆる6歳臼歯の前後的な位置関係を基準にして、1〜3級に分類して判断します。
1級は、上顎と下顎の第一大臼歯の噛み合わせが正常な歯並びです。
2級は、下顎の第一大臼歯が上顎の第一大臼歯に対して後ろに下がっている噛み合わせです。
上顎前突(出っ歯)がこれにあたります。
ここから2級はさらに1類と2類に分類され、1類は上顎の前歯が前方に傾いている歯並び、2類は上顎の前歯が後ろに傾いている歯並びになります。
3級は、下顎の第一大臼歯が上顎の第一大臼歯前に対して前側で噛み合っていることで、下顎前突や受け口として知られている噛み合わせになります。
○アングルの分類の問題点
とても優れて、100年以上にわたって矯正治療の診断の基礎となっているアングルの分類ですが、問題がないわけではありません。
それは、アングルの分類の基準ともなっている第一大臼歯にあります。
実は、第一大臼歯が本来の位置になければ、この分類法は正しく評価しにくくなるのです。
そのため、第一大臼歯が本来の位置にあるのかをまず評価しなくてはなりません。
特に、第一大臼歯より前に生えているいずれかの歯に大きな虫歯がある場合や、歯がなくなっているような場合は、本来の位置からずれている可能性が高いため、要注意とされます。
左右の第一大臼歯の位置が前後的にずれているときや、必要以上に前に向かって傾いているときもずれが疑われます。
もし、第一大臼歯の位置がおかしいと思われる場合は、上顎と下顎の犬歯や小臼歯(第一大臼歯の前の歯)の位置関係も考慮に入れて判断します。
■顎骨の異常の改善
顎骨の異常には、①上顎骨の形や位置の異常、②下顎骨の形や位置の異常、③上顎骨と下顎骨の垂直的な位置関係の異常の3つがあり、それぞれの改善が治療目標となります。
○上顎骨の形や位置の異常
上顎骨の形の異常の例としては、骨格性の上顎前突症が挙げられます。
これは、上顎の前歯が傾くなどして、下顎の前歯より前に出ているような上顎前突ではなく、上顎骨自体が前方に成長しすぎたことで生じる上顎前突症です。
このような症例では、上顎と下顎の歯並びだけを整えても異常は解決できないので、骨格そのものも治療の対象となります。
○下顎骨の形や位置の異常
下顎骨の形の異常は、骨格性の下顎前突症が代表的です。
下顎骨自体が上顎骨よりも過度に前に向かって大きくなりすぎている不正咬合です。
上顎骨のそれと同じく、歯並びだけをよくしようとしても問題は解決しないので、骨格自体の治療も必要です。
○上顎骨と下顎骨の垂直的な位置関係の異常
上顎骨や下顎骨の骨格異常というと、先にご紹介した前方へ位置異常がイメージしやすいことでしょう。
ところが、顎の骨格は3次元のものですから、上下方向への位置異常もあります。
具体的には、開咬でよくみられる下顎骨の前上方へ過度な成長発育です。
やはり、上顎骨と下顎骨の治療も平行して行う必要があります。
■横顔の異常
横顔は、上唇と下唇の位置関係を基準にして異常があるかどうかを判断します。
具体的には、鼻の先端と下顎の先を結ぶラインを引いて、このラインに対して、上唇と下唇がどのような位置にあるのかを判断します。
なお、このラインをE-ラインとよんでいます。
E -ラインと上唇、下唇の関係性については、時代とともに変化しています。
長期間の矯正治療も治療の目標が決まっているとわかりやすいですよね。
ぜひ三軒茶屋デンタルデザイン歯列矯正歯科へご相談ください。

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部分矯正について
2021年10月15日
こんにちは!
世田谷区の三軒茶屋デンタルデザイン歯列矯正歯科です。
矯正というと、歯の全体にワイヤーをつけているというイメージをお持ちの方が多くいら
っしゃると思います。
しかし歯並びについてのお悩みは、大なり小なり、様々ですよね…
中でも気になる歯の部分だけにピンポイントでアプローチする部分矯正をご存知でしょう
か?
「前歯が少し出ているのが気になる」
「他の歯並びは綺麗なのに、ここの一本だけが引っ込んでいるせいで歯並びが良く見えな
い」
「前歯のすきっ歯だけが気になって仕方がない…」
など…
最近で多いのは、「リモートワークになったからあまり人と合わないので今こそ部分矯正を
やってみたい」「コロナ禍のマスク生活が日常化しているので矯正しても良いかな」などと、
今までも矯正に興味はあったものの、人とたくさん会うから今はちょっと…とためらって
いた方も、現在流行している新型コロナウィルスの影響でリモートワークが定着し、人と会
う機会が減っている今こそ矯正への意識も向上しているようです。
特に人から見られる前歯はとても大事で、前歯の歯並びが悪い、もしくは一本だけ引っ込ん
でいる、というのはなんと言ってもお顔の第一印象がかなり変わってきます。
近年では、審美歯科の注目度もかなり上がってきております。
このような理由から、お顔の印象を変えたいと前歯だけでも「早く・安く・目立ちにくく・
きれいに」できる部分矯正にニーズが高まっているのです。
さて、一般的な部分矯正とはどのような治療なのでしょうか。
部分矯正はプチ矯正、小矯正とも呼ばれていて、適応症例が限定されるということもありま
す。つまり、すべての症例では適応できないということですが、適応症例であれば、すべて
の歯を矯正するよりも「低価格」「短期間」で治療が可能になります。
■部分矯正の種類について
○ワイヤーによる部分矯正(表側・裏側)
ワイヤーによる部分矯正とは、歯にブラケットと呼ばれる矯正のための装置を歯の表面に
取り付けた後に、そこにワイヤーを通し、歯を適切な方向に動かしていく方法です。症例に
よって、もしくは患者様のご希望によっては歯の裏側にワイヤーをつける「裏側部分矯正」
というやり方もあります。
このワイヤーによる方法が矯正で一番ポピュラーなもので、昔からある矯正治療の方法に
なります。
ワイヤーによる矯正治療が終了すると、ワイヤーの代わりにリテーナーという保定装置を
装着します。この装置を付けることで、矯正した歯が元の位置に戻る(後戻り)のを防ぎま
す。
○適応可能なマウスピースによる矯正
適応可能なマウスピースによる矯正というのは、こちらも適応症例が限定されるというこ
ともありますが、透明なマウスピース型の矯正によるものです。こちらはブラケットやワイ
ヤーを使用することなく透明なマウスピースを装着しながら歯を適正な方向に動かしてい
く方法で、成人の方や金属アレルギーのある方、スポーツをしている方、などに適した矯正
の方法です。
■部分矯正のメリットについて
- 低価格で治療が可能
全体の矯正治療に比べると矯正の範囲が狭いため、低価格で矯正治療を受けることができ
ます。
- 矯正装置が目立ちにくい
歯の全体の矯正で全体的にワイヤーを装着するより矯正の範囲が狭いので「目立ちにくい」
ということになります。
- 気になる部分だけにピンポイントで治療できる
- 短期間で治療期間が終了する
全体の矯正治療に比べると矯正の範囲が狭いため、治療期間も短くなります。
- 矯正中の痛みや、噛み合わせが変わることによる違和感が少なくて済む
- 負担が少ない
矯正装置が一部分にしか装着していないため、食事の際のストレスなど、患者さんの負担が
少ないです。

部分矯正には様々なメリットがある
■部分矯正のデメリットについて
- 見た目の改善が目的になりますので、歯本来の機能の根本的な改善までは及びません
- 基本的には簡単な症例のみ適応可能
■部分矯正で治せる症状について
○軽度の出っ歯
出っ歯とは、一般的には前歯が前方に向かって出てしまっている状態のことで、口を閉じて
いても前歯が少し見えていたりする場合もあります。出っ歯により咬合の機能に問題が生
じている状態を歯科の専門用語では「上顎前突症」といいます。
○軽度の受け口
受け口とは、下の歯が上の歯よりも出ている状態で、出っ歯の逆の状態となります。受け口
の場合問題となるのは、噛み合わせが悪く食べ物を咀嚼するときに十分に咀嚼できずに飲
み込んでしまうので消化気管に負担をかけ続けてしまい、身体の成長や、脳の働きにも影響
を与えてしまいます。また、顎関節症を発症しやすくなってしまう、言葉の発音がしづらく
なる、全身のバランスが悪くなる、など身体にも悪影響を及ぼすことがあります。
こちらも軽度であれば、部分矯正で改善することが可能です。
歯科の専門用語では、「反対咬合」または「下顎前突症」といいます。
○軽度のでこぼこの歯
隣の歯と重なって生えていたり、歯がずれて生えていたり、八重歯もこちらの一種で、基本
的に歯がでこぼことしている状態です。歯科の専門用語では「乱杭歯」や「叢生」といい、
基本的に歯並びが良くない状態です。
○すきっ歯
すきっ歯とは、外から見て歯と歯の間に隙間ができている状態のことを言います。歯科の専
門用語では「空隙歯列(くうげきしれつ)」と呼ばれていて、この空隙歯列の中でも前歯と
前歯の隙間が大きい状態のことを「正中離開(せいちゅうりかい)」といいます。
○開咬
開咬とは、オープンバイトとも呼ばれ、奥歯はしっかりと噛んでいるのに前歯が噛み合って
いなくて開いている状態をいいます。前歯が噛み合っていないので、前歯で食べ物を噛み切
れなかったり、発音がうまくできない、食べるときに咀嚼音をたててしまう、などの日常生
活に支障をきたす場合があります。
部分矯正は全体的に歯を動かすのではなく、一部のみ動かすことを目的とした治療法です。
矯正治療は歯並びを綺麗にすることが目的ではなく、正常なかみ合わせを作ることが目的
になります。
無理に部分矯正をしてかみ合わせがおかしくなったということがないように、しっかりか
み合わせのことまで考えたうえで部分矯正を選択できるようにお手伝いさせていただきま
す。
■当院における矯正について
三軒茶屋デンタルデザイン歯列矯正歯科では「歯からきれいになりたい」という患者様のお
手伝いをしたいと考えております。
口元の印象を決めるのはまずは「歯並び」がとても重要です!
第一印象で好感を一番得られるのは「清潔感」が最も重要だそうです。確かにお顔の印象は、
「笑顔が一番」ですね!!
当院では、「歯に関するお悩み・患者様が矯正治療に求めていること」をしっかりと丁寧に
カウンセリングをさせていただき、一人一人の患者様に合った矯正方法をご提案させてい
ただきます。
当院における矯正治療の特徴は、初診の相談料が「無料」はもちろんのこと、通常、他の矯
正歯科医院では有料(3~5 万円)の検査費用も「検査診断料」として「無料」となっており
ます。
どんな治療でもメリットとデメリットはあります。
部分矯正で対応できない場合は、他の治療案内を行います。
当院では患者様のライフスタイルに合わせた治療を心がけております。
まずは患者様のお悩みをしっかりと聞かせていただき、現状のリスクと治療計画、一人一人
の患者様に合った選択肢をご提案させていただければ、と考えております。

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矯正力の種類
2021年10月10日
こんにちは
矯正治療では、乱れた歯の位置を整えて、歯並びをきれいに揃えます。
そのために、歯を移動させるわけですが、放っておいても歯が勝手にいい位置に動いてくれるわけではありません。
歯を理想的な位置にまで移動させるために、歯や顎の骨に歯を動かす力を加えます。
この力を『矯正力』といいます。
どんな矯正装置を使って矯正治療を行うとしても、『矯正力』が発揮できないことには歯並びをきれいな状態に整えることはできません。
今回は、矯正治療を成功させるカギと言っても過言ではない『矯正力』についてお話しします。
■矯正力と整形力の違い
矯正治療で歯並びを整えるために作用させる力に、もうひとつ整形力という力があります。
先ほど、歯並びを整えるために歯や顎の骨に加える力を矯正力というと書きました。
矯正力と整形力にはどのような違いがあるのでしょうか。
実は、広い意味では整形力も矯正力に含まれます。
なぜなら、矯正力のうち、顎骨に加える力を区別して整形力とよんでいるからです。
矯正力とひとことで表現せずに、整形力とわざわざ別々の言葉を使って置き換えるのには、理由があります。
顎の骨を移動させることや顎の骨の成長方向をコントロールすることも、歯並びを整えるために、歯を移動させることと同じくらいに、とても重要だからです。
ちなみに、顎の骨に加える力を整形力という言葉を使って説明するとき、同時に用いる矯正力という言葉は、純粋に歯を移動させるために作用させる力のみを指します。
矯正治療というと、単に歯を移動させているだけのように思われるかも知れませんが、整形力という別のことがあることから、矯正歯科医は、歯だけでなく、顎の骨のことも考えて歯並びを整えていることが、おわかりいただけたのではないでしょうか。
■矯正力の種類
歯を移動させる矯正力、実はこの矯正力にもいろいろな種類があり、大きく分けると器械的矯正力と機能的矯正力の2種類になります。
○器械的矯正力
器械的矯正力とは、器械、すなわち矯正装置自体から生み出される矯正力のことです。
器械的矯正力にもいろいろな種類があります。
◇ワイヤー
ワイヤーによる矯正力は、矯正治療の中でもっともオーソドックスな矯正力です。
ワイヤーは形状記憶合金で作られています。
ワイヤーを歯に装着すると、変形します。
ワイヤーは形状記憶合金で作られているため、変形したワイヤーは元の形に戻ろうとします。
ワイヤーによる矯正力は、使われている金属の材質や、ワイヤーの太さ、ワイヤーの作用部位までの長さ、丸型や角型などの断面の形、直線やループなどのワイヤーの形などによって違いがあります。
ワイヤー矯正では、ワイヤーを選ぶことで適切な矯正力を作用させます。
◇エラスティック
エラスティックとは、ゴムのことです。
ゴムの弾力性を使って歯を移動させます。
矯正治療では、さまざまな材質のエラスティックを使って矯正力を得ます。
エラスティックは、紐状のものもあれば、リング状のもの、太いエラスティック、細いエラスティック、大きなエラスティックに小さなエラスティックといろいろあります。
その中から適切なものを選んで、歯を移動させていきます。
◇スクリュー
スクリューは、日本語に言い換えると拡大ネジで、上顎に用いられる拡大装置についています。
スクリューから発生される強制力は、ネジを回転させることで生み出されます。
矯正力のひとつに分類していますが、歯を移動させる矯正力だけでなく、上顎骨のサイズや上顎の歯並び自体を大きくする整形力としても利用される力です。
スクリューは、ネジを回転させた直後は強い力で作用できるのですが、この力は急速に衰えてしまいます。
したがって、スクリューによる矯正力は、持続的に作用するものではなく、断続的に作用する矯正力ということになります。
◇アライナー
アライナーとは、最近、話題になっているマウスピースタイプの矯正装置のことです。
当院で、人気の高いインビザラインもこれに当てはまります。
マウスピースタイプの矯正装置では、アライナー、つまりマウスピース自体が矯正力の源となるため、顎関節症の治療で使われるマウスピースと比べると、とても硬く作られています。
アライナーによる矯正力は、装着中、常に作用し続けます。
○機能的矯正力
機能的矯正力とは、矯正装置ではなく、ご自身のお口の周囲の筋肉の働きで歯を移動させる矯正力です。
もっとも、何もせずに歯が勝手に移動して理想的な位置に並んでくれるわけではありませんから、何かしらの矯正装置は必要です。
機能的矯正力を得るときに用いるのが、機能的矯正装置というタイプの矯正装置です。
機能的矯正装置にはいろいろなタイプがあり、代表的なものがアクチバトールです。
その他、咬合斜面板やリップバンパーなどもあります。
機能的矯正装置は、ワイヤーやマウスピースなどの器械的矯正力を発揮する矯正装置と違って、それ自体が歯を動かすわけではありません。
では、どのようにして歯を移動させるのか、それが筋肉の力です。
ただ、必ず機能的矯正装置を利用しなければ、機能的矯正力を発揮できないのかというとそんなことはありません。
機能的矯正装置を利用しないで、口腔筋機能療法(MFT)という唇や舌の訓練で機能的矯正力を得ることもあります。

矯正力は器械的矯正力と機能的矯正力の2種類
■矯正力の強さ
では、『矯正力』は、どれくらいの力を歯に加えているのでしょうか。
歯を移動させるのに、どれくらいの矯正力が必要なのかを考えるポイントがあります。
○歯の大きさや、歯根の数とその形
大きい奥歯を移動させるのと、小ぶりな前歯を移動させるのでは、自ずと必要な力が違ってくるのはわかっていただきやすいと思います。
例えば、前歯をみてみると、一見すると同じように見えても、犬歯だけは他の歯と比べて歯根の長さがとても長くなっています。
根が長い歯もやはり動かすのは難しくなります。
歯根の形も矯正力を考えるうえで大切な要素のひとつです。
○歯に加わる筋肉の力
歯の位置は、唇や頬、舌などの筋肉のバランスの取れたところにあります。
どれくらいの矯正力を考えるとき、筋肉のバランスに打ち勝てるだけの力を考えなければなりません。
○力の方向や時間など
矯正力と書きますから、どうしても力の大きさにばかり目がむかいがちです。
実際には、力の大きさだけではなく、どの方向に向かって力を加えるのか、どれくらいの時間力をかけ続けるのか、また、力の源となるところから歯までどれくらいの距離を設定するのかなども重要なポイントです。
このように、矯正力をどれくらいにするのかを決めるためには、たくさんの要因が複雑に絡み合っていることがわかってもらえると思います。
歯を動かすために最も適した矯正力を一律に決めることはできません。
どれくらいの力をどの方向に、どれだけの時間加えるのか、これが矯正治療の成功の礎となるわけですが、それを決めるのが、矯正治療にあたる歯科医師の長年の経験と知識です。
なんだか職人技みたいですね。
■矯正力の作用時間
矯正力には、作用時間によって『持続的な力』と『断続的な力』の2種類に分けられます。
○持続的な力
持続的な力とは、文字通り矯正力が途絶えることなく、ずっと加わり続ける矯正力のことです。
ワイヤーやマウスピースなどの器械的矯正力の多くが、この持続的な力になります。
持続的な力では、矯正装置を使っている間、矯正力の減りがほとんどないか、とてもゆるやかになっています。
先ほど例に挙げた矯正装置以外に、エラスティックや補助弾線という細いワイヤーなどでも持続的な力を加えることができます。
○断続的な力
断続的な力とは、途切れ途切れに加わるタイプの矯正力です。
代表的な断続的な力としては、スクリューから得られる矯正力が挙げられます。
スクリュー以外では、太めのワイヤーから得られる矯正力も断続的な力に含まれますが、作用距離が短いために、歯が少し移動すれば、矯正力はたちまち0になってしまいます。
これを何度も繰り返すことで、歯を移動させていきます。
なお、断続的な力は、持続的な力と異なり、矯正力の大きさは強くなります。
○間欠的な力
間欠的な力とは、ある一定の時間だけ作用するようになっている矯正力です。
アクチバトールや咬合斜面板などの筋機能矯正装置がきちんと機能したときに得られる矯正力が、この間欠的な力に当たります。
断続的な力と間欠的な力は、矯正力が持続しないという点で、とても似ています。
そのため、断続的な力も間欠的な力のひとつとして捉える見方もあります。
■歯の動き方
適切な矯正力が歯に作用した場合の歯の移動の仕方は、5種類あります。
『傾斜移動』『歯体移動』『回転』『挺出』『圧下』です。
○傾斜移動
歯の頭である歯冠に横向きに単純な力を加えると、歯は傾きます。
傾斜移動とは、これを利用した歯の動かし方です。
傾斜移動では、歯の根の先3分の1あたりを中心として歯が回転し、歯の根の先は歯冠と反対方向へ移動します。
傾斜移動に必要な矯正力は、一般的に50〜75グラムと言われています。
○歯体移動
歯体移動とは、歯間も歯根も同じ方向に同じ分だけ移動させる歯の動かし方です。
歯をそのまま横にずらすような動かし方といえばイメージしやすいかも知れません。
傾斜移動では、歯に1箇所だけ力を加えればよかったのですが、歯体移動では2箇所に同時に力を加えなければなりません。
歯体移動を行うためには、100〜150グラム程度の力が必要とされています。
○回転
回転では、歯の位置そのものは変わりません。
歯の軸を中心に回転させる歯の動かし方です。
回転に必要な矯正力は、50〜75グラムとされており、傾斜移動と同じくらいです。
○挺出
挺出とは、歯が上方へ引き抜かれるような歯の動かし方です。
挺出は、最も弱い力で行わなければなりません。
歯を挺出させるのには、15〜20グラムほどの矯正力に抑えなければなりません。
○圧下
圧下とは、挺出の逆で、歯を骨の方向に押し込む動かし方です。
元々、噛み合わせることで歯には沈み込む力が常に加わっていますから、圧下は一筋縄ではいきません。
矯正力の中でも、最も強い力を加える必要があります。

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矯正(抜歯と非抜歯の判定方法)
2021年10月8日
こんにちは
矯正治療では、歯並びをきれいに整えるために、歯を抜歯してスペースを確保するようなことがしばしば行われます。
何しろ、ある統計によれば、歯の並ぶスペースが不足することによる乱杭歯や八重歯の占める割合は、矯正治療を希望する方のなんと20〜30%にもなるそうです。
「歯並びをきれいにするために抜歯をすすめられた」なんて話がよく聞かれるようになるのも、納得ですね。
これは当院でも同じです。
では、どのような基準で、抜歯するか、抜歯せずに歯並びを整えるのかを決めているのでしょうか。
そこで、今回は、矯正治療で抜歯するかどうかの判断方法についてお話ししようと思います。
■各国で異なる抜歯への理解
今でこそ、歯並びをきれいに整えるための抜歯が市民権を得るようになりましたが、実は今のような近代的な矯正治療が始まった頃はそうではなかったようです。
例えば、今から100年ほど前の1920年代から1930年代ごろまでは、矯正治療を目的とした永久歯の抜歯について、今では矯正歯科学の教科書にも載る近代矯正歯科医学の父ともよばれているアングル先生は否定的だったそうです。
一方、肯定派の代表格は、アングル先生と同じくらい有名なケース先生でした。
両者の間で、本当に永久歯を抜歯しなければ歯並びをきれいに整えられないのかどうかで、喧々諤々の議論が重ねられたようです。
このときの主流は、アングル先生派でした。
そのためか、現在でもアメリカではできるだけ抜歯をしないで矯正治療をしようという風潮があるとかないとか。
ところで、我が国では、上顎骨と下顎骨の骨格そのものが前に出ている、
そのため、矯正治療のための抜歯に比較的に、同意してもらいやすい傾向があります。
そして、社会的にもアメリカ人やヨーロッパ人のような口元の引き締まった横顔を望むことが多いことから、必然的に抜歯せざるを得ないケースが多くなっています。
そのため、矯正治療のための抜歯に比較的、同意してもらいやすい傾向があります。
■矯正治療で抜歯が必要となるケース
矯正治療で抜歯が必要となるのは
①歯の幅の長さの合計と、歯が並ぶスペースの長さのバランスが取れていないとき
②上顎と下顎の前歯の重なり具合を適度なものにしたいとき
③上顎と下顎の奥歯の噛み合わせを適切なものにしたいとき
④上顎の歯と下顎の歯のサイズがアンバランスなとき
以上の4つのケースとなります。
①は理解していただきやすいと思いますが、②③は意外ではないでしょうか。
例えば、③は⑤にも関係しています。
■抜歯するかどうかの判定方法
では、矯正治療に際して、抜歯が必要かどうかを、どのようにして私たち矯正歯科医師を判定しているのでしょうか。
大きく分けると、歯並びの石膏模型を作って判定する方法と、レントゲン写真と歯並びの石膏模型を使って判定する方法のふた通りになります。
なお、これらの方法を使って判定を試みようとしても、抜歯するかどうかについて判定するのが難しいボーダーライン上になってしまうことも珍しくありません。
そのようなときは、判定結果にしたがって一律に決定するのではなく、患者さん自身の矯正治療への協力の具合や年齢、お顔の審美的な評価、お顔や顎の骨の形のバランスなどを考えて判断します。
そのため、矯正歯科医の診断や治療方法の違いから、抜歯するか抜歯しないかの割合も異なってきます。
よそでは抜歯しなくてはいけないと言われたのに、違うところの歯科医院では反対のことを言われた、なんてこともあるようですが、抜歯するかどうかを決めるのは、今もってとても難しく、私たち矯正歯科医は常に厳しい決断を迫られているのです。
■石膏模型を使った判定方法について
では、まずベーシックな方法である石膏模型を使った判定方法からご説明します。
歯を並べる顎の骨のスペースの長さは、一般的には、片側の第一大臼歯の前から反対側の第一大臼歯の前までの長さを測って算出します。
第一大臼歯は、6歳臼歯という別名を持つ奥歯のことです。
○石膏模型を作る
まず、お口全体の歯型を取り、その歯型に石膏を流し込んで、歯の模型を作ります。
石膏模型ができたら、次に細く軟らかい針金などを用意します。
○針金を使って測る
右側と左側の第一大臼歯の間の正しいと思われる歯並びを予想して、針金を曲げて、その針金の長さを測ります。
ちなみに、針金を使って得られたこの長さを、アベイラブル アーチ レングス(avaiable arch length)といいます。
アベイラブル=利用できる、アーチ=歯並び、レングス=長さという意味です。
ちなみに、並べなければならない歯の幅の長さの合計値は、リクワイアード アーチ レングス(required arch length)といいます。
リクワイアードとは、必要とされるという意味ですね。
○歯の幅を測る
アベイラブル アーチ レングスがわかったら、次はリクワイアード アーチ レングスです。
第一大臼歯の前の歯、つまり第二小臼歯から、反対側の第二小臼歯までの歯の幅を一つずつ測って、その値を全て足します。
これが、リクワイアード アーチ レングスになります。
○計算
アベイラブル アーチ レングスとリクワイアード アーチ レングスが計算できたら、両者を引き算します。
この差をアーチレングス ディスクレパンシーといいます。
アーチレングス ディスクレパンシーがプラスなら、抜歯しなくても歯並びはきれいになりますが、もしマイナスだったら必ず抜歯ではありません。
基準以上にマイナスの値が大きくなったら抜歯を検討します。

抜歯の判定には石膏模型やレントゲン写真が用いられる
■レントゲン写真を使った判定方法について
先ほどお話しした石膏模型を使った計測方法は、とてもシンプルでわかりやすい方法なのですが、実は欠点も隠されています。
石膏模型を使った計測方法では、上顎と下顎の歯並びの前後的な位置関係や、前歯と顎の骨やお顔などとの位置関係まではわからないのです。
そこで、前歯自身の傾き具合や上顎と下顎の前歯、そして奥歯の噛み合わせ、お顔のバランス、唇や鼻のバランスを知るために、レントゲン写真を組み合わせて判断する方法が考えられました。
レントゲン写真を使って判断する方法は、ふた通りになります。
ツィード先生の考案した方法と、シュタイナー先生の考案した方法です。
いずれの方法も、石膏模型を使って算出したアーチレングス ディスクレパンシーに加えて、レントゲン写真を応用するようにしています。
ここでいうレントゲン写真とは、お口の歯並びを写し出しているパノラマエックス線写真ではなく、頭部エックス線規格写真という矯正歯科治療のために使われているレントゲン写真写真です。
特にツィード先生は、先にご紹介したアングル先生の弟子のような矯正歯科医です。
彼は、師であるアングル先生の意見と異なり、「非抜歯症例の矯正治療では、成功症例は2割、失敗症例は8割」と抜歯肯定派だったようです。
ツィード先生は、矯正治療の目標について
- 均衡のとれたバランスの良い顔立ちを得ること
- 矯正治療を終えた後の歯並びが安定的で適正であること
- 歯周組織をはじめとするお口のさまざまな組織が健康的であること
- しっかりと上顎と下顎の歯が噛み合わせられること
としていました。
そんなこともあり、抜歯するかどうかの事前の診断をより重要視していたそうです。
彼は、下顎の前歯の位置が決まれば、奥歯の位置が自動的に決まり、この下顎の歯の並びに合わせて上顎の歯の並びが決まると考えていたそうです。
そのために、下顎の歯並びと顎の骨のバランスの算出方法を重視し、とても複雑な分析方法を作り出しました。
ツィードの分析方法は精密で優れているのですが、とても複雑でした。
そこで、より使いやすい方法として考案されたのが、シュタイナー先生の分析方法です。
レントゲン写真をもとに、その分析結果を分析チャートに順次記入して算出します。

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