矯正(抜歯と非抜歯の判定方法)

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矯正(抜歯と非抜歯の判定方法)

2021年10月8日

こんにちは

 

矯正治療では、歯並びをきれいに整えるために、歯を抜歯してスペースを確保するようなことがしばしば行われます。

何しろ、ある統計によれば、歯の並ぶスペースが不足することによる乱杭歯や八重歯の占める割合は、矯正治療を希望する方のなんと20〜30%にもなるそうです。

「歯並びをきれいにするために抜歯をすすめられた」なんて話がよく聞かれるようになるのも、納得ですね。

これは当院でも同じです。

では、どのような基準で、抜歯するか、抜歯せずに歯並びを整えるのかを決めているのでしょうか。

そこで、今回は、矯正治療で抜歯するかどうかの判断方法についてお話ししようと思います。

目次

■各国で異なる抜歯への理解
■矯正治療で抜歯が必要となるケース
■抜歯するかどうかの判定方法
■石膏模型を使った判定方法について
■レントゲン写真を使った判定方法について

■各国で異なる抜歯への理解


今でこそ、歯並びをきれいに整えるための抜歯が市民権を得るようになりましたが、実は今のような近代的な矯正治療が始まった頃はそうではなかったようです。

例えば、今から100年ほど前の1920年代から1930年代ごろまでは、矯正治療を目的とした永久歯の抜歯について、今では矯正歯科学の教科書にも載る近代矯正歯科医学の父ともよばれているアングル先生は否定的だったそうです。

一方、肯定派の代表格は、アングル先生と同じくらい有名なケース先生でした。

両者の間で、本当に永久歯を抜歯しなければ歯並びをきれいに整えられないのかどうかで、喧々諤々の議論が重ねられたようです。

このときの主流は、アングル先生派でした。

そのためか、現在でもアメリカではできるだけ抜歯をしないで矯正治療をしようという風潮があるとかないとか。

ところで、我が国では、上顎骨と下顎骨の骨格そのものが前に出ている、

そのため、矯正治療のための抜歯に比較的に、同意してもらいやすい傾向があります。

そして、社会的にもアメリカ人やヨーロッパ人のような口元の引き締まった横顔を望むことが多いことから、必然的に抜歯せざるを得ないケースが多くなっています。

そのため、矯正治療のための抜歯に比較的、同意してもらいやすい傾向があります。

 

■矯正治療で抜歯が必要となるケース


矯正治療で抜歯が必要となるのは

①歯の幅の長さの合計と、歯が並ぶスペースの長さのバランスが取れていないとき

②上顎と下顎の前歯の重なり具合を適度なものにしたいとき

③上顎と下顎の奥歯の噛み合わせを適切なものにしたいとき

④上顎の歯と下顎の歯のサイズがアンバランスなとき

以上の4つのケースとなります。

①は理解していただきやすいと思いますが、②③は意外ではないでしょうか。

例えば、③は⑤にも関係しています。

 

■抜歯するかどうかの判定方法


では、矯正治療に際して、抜歯が必要かどうかを、どのようにして私たち矯正歯科医師を判定しているのでしょうか。

大きく分けると、歯並びの石膏模型を作って判定する方法と、レントゲン写真と歯並びの石膏模型を使って判定する方法のふた通りになります。

なお、これらの方法を使って判定を試みようとしても、抜歯するかどうかについて判定するのが難しいボーダーライン上になってしまうことも珍しくありません。

そのようなときは、判定結果にしたがって一律に決定するのではなく、患者さん自身の矯正治療への協力の具合や年齢、お顔の審美的な評価、お顔や顎の骨の形のバランスなどを考えて判断します。

そのため、矯正歯科医の診断や治療方法の違いから、抜歯するか抜歯しないかの割合も異なってきます。

よそでは抜歯しなくてはいけないと言われたのに、違うところの歯科医院では反対のことを言われた、なんてこともあるようですが、抜歯するかどうかを決めるのは、今もってとても難しく、私たち矯正歯科医は常に厳しい決断を迫られているのです。

 

■石膏模型を使った判定方法について


では、まずベーシックな方法である石膏模型を使った判定方法からご説明します。

歯を並べる顎の骨のスペースの長さは、一般的には、片側の第一大臼歯の前から反対側の第一大臼歯の前までの長さを測って算出します。

第一大臼歯は、6歳臼歯という別名を持つ奥歯のことです。

○石膏模型を作る

まず、お口全体の歯型を取り、その歯型に石膏を流し込んで、歯の模型を作ります。

石膏模型ができたら、次に細く軟らかい針金などを用意します。

 

○針金を使って測る

右側と左側の第一大臼歯の間の正しいと思われる歯並びを予想して、針金を曲げて、その針金の長さを測ります。

ちなみに、針金を使って得られたこの長さを、アベイラブル アーチ レングス(avaiable arch length)といいます。

アベイラブル=利用できる、アーチ=歯並び、レングス=長さという意味です。

ちなみに、並べなければならない歯の幅の長さの合計値は、リクワイアード アーチ レングス(required arch length)といいます。

リクワイアードとは、必要とされるという意味ですね。

 

○歯の幅を測る

アベイラブル アーチ レングスがわかったら、次はリクワイアード アーチ レングスです。

第一大臼歯の前の歯、つまり第二小臼歯から、反対側の第二小臼歯までの歯の幅を一つずつ測って、その値を全て足します。

これが、リクワイアード アーチ レングスになります。

 

○計算

アベイラブル アーチ レングスとリクワイアード アーチ レングスが計算できたら、両者を引き算します。

この差をアーチレングス ディスクレパンシーといいます。

アーチレングス ディスクレパンシーがプラスなら、抜歯しなくても歯並びはきれいになりますが、もしマイナスだったら必ず抜歯ではありません。
基準以上にマイナスの値が大きくなったら抜歯を検討します。

 

抜歯の判定には石膏模型やレントゲン写真が用いられる

抜歯の判定には石膏模型やレントゲン写真が用いられる

 

■レントゲン写真を使った判定方法について


先ほどお話しした石膏模型を使った計測方法は、とてもシンプルでわかりやすい方法なのですが、実は欠点も隠されています。

石膏模型を使った計測方法では、上顎と下顎の歯並びの前後的な位置関係や、前歯と顎の骨やお顔などとの位置関係まではわからないのです。

そこで、前歯自身の傾き具合や上顎と下顎の前歯、そして奥歯の噛み合わせ、お顔のバランス、唇や鼻のバランスを知るために、レントゲン写真を組み合わせて判断する方法が考えられました。

レントゲン写真を使って判断する方法は、ふた通りになります。

ツィード先生の考案した方法と、シュタイナー先生の考案した方法です。

いずれの方法も、石膏模型を使って算出したアーチレングス ディスクレパンシーに加えて、レントゲン写真を応用するようにしています。

ここでいうレントゲン写真とは、お口の歯並びを写し出しているパノラマエックス線写真ではなく、頭部エックス線規格写真という矯正歯科治療のために使われているレントゲン写真写真です。

特にツィード先生は、先にご紹介したアングル先生の弟子のような矯正歯科医です。

彼は、師であるアングル先生の意見と異なり、「非抜歯症例の矯正治療では、成功症例は2割、失敗症例は8割」と抜歯肯定派だったようです。

ツィード先生は、矯正治療の目標について

  • 均衡のとれたバランスの良い顔立ちを得ること
  • 矯正治療を終えた後の歯並びが安定的で適正であること
  • 歯周組織をはじめとするお口のさまざまな組織が健康的であること
  • しっかりと上顎と下顎の歯が噛み合わせられること

としていました。

そんなこともあり、抜歯するかどうかの事前の診断をより重要視していたそうです。

彼は、下顎の前歯の位置が決まれば、奥歯の位置が自動的に決まり、この下顎の歯の並びに合わせて上顎の歯の並びが決まると考えていたそうです。

そのために、下顎の歯並びと顎の骨のバランスの算出方法を重視し、とても複雑な分析方法を作り出しました。

ツィードの分析方法は精密で優れているのですが、とても複雑でした。

そこで、より使いやすい方法として考案されたのが、シュタイナー先生の分析方法です。

レントゲン写真をもとに、その分析結果を分析チャートに順次記入して算出します。

 

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