矯正治療の固定とは

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矯正治療の固定とは

2021年9月24日

こんにちは

 

矯正治療では歯並びをきれいに整えるために、歯を移動させます。

このとき、大切なのが固定です。

移動と固定とは、全く逆の行為なのですが、実は固定こそが矯正治療を成功させるカギともいえ、移動と固定は切っても切れない関係にあります。

今回は、矯正治療で重要な固定についてお話しします。

目次

■固定が欠かせない理由
■矯正治療における固定とは
■固定の分類

■固定が欠かせない理由


例えば、あなたが荷物の乗った台車を押すとします。

もし、あなたの足元の地面がツルツルになっていれば、いくら押しても足が滑ってしまい台車は一向に動きません。

これは、あなたが台車を押した力が、台車に作用せず、逃げて失われてしまうからです。

台車を動かすためには、あなたの足が滑らないように、足をしっかりと地面に踏ん張っておかなければなりません。

矯正治療も同じで、歯を移動させようとしても、力が逃げてしまうようでは、歯を動かすことはできません。

踏ん張る力が必要です。

この歯を移動させるために踏ん張る力が固定なのです。

 

■矯正治療における固定とは


続いて、歯を移動させるための固定について詳しくみていきましょう。

矯正治療における固定とは、歯または顎の骨の移動にあたっての抵抗源のことです。

矯正治療では、一般的に歯を抵抗源、つまり固定に使うことが多いです。

歯を固定に利用しない場合は、上顎や頭部、頚部なども使います。

ちなみに、当院でも行っているインプラント矯正では、顎の骨に埋め込む矯正治療用のアンカースクリューが抵抗源となっています。

このために、矯正治療における固定となっている歯やアンカースクリュー、場合によっては頭部や頚部には、歯や顎の骨を移動させようとして加えられている矯正力と同じだけの強さを持つ力が反対方向に加わることになります。

私たち矯正歯科医は、歯を移動させようとするとき、これらの反対方向に発生する力があることを常に念頭において治療にあたっています。

 

■固定の分類


固定とひとことで表しますが、実は固定にもいろいろな固定があります。

○固定の性質による分類法

基本的な固定の分類法のひとつが、固定の性質に基づく分類法です。

◇単純固定

単純固定は、最もシンプルな固定です。

これは、固定となっている歯に傾斜移動させようとするときに加わる力に対する抵抗力を利用した固定です。

とてもシンプルなため、単純固定の固定力はあまり強くありません。

したがって、固定歯は止まってくれず、傾斜移動します。

単純固定の固定力の強さは、歯の歯根の大きさや数、形によって異なります。

歯根が大きいほど固定力は強くなることはいうまでもありませんし、1本だけの歯根よりも2〜3本の歯根の方が固定力は強いです。

そのほか、隣に生えている歯との当たり方や、噛み合わせている歯との噛み合わせの状態も単純固定の固定力の強弱に関係しています。

単純固定には、ふつうは移動させようとする歯よりも大きな歯、歯根のしっかりしている歯を利用します。

 

◇不動固定

単純固定では、固定となる歯が傾斜してしまいます。

歯が傾斜するということは、固定となった歯の並びが悪くなることを意味しています。

そこで、歯を傾斜させないように移動させる、つまり歯体移動となるようにしたときの固定方法を不動固定と言います。

歯の傾斜移動と歯体移動を比較すると、歯体移動の方が強い力を必要とします。

すなわち、単純固定と不動固定では、不動固定の方がはるかに強い固定力を得られる固定であることがわかります。

不動などと大それた名前がついていますが、決して名前負けしてはいないんですね。

ただし、不動固定であっても、全く固定歯が動かないというわけではありません。

少しは移動しますから、矯正歯科医はそれを含めて治療計画を立てています。

 

◇相反固定

相反固定は、ちょっとややこしい固定です。

歯1本、もしくは歯何本分かの抵抗力が、これに対応するやはり歯1本、もしくは歯何本分かの移動に使われる場合の固定です。

相反固定は、移動させようとする歯と固定しようとする歯の双方に等しく反対に向く力が加わり、同じように移動するとき、それぞれが移動と固定の役割を担っています。

どうです、ちょっと言葉にするとややこしいでしょう。

簡単にいうと、移動させようとする歯同士が、引っ張り合ったり押し合ったりすることで、相手側に生まれる固定という感じです。

ですから、固定側が移動側ともなり、移動側が固定側ともなりうる固定といったところでしょうか。

一般的に、矯正治療では、どのような矯正装置を使っても、移動する歯だけでなく、固定しようとする歯にも同じように反対方向の力が作用し、移動します。

この点から考えてみると、矯正治療における固定のほとんどが、相反固定ということになります。

ですが、相反固定というとそれぞれが同じように移動しようとする場合の固定のみを指します。

 

◇加強固定

加強固定は、かきょうこていと読みます。

強さを加えると書くように、固定力を強くすることをいいます。

どうして固定力を強くしようとするのか。

それは、固定となっている歯ができるだけ移動しないようにするためです。

固定となる歯が動くと、歯の移動がややこしくなってしまいます。

ルービックキューブを解くとき、クルクルと回してしまうと、どれが動いているのか訳がわからなくなりますよね。

ルービックキューブを解くためのポイントは、視点を1箇所に固定することです。

矯正治療も同じで、固定となっている歯が動かない方が、矯正治療は進めやすいわけです。

そこで、加強固定では、固定となる歯を増やしたり、頭部や頚部などの顎外固定を使ったりすることで、より強い安定した固定を得ようとします。

また、リップバンパーなどを使って、お口を取り巻くさまざまな筋肉の筋力を加強固定に利用することもあります。

 

◇準備固定

準備固定とは、マルチブラケット法のひとつであるエッジワイズ法で、ツイードさんが考え出した固定をより強くするための固定方法です。

上顎の前歯を後ろ方向に移動させるときに、固定となる下顎の奥歯が前方方向へ傾斜移動するのを防ぐ目的で行われます。

そこで、準備固定では、あらかじめ下顎の奥歯を後方に傾斜させておいて、固定力を高めておきます。

基本的には、マルチブラケット法のエッジワイズ法に用いられる固定法ですが、そのほかの矯正治療の固定にも用いる場合もあります。

 

○抵抗源の部位による分類法

固定の際の抵抗源から分類する方法もあります。

◇顎内固定

顎内固定は、がくないこていと読みます。

顎内固定とは、骨折のときの固定法のひとつですが、矯正治療での顎内固定は少し方法が異なります。

移動させる歯と固定となる歯が、上顎もしくは下顎のそれぞれの顎内にある場合の固定です。

マルチブラケット法の場合の固定が、これに当たります。

このほかに、舌側弧線装置という歯の内側にワイヤーを通すタイプの矯正装置や、拡大床などの床タイプの矯正装置も当てはまります。

 

◇顎間固定

移動させようとする歯や顎の骨に対して、固定源が反対の顎にある固定です。

下顎の歯を移動させようとする場合に、上顎に固定源を求めようというような移動と固定が上下の顎に分かれている固定のことです。

顎間固定の固定力は、エラスティック、つまりゴムによって得られます。

具体的には、引き伸ばされたゴムリングが縮もうとする力です。

例えば、上顎前突、いわゆる出っ歯ですね、この場合に上顎の前方から下顎の後方にかけて斜めにかけるゴムや、反対に下顎前突、つまり受け口の場合に上顎の後方から下顎の前方にかけて斜めにかけるゴムなどがあります。

ちなみに、顎間固定は、先の分類にしたがうと相反固定に分類されます。

 

◇顎外固定

顎外固定とは、その名前の通り、歯や顎の骨を移動させようとするときの抵抗源が、お口の外に設けられている固定法です。

固定力の高さが顎外固定の利点ですが、見た目が良くないのが難点です。

顎外固定に使う矯正装置は、ヘッドギアやオトガイ帽装置、上顎前方牽引装置などが代表的です。

顎外固定は固定力がたいへん高いので、顎の骨に力を加えようとする整形力や、奥歯を後ろに移動させる歯の移動の場合に、よく使われます。

また、加強固定として顎外固定を用いることもあります。

 

固定は性質・部位・強さで分類できる

固定は性質・部位・強さで分類できる

 

○固定力の強さからの分類

固定力がどれくらい強いかによる分類もあります。

乱杭歯の治療や、上顎前突症の治療、下顎前突症の治療では、歯を理想的な位置に収めようとしても、スペースが足りないことがあります。

そんなときは、小臼歯という前から4番目や5番目の歯を抜いて歯を並べるスペースを確保しようとします。

このとき、抜いて得られたスペースに向かって、前から3番目の犬歯を後ろに下げたり、前歯全体を内側に下げたりするような歯の移動を試みます。

しかし、実際には隙間が少し残ってしまうことが多く、そのようなときには、前歯を動かすための固定源となっている奥歯を前に寄せてきて隙間を埋めます。

それ以外の場合、例えば、上顎の奥歯が下顎の奥歯よりも前にずれている奥歯の歯並びの異常や下顎前突症を治す場合に、上顎や下顎の奥歯を前方に移動させようとすることがあります。

これら、奥歯の移動に際して、どれくらい移動させるのか、それによって固定の強さを変更します。

したがって、固定力の強さもとても大切な要素です。

固定力の強さは、『最大』『中等度』『最小』の3つに分類されています。

◇最大の固定

最大の固定とは、奥歯を前方に移動させる移動距離を、小臼歯を抜いて得られた隙間の1/4以下にしたいときの固定力です。

 

◇中等度の固定

中等度の固定とは、奥歯の前方への移動量が、小臼歯を抜いて得られた隙間の1/4から1/2程度の幅にしたいときの固定力です。

 

◇最小の固定

最小の固定とは、奥歯の前方への移動量が、小臼歯を抜いて得られた隙間の1/2以上の場合の固定力です。

ここからわかることは、奥歯をより前方へと動かしたいときは、固定力を弱くして、反対にあまり動かしたいくないときは、固定力を強めるということです。

 

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