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矯正力の種類

2021年10月10日

こんにちは

 

矯正治療では、乱れた歯の位置を整えて、歯並びをきれいに揃えます。

そのために、歯を移動させるわけですが、放っておいても歯が勝手にいい位置に動いてくれるわけではありません。

歯を理想的な位置にまで移動させるために、歯や顎の骨に歯を動かす力を加えます。

この力を『矯正力』といいます。

どんな矯正装置を使って矯正治療を行うとしても、『矯正力』が発揮できないことには歯並びをきれいな状態に整えることはできません。

今回は、矯正治療を成功させるカギと言っても過言ではない『矯正力』についてお話しします。

目次

■矯正力と整形力の違い
■矯正力の種類
■矯正力の強さ
■矯正力の作用時間
■歯の動き方

■矯正力と整形力の違い


矯正治療で歯並びを整えるために作用させる力に、もうひとつ整形力という力があります。

先ほど、歯並びを整えるために歯や顎の骨に加える力を矯正力というと書きました。

矯正力と整形力にはどのような違いがあるのでしょうか。

実は、広い意味では整形力も矯正力に含まれます。

なぜなら、矯正力のうち、顎骨に加える力を区別して整形力とよんでいるからです。

矯正力とひとことで表現せずに、整形力とわざわざ別々の言葉を使って置き換えるのには、理由があります。

顎の骨を移動させることや顎の骨の成長方向をコントロールすることも、歯並びを整えるために、歯を移動させることと同じくらいに、とても重要だからです。

ちなみに、顎の骨に加える力を整形力という言葉を使って説明するとき、同時に用いる矯正力という言葉は、純粋に歯を移動させるために作用させる力のみを指します。

矯正治療というと、単に歯を移動させているだけのように思われるかも知れませんが、整形力という別のことがあることから、矯正歯科医は、歯だけでなく、顎の骨のことも考えて歯並びを整えていることが、おわかりいただけたのではないでしょうか。

 

■矯正力の種類


歯を移動させる矯正力、実はこの矯正力にもいろいろな種類があり、大きく分けると器械的矯正力と機能的矯正力の2種類になります。

○器械的矯正力

器械的矯正力とは、器械、すなわち矯正装置自体から生み出される矯正力のことです。

器械的矯正力にもいろいろな種類があります。

◇ワイヤー

ワイヤーによる矯正力は、矯正治療の中でもっともオーソドックスな矯正力です。

ワイヤーは形状記憶合金で作られています。

ワイヤーを歯に装着すると、変形します。

ワイヤーは形状記憶合金で作られているため、変形したワイヤーは元の形に戻ろうとします。

ワイヤーによる矯正力は、使われている金属の材質や、ワイヤーの太さ、ワイヤーの作用部位までの長さ、丸型や角型などの断面の形、直線やループなどのワイヤーの形などによって違いがあります。

ワイヤー矯正では、ワイヤーを選ぶことで適切な矯正力を作用させます。

 

◇エラスティック

エラスティックとは、ゴムのことです。

ゴムの弾力性を使って歯を移動させます。

矯正治療では、さまざまな材質のエラスティックを使って矯正力を得ます。

エラスティックは、紐状のものもあれば、リング状のもの、太いエラスティック、細いエラスティック、大きなエラスティックに小さなエラスティックといろいろあります。

その中から適切なものを選んで、歯を移動させていきます。

 

◇スクリュー

スクリューは、日本語に言い換えると拡大ネジで、上顎に用いられる拡大装置についています。

スクリューから発生される強制力は、ネジを回転させることで生み出されます。

矯正力のひとつに分類していますが、歯を移動させる矯正力だけでなく、上顎骨のサイズや上顎の歯並び自体を大きくする整形力としても利用される力です。

スクリューは、ネジを回転させた直後は強い力で作用できるのですが、この力は急速に衰えてしまいます。

したがって、スクリューによる矯正力は、持続的に作用するものではなく、断続的に作用する矯正力ということになります。

 

◇アライナー

アライナーとは、最近、話題になっているマウスピースタイプの矯正装置のことです。

当院で、人気の高いインビザラインもこれに当てはまります。

マウスピースタイプの矯正装置では、アライナー、つまりマウスピース自体が矯正力の源となるため、顎関節症の治療で使われるマウスピースと比べると、とても硬く作られています。

アライナーによる矯正力は、装着中、常に作用し続けます。

 

○機能的矯正力

機能的矯正力とは、矯正装置ではなく、ご自身のお口の周囲の筋肉の働きで歯を移動させる矯正力です。

もっとも、何もせずに歯が勝手に移動して理想的な位置に並んでくれるわけではありませんから、何かしらの矯正装置は必要です。

機能的矯正力を得るときに用いるのが、機能的矯正装置というタイプの矯正装置です。

機能的矯正装置にはいろいろなタイプがあり、代表的なものがアクチバトールです。

その他、咬合斜面板やリップバンパーなどもあります。

機能的矯正装置は、ワイヤーやマウスピースなどの器械的矯正力を発揮する矯正装置と違って、それ自体が歯を動かすわけではありません。

では、どのようにして歯を移動させるのか、それが筋肉の力です。

ただ、必ず機能的矯正装置を利用しなければ、機能的矯正力を発揮できないのかというとそんなことはありません。

機能的矯正装置を利用しないで、口腔筋機能療法(MFT)という唇や舌の訓練で機能的矯正力を得ることもあります。

 

矯正力は器械的矯正力と機能的矯正力の2種類

矯正力は器械的矯正力と機能的矯正力の2種類

 

■矯正力の強さ


では、『矯正力』は、どれくらいの力を歯に加えているのでしょうか。

歯を移動させるのに、どれくらいの矯正力が必要なのかを考えるポイントがあります。

○歯の大きさや、歯根の数とその形

大きい奥歯を移動させるのと、小ぶりな前歯を移動させるのでは、自ずと必要な力が違ってくるのはわかっていただきやすいと思います。

例えば、前歯をみてみると、一見すると同じように見えても、犬歯だけは他の歯と比べて歯根の長さがとても長くなっています。

根が長い歯もやはり動かすのは難しくなります。

歯根の形も矯正力を考えるうえで大切な要素のひとつです。

 

○歯に加わる筋肉の力

歯の位置は、唇や頬、舌などの筋肉のバランスの取れたところにあります。

どれくらいの矯正力を考えるとき、筋肉のバランスに打ち勝てるだけの力を考えなければなりません。

 

○力の方向や時間など

矯正力と書きますから、どうしても力の大きさにばかり目がむかいがちです。

実際には、力の大きさだけではなく、どの方向に向かって力を加えるのか、どれくらいの時間力をかけ続けるのか、また、力の源となるところから歯までどれくらいの距離を設定するのかなども重要なポイントです。

 

このように、矯正力をどれくらいにするのかを決めるためには、たくさんの要因が複雑に絡み合っていることがわかってもらえると思います。

歯を動かすために最も適した矯正力を一律に決めることはできません。

どれくらいの力をどの方向に、どれだけの時間加えるのか、これが矯正治療の成功の礎となるわけですが、それを決めるのが、矯正治療にあたる歯科医師の長年の経験と知識です。

なんだか職人技みたいですね。

 

■矯正力の作用時間


矯正力には、作用時間によって『持続的な力』と『断続的な力』の2種類に分けられます。

○持続的な力

持続的な力とは、文字通り矯正力が途絶えることなく、ずっと加わり続ける矯正力のことです。

ワイヤーやマウスピースなどの器械的矯正力の多くが、この持続的な力になります。

持続的な力では、矯正装置を使っている間、矯正力の減りがほとんどないか、とてもゆるやかになっています。

先ほど例に挙げた矯正装置以外に、エラスティックや補助弾線という細いワイヤーなどでも持続的な力を加えることができます。

 

○断続的な力

断続的な力とは、途切れ途切れに加わるタイプの矯正力です。

代表的な断続的な力としては、スクリューから得られる矯正力が挙げられます。

スクリュー以外では、太めのワイヤーから得られる矯正力も断続的な力に含まれますが、作用距離が短いために、歯が少し移動すれば、矯正力はたちまち0になってしまいます。

これを何度も繰り返すことで、歯を移動させていきます。

なお、断続的な力は、持続的な力と異なり、矯正力の大きさは強くなります。

 

○間欠的な力

間欠的な力とは、ある一定の時間だけ作用するようになっている矯正力です。

アクチバトールや咬合斜面板などの筋機能矯正装置がきちんと機能したときに得られる矯正力が、この間欠的な力に当たります。

断続的な力と間欠的な力は、矯正力が持続しないという点で、とても似ています。

そのため、断続的な力も間欠的な力のひとつとして捉える見方もあります。

 

■歯の動き方


適切な矯正力が歯に作用した場合の歯の移動の仕方は、5種類あります。

『傾斜移動』『歯体移動』『回転』『挺出』『圧下』です。

○傾斜移動

歯の頭である歯冠に横向きに単純な力を加えると、歯は傾きます。

傾斜移動とは、これを利用した歯の動かし方です。

傾斜移動では、歯の根の先3分の1あたりを中心として歯が回転し、歯の根の先は歯冠と反対方向へ移動します。

傾斜移動に必要な矯正力は、一般的に50〜75グラムと言われています。

 

○歯体移動

歯体移動とは、歯間も歯根も同じ方向に同じ分だけ移動させる歯の動かし方です。

歯をそのまま横にずらすような動かし方といえばイメージしやすいかも知れません。

傾斜移動では、歯に1箇所だけ力を加えればよかったのですが、歯体移動では2箇所に同時に力を加えなければなりません。

歯体移動を行うためには、100〜150グラム程度の力が必要とされています。

 

○回転

回転では、歯の位置そのものは変わりません。

歯の軸を中心に回転させる歯の動かし方です。

回転に必要な矯正力は、50〜75グラムとされており、傾斜移動と同じくらいです。

 

○挺出

挺出とは、歯が上方へ引き抜かれるような歯の動かし方です。

挺出は、最も弱い力で行わなければなりません。

歯を挺出させるのには、15〜20グラムほどの矯正力に抑えなければなりません。

 

○圧下

圧下とは、挺出の逆で、歯を骨の方向に押し込む動かし方です。

元々、噛み合わせることで歯には沈み込む力が常に加わっていますから、圧下は一筋縄ではいきません。

矯正力の中でも、最も強い力を加える必要があります。

 

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