矯正治療の固定とは
2021年9月24日
こんにちは
矯正治療では歯並びをきれいに整えるために、歯を移動させます。
このとき、大切なのが固定です。
移動と固定とは、全く逆の行為なのですが、実は固定こそが矯正治療を成功させるカギともいえ、移動と固定は切っても切れない関係にあります。
今回は、矯正治療で重要な固定についてお話しします。
■固定が欠かせない理由
例えば、あなたが荷物の乗った台車を押すとします。
もし、あなたの足元の地面がツルツルになっていれば、いくら押しても足が滑ってしまい台車は一向に動きません。
これは、あなたが台車を押した力が、台車に作用せず、逃げて失われてしまうからです。
台車を動かすためには、あなたの足が滑らないように、足をしっかりと地面に踏ん張っておかなければなりません。
矯正治療も同じで、歯を移動させようとしても、力が逃げてしまうようでは、歯を動かすことはできません。
踏ん張る力が必要です。
この歯を移動させるために踏ん張る力が固定なのです。
■矯正治療における固定とは
続いて、歯を移動させるための固定について詳しくみていきましょう。
矯正治療における固定とは、歯または顎の骨の移動にあたっての抵抗源のことです。
矯正治療では、一般的に歯を抵抗源、つまり固定に使うことが多いです。
歯を固定に利用しない場合は、上顎や頭部、頚部なども使います。
ちなみに、当院でも行っているインプラント矯正では、顎の骨に埋め込む矯正治療用のアンカースクリューが抵抗源となっています。
このために、矯正治療における固定となっている歯やアンカースクリュー、場合によっては頭部や頚部には、歯や顎の骨を移動させようとして加えられている矯正力と同じだけの強さを持つ力が反対方向に加わることになります。
私たち矯正歯科医は、歯を移動させようとするとき、これらの反対方向に発生する力があることを常に念頭において治療にあたっています。
■固定の分類
固定とひとことで表しますが、実は固定にもいろいろな固定があります。
○固定の性質による分類法
基本的な固定の分類法のひとつが、固定の性質に基づく分類法です。
・単純固定
単純固定は、最もシンプルな固定です。
これは、固定となっている歯に傾斜移動させようとするときに加わる力に対する抵抗力を利用した固定です。
とてもシンプルなため、単純固定の固定力はあまり強くありません。
したがって、固定歯は止まってくれず、傾斜移動します。
単純固定の固定力の強さは、歯の歯根の大きさや数、形によって異なります。
歯根が大きいほど固定力は強くなることはいうまでもありませんし、1本だけの歯根よりも2〜3本の歯根の方が固定力は強いです。
そのほか、隣に生えている歯との当たり方や、噛み合わせている歯との噛み合わせの状態も単純固定の固定力の強弱に関係しています。
単純固定には、ふつうは移動させようとする歯よりも大きな歯、歯根のしっかりしている歯を利用します。
・不動固定
単純固定では、固定となる歯が傾斜してしまいます。
歯が傾斜するということは、固定となった歯の並びが悪くなることを意味しています。
そこで、歯を傾斜させないように移動させる、つまり歯体移動となるようにしたときの固定方法を不動固定と言います。
歯の傾斜移動と歯体移動を比較すると、歯体移動の方が強い力を必要とします。
すなわち、単純固定と不動固定では、不動固定の方がはるかに強い固定力を得られる固定であることがわかります。
不動などと大それた名前がついていますが、決して名前負けしてはいないんですね。
ただし、不動固定であっても、全く固定歯が動かないというわけではありません。
少しは移動しますから、矯正歯科医はそれを含めて治療計画を立てています。
・相反固定
相反固定は、ちょっとややこしい固定です。
歯1本、もしくは歯何本分かの抵抗力が、これに対応するやはり歯1本、もしくは歯何本分かの移動に使われる場合の固定です。
相反固定は、移動させようとする歯と固定しようとする歯の双方に等しく反対に向く力が加わり、同じように移動するとき、それぞれが移動と固定の役割を担っています。
どうです、ちょっと言葉にするとややこしいでしょう。
簡単にいうと、移動させようとする歯同士が、引っ張り合ったり押し合ったりすることで、相手側に生まれる固定という感じです。
ですから、固定側が移動側ともなり、移動側が固定側ともなりうる固定といったところでしょうか。
一般的に、矯正治療では、どのような矯正装置を使っても、移動する歯だけでなく、固定しようとする歯にも同じように反対方向の力が作用し、移動します。
この点から考えてみると、矯正治療における固定のほとんどが、相反固定ということになります。
ですが、相反固定というとそれぞれが同じように移動しようとする場合の固定のみを指します。
・加強固定
加強固定は、かきょうこていと読みます。
強さを加えると書くように、固定力を強くすることをいいます。
どうして固定力を強くしようとするのか。
それは、固定となっている歯ができるだけ移動しないようにするためです。
固定となる歯が動くと、歯の移動がややこしくなってしまいます。
ルービックキューブを解くとき、クルクルと回してしまうと、どれが動いているのか訳がわからなくなりますよね。
ルービックキューブを解くためのポイントは、視点を1箇所に固定することです。
矯正治療も同じで、固定となっている歯が動かない方が、矯正治療は進めやすいわけです。
そこで、加強固定では、固定となる歯を増やしたり、頭部や頚部などの顎外固定を使ったりすることで、より強い安定した固定を得ようとします。
また、リップバンパーなどを使って、お口を取り巻くさまざまな筋肉の筋力を加強固定に利用することもあります。
・準備固定
準備固定とは、マルチブラケット法のひとつであるエッジワイズ法で、ツイードさんが考え出した固定をより強くするための固定方法です。
上顎の前歯を後ろ方向に移動させるときに、固定となる下顎の奥歯が前方方向へ傾斜移動するのを防ぐ目的で行われます。
そこで、準備固定では、あらかじめ下顎の奥歯を後方に傾斜させておいて、固定力を高めておきます。
基本的には、マルチブラケット法のエッジワイズ法に用いられる固定法ですが、そのほかの矯正治療の固定にも用いる場合もあります。
○抵抗源の部位による分類法
固定の際の抵抗源から分類する方法もあります。
・顎内固定
顎内固定は、がくないこていと読みます。
顎内固定とは、骨折のときの固定法のひとつですが、矯正治療での顎内固定は少し方法が異なります。
移動させる歯と固定となる歯が、上顎もしくは下顎のそれぞれの顎内にある場合の固定です。
マルチブラケット法の場合の固定が、これに当たります。
このほかに、舌側弧線装置という歯の内側にワイヤーを通すタイプの矯正装置や、拡大床などの床タイプの矯正装置も当てはまります。
・顎間固定
移動させようとする歯や顎の骨に対して、固定源が反対の顎にある固定です。
下顎の歯を移動させようとする場合に、上顎に固定源を求めようというような移動と固定が上下の顎に分かれている固定のことです。
顎間固定の固定力は、エラスティック、つまりゴムによって得られます。
具体的には、引き伸ばされたゴムリングが縮もうとする力です。
例えば、上顎前突、いわゆる出っ歯ですね、この場合に上顎の前方から下顎の後方にかけて斜めにかけるゴムや、反対に下顎前突、つまり受け口の場合に上顎の後方から下顎の前方にかけて斜めにかけるゴムなどがあります。
ちなみに、顎間固定は、先の分類にしたがうと相反固定に分類されます。
・顎外固定
顎外固定とは、その名前の通り、歯や顎の骨を移動させようとするときの抵抗源が、お口の外に設けられている固定法です。
固定力の高さが顎外固定の利点ですが、見た目が良くないのが難点です。
顎外固定に使う矯正装置は、ヘッドギアやオトガイ帽装置、上顎前方牽引装置などが代表的です。
顎外固定は固定力がたいへん高いので、顎の骨に力を加えようとする整形力や、奥歯を後ろに移動させる歯の移動の場合に、よく使われます。
また、加強固定として顎外固定を用いることもあります。

○固定力の強さからの分類
固定力がどれくらい強いかによる分類もあります。
乱杭歯の治療や、上顎前突症の治療、下顎前突症の治療では、歯を理想的な位置に収めようとしても、スペースが足りないことがあります。
そんなときは、小臼歯という前から4番目や5番目の歯を抜いて歯を並べるスペースを確保しようとします。
このとき、抜いて得られたスペースに向かって、前から3番目の犬歯を後ろに下げたり、前歯全体を内側に下げたりするような歯の移動を試みます。
しかし、実際には隙間が少し残ってしまうことが多く、そのようなときには、前歯を動かすための固定源となっている奥歯を前に寄せてきて隙間を埋めます。
それ以外の場合、例えば、上顎の奥歯が下顎の奥歯よりも前にずれている奥歯の歯並びの異常や下顎前突症を治す場合に、上顎や下顎の奥歯を前方に移動させようとすることがあります。
これら、奥歯の移動に際して、どれくらい移動させるのか、それによって固定の強さを変更します。
したがって、固定力の強さもとても大切な要素です。
固定力の強さは、『最大』『中等度』『最小』の3つに分類されています。
・最大の固定
最大の固定とは、奥歯を前方に移動させる移動距離を、小臼歯を抜いて得られた隙間の1/4以下にしたいときの固定力です。
・中等度の固定
中等度の固定とは、奥歯の前方への移動量が、小臼歯を抜いて得られた隙間の1/4から1/2程度の幅にしたいときの固定力です。
・最小の固定
最小の固定とは、奥歯の前方への移動量が、小臼歯を抜いて得られた隙間の1/2以上の場合の固定力です。
ここからわかることは、奥歯をより前方へと動かしたいときは、固定力を弱くして、反対にあまり動かしたいくないときは、固定力を強めるということです。

矯正治療と虫歯歯周予防
2021年9月17日
こんにちは
現在の矯正治療は、ブラケットとワイヤーを使ったマルチブラケット法が主流です。
この矯正治療法では複雑な矯正装置を使うため、食べ物の流れが悪くなるばかりか、歯磨きもとても難しくなります。
近年、新しく登場し、目立たない、取り外しができるなどの利点から、当院でも需要が高まっているインビザラインのようなマウスピース矯正なら、歯磨きはしやすくなります。
ですが、つけている間の唾液の流れが悪くなることから、唾液の持つ汚れを洗い流す働きや虫歯菌の活動を抑える働き、初期虫歯を治す働きが発揮できなくなります。
マルチブラケット法、インビザライン、ともに矯正治療中の虫歯のリスクからは逃れられないようです。
そのため、矯正治療中は、より一層のお口のケアが望まれます。
今回は、矯正治療とお口のケアについてお話ししたいと思います。
■矯正治療での抜歯の目的
矯正治療を受けている間は、歯磨きをはじめとするお口のケアが難しくなります。
食べたものも残りやすいですし、お口の中も不潔になりやすいです。
ちょっと油断するとたちまち矯正装置の周囲に虫歯が生じたり、歯ぐきが腫れたりします。
矯正治療中は特にお口のケアが重要とされるのはこのためです。
○虫歯のリスク
虫歯の原因は、歯の表面をおおうプラークに潜んでいるストレプトコッカス・ミュータンスなどのレンサ球菌であることが明らかになっています。
プラークの中で虫歯の原因菌が、磨き残しの中の炭水化物を分解して乳酸を作り出し、この乳酸が長期にわたって歯のエナメル質に接触し続けることで、エナメル質が脱灰され虫歯が発生します。
すなわち、虫歯が発生するには、『歯』と『細菌』、『細菌のエサ』の3つの条件が揃う必要があり、どれか一つでも欠けると虫歯にはなりません。
余談ですが、わたしたち歯科医師は、学生の頃からこの3つの発生要因を円にして、それらが重なり合った図を、これでもかというほど教え込まれます。
矯正治療を受けている間は、これらの3要素が簡単に揃いやすく、虫歯になりやすい傾向が指摘されています。
○歯周病のリスク
歯周病も、細菌が原因で起こる炎症性の病気です。
歯周病の原因菌も、虫歯と同じくプラークの中にいます。
実は、プラークの場所によって細菌の種類に違いがあることがわかっています。
特に影響しやすいのが、歯と歯ぐきの隙間である歯周ポケットの中にいる嫌気性のグラム陰性桿菌です。
矯正装置が装着されると、歯周ポケットの部分にまで歯ブラシの毛先が届きにくくなりますから、歯周病のリスクも高まるのです。
■矯正治療と虫歯
矯正治療を受ける前の段階では、虫歯の原因菌が潜んでいるプラークは、歯の付け根付近、歯と歯の間、噛み合わせ面の溝、乱杭歯の重なり合っているところなどに発生しやすい傾向があります。
その他、生え切っていない歯や、上顎と下顎の前歯の裏側にもつきやすいです。
言い方を変えると、ちゃんと生えている歯の表面にはあまりついていないとも言えます。
ところが、矯正治療がいざ始まると、このプラークの付きやすいところが変化します。
矯正装置が装着されるため、お口の中の状態が複雑化するからです。
そのため、歯に部分的にプラークがつくのではなく、矯正装置の周囲を含めて、歯の表面全体にプラークがつきやすくなります。
特に注意が必要なのが、マルチブラケット法による矯正治療のときで、ひどい場合はブラケットやバンドの表面にまでプラークが付着します。
ワイヤーの下の部分も要注意です。
また、金属バンドのフィットが悪い場合は、プラークがより付着しやすくなり、セメントが溶け出し、隙間を作ってしまいます。
金属バンドと歯との隙間には歯ブラシは入らないので、この部分にプラークが溜まるとそこから虫歯が発生することになります。
一見すると歯は綺麗に磨いてあり、プラークがついていないように見えることもありますが、見えにくいだけという場合がほとんどです。
実際、プラークの染め出し液を塗ってみると、プラークの付き具合がよくわかります。
■矯正治療と歯周病
○歯列不正と歯周病
歯並びの悪い方の多くは、すでに歯周病になっている傾向がみられます。
その理由は、いろいろあります。
例えば、噛み合わせている歯や隣の歯との位置関係が良くないために、正しい噛み合わせが得られていないこと、お口が本来持っている唾液などを利用した歯の表面の汚れを洗い流す働きが下がっていることなどです。
また、歯並びが重なり合っているなどの原因で、歯ブラシが歯ぐきを適度に刺激できないことも影響していると考えられています。
多くの場合は、矯正治療を受けて歯並びが整えられると、これらの歯周病を引き起こしていると考えられる原因は解消されるため、歯周病の症状は改善されます。
しかし、これはあくまでも矯正治療が終わった後の話です。
矯正治療を受けている間は、矯正装置が入っていることでお口の中の清掃状態が悪くなってしまいます。
マルチブラケット法の矯正装置はもちろんですが、インビザラインのようなマウスピース矯正もしかりです。
プラークが増えたり、食べカスが残ったままになったりすることが、歯ぐきの腫れを引き起こすことは明らかです。
○実は子どものときから始まっている歯周病
歯周病というと、大人の病気と思われがちですが、実は小学校に入る前のお子さんの2割ほどに歯ぐきの腫れ、つまり歯肉炎が見られます。
歯肉炎も立派な歯周病のひとつです。
ここから年齢が上がり、乳歯と永久歯が混ざり合った混合歯列期という状態の年齢では、特に10代前半にかぎってみると、80%近くに歯肉炎が起こっているとも言われています。
混合歯列期が終わり、永久歯だけの歯並びになってくると、歯肉炎から歯周炎に発展します。
簡単にいうと、歯肉炎は単に歯ぐきが腫れただけの状態ですが、歯周炎は歯ぐきの腫れだけでなく、歯を支えている骨が減ってしまう歯周病です。
10代後半から20代前半でみるとおよそ70%に歯周炎が起こっています。
ちょうどこの年齢層は、矯正治療を受けている年齢層にほぼ一致します。
冒頭に、『歯並びの悪い方は矯正治療を受ける前からすでに歯周病になっている』と書いたのには、こういう背景があったわけです。
■矯正治療中の虫歯の予防
虫歯の予防法の基本は、先にご紹介した『歯』と『細菌』、『細菌のエサ』の3つの条件を断ち切ることです。
ひとつでも欠けると、虫歯は起こりません。
矯正治療中に虫歯になると、矯正装置を除去して虫歯の治療に専念しなければならなくなることもありますから、そうならないように適切に予防することが大切です。
○歯を強くする
虫歯の原因菌が作り出す乳酸にエナメル質が溶かされないようにするためには、酸に対して歯を強くすることです。
その方法が、『フッ化ナトリウム』という薬です。
みなさんが『フッ素』とよんでいらっしゃる薬は、正しくは『フッ化ナトリウム』といいます。
フッ化ナトリウムを歯に作用させると、それだけで歯を酸に対して溶かされにくい強い歯にすることができます。
フッ化ナトリウムの配合されたうがい液でうがいをしたり、フッ化ナトリウムのジェルを歯に塗ったりするほか、フッ化ナトリウムの配合された歯磨き粉で歯を磨くことも効果的です。
特に、最近では1450ppmという高濃度フッ素配合歯磨き粉が販売されていますから、日常の歯磨き粉をこれに変えるだけで、虫歯予防効果が高まります。
ただし、6歳未満のお子さんには使えないのでご注意ください。
○虫歯の原因菌を減らす
虫歯菌を減らすためには、虫歯菌が潜んでいるプラークを取り除くこと、つまりプラークコントロールが1番の対策です。
お口のケア イコール プラークコントロールと言われるほどに、プラークコントロールは、お口のケアの基本です。
プラークを取り除く方法は、歯磨きで物理的にプラークを取り除くことが最も効果的です。
矯正治療中は、歯磨きがしにくくなりますから、ワンタフトブラシなど特殊は歯ブラシを使ってみるといいでしょう。
また、プラーク自体を作り出さないようにするために、近年販売されているプラークを抑える効果のあるマウスウォッシュを使ってみるのもいいですね。
○食べ物の工夫
虫歯菌の栄養源を断つことも虫歯予防のポイントです。
具体的には、虫歯菌は、砂糖をはじめとした炭水化物から栄養を得ています。
そこで、砂糖の量を減らしたり、甘いものを食べる時間や回数を減らしたりしましょう。

■矯正治療中の歯周病の予防
プラークの中にいる歯周病菌が、歯肉炎や歯周炎を引き起こすメカニズムはいろいろ考えられています。
例えば、歯周病菌が作り出す内毒素という毒素成分や、歯周病菌自体の成分が直接的に歯ぐきの炎症を引き起こすという説や、それらに対する人間側の免疫反応が歯ぐきを傷めてしまうといった説までいろいろあります。
いずれにしても、歯周病を発症させないためには、歯周病菌を増やさないようにすることが肝要です。
そのために大切なのが、プラークコントロールです。
歯周病は、歯と歯の間の歯ぐきから始まることが多いため、歯と歯を歯間ブラシやデンタルフロスで清掃するようにしましょう。
そして、定期的にスケーリングやルートプレイニングを受けて歯石を取り除きます。
虫歯の予防では、フッ化ナトリウムを使った歯の強化ができますが、歯周病では歯ぐきを強化する方法はありません。
それゆえに、歯周病対策では、プラークコントロールがより一層重要となります。
また、最近では、歯周ポケット内にミノサイクリン塩酸塩製剤(商品名ペリオクリンr)などの抗菌薬軟膏を直接注入する治療も行われています。
これは、歯周ポケット内の歯周病菌に抗菌薬を作用させ、歯周病菌そのものを直接的にコントロールさせ、歯周病を改善しようというものです。
歯周病の悪化は、矯正治療において重要な歯を支える骨に直接的に影響を及ぼすため、適切な予防管理が重要となります。

矯正治療での抜歯
2021年9月9日
こんにちは
矯正治療では、歯並びをきれいに整えるために抜歯をすることがあるのをご存知ですか?
これは当院でも同じで、残念ながら抜歯しなければ歯をきれいに収められないこともあります。
歯並びをきれいにするために矯正治療を受けているはずなのに、どうして歯を抜く必要があるのでしょうか。
また、抜く歯はどのようにして選んでいるのでしょうか。
今回は、矯正治療での抜歯についてお話ししますね。
■矯正治療での抜歯の目的
矯正治療で抜歯をする目的は、
①歯の大きさと歯を並べる顎の骨のバランスをとること
②正常な上顎と下顎の歯の噛み合わせを得ること
③理想的な顔かたちを得ること
です。
①はわかりやすいと思います。
歯を並べようとしても、顎のサイズの方が小さいときれいに並べることはできません。
抜歯をして歯を減らすことで、歯を並べるスペースを確保しようというわけです。
②は、歯がきれいに並べば、噛み合わせも良くなりますから、こちらもわかっていただきやすいでしょう。
③は意外に思われるかもしれませんが、歯並びは顔つきに大きく影響しています。
歯並びがきれいに整えられると、顔つきも良い方向に変わっていきます。
抜歯を行うことで、歯並びを少しでも理想的な状態に近づけ、顔つきも同時に整えようということです。
■矯正治療で抜歯をすることで得られるメリット
では、抜歯して矯正治療を行うとどのようなメリットが得られるのでしょうか。
○歯のスペースが確保できる
まだ生えてきていない歯が生えてきやすくするほか、歯をきれいに並べるために移動させるスペースの余裕を得ることができます。
この結果、歯並びの形だけでなく、噛み合わせるという機能面においても、矯正治療の成功の可能性が高まります。
○矯正治療後の安定性
ギリギリで歯を並べると、矯正治療が終わったのち、再び歯並びが悪くなってしまうリスクが高まります。
抜歯して、余裕を持って歯並びを整えると、そうしたリスクを下げ、矯正治療後歯並びがより長期にわたって安定できるようになります。
○病的なファクターをなくせる
例えば、一度虫歯や歯周病になった歯は、いったん落ち着いても、再び症状が現れることも珍しくありません。
矯正治療のためとはいえ、虫歯や歯周病になっている歯、もしくはなっていた歯を抜歯すると、矯正治療中、あるいは矯正治療を終えたのちに虫歯や歯周病が再発するリスクをなくすことができます。
病的なファクターとしては、虫歯や歯周病以外に、外傷で歯根がダメージを負った歯や、過剰歯という余分な歯や、親知らずなどの埋もれたままの歯などもあります。
■矯正治療の抜歯に伴うデメリット
矯正治療にはメリットだけでなく、デメリットもあります。
○歯並びの連続性がなくなる
例えば、前歯の隣に大臼歯という大きな親知らずがあると、形の違いがあまりにも大きすぎます。
歯並びは、そんなことなく、前歯から奥歯にかけて、少しずつ変化しながら、スムーズに並んでいます。
歯並びをきれいにするためとはいえ、歯を抜きますと、スムーズな歯の流れが失われてしまいます。
○お口の容積が狭くなる
お口の容積は、歯並びの内側の容積ともいえます。
歯がなくなると、その分お口の中の容積が小さくなってしまいます。
○噛み合わせの安定性が悪化することがある
歯並びの状態によっては、歯を抜きますと噛み合わせの安定が難しくなってしまうこともあります。
○歯の移動距離が長くなる
抜歯したスペースを埋めるために歯を移動させるのですが、抜いたところを埋めるための移動距離はとても長くなります。
歯の移動距離が長くなると、それだけ歯を支える歯周組織や移動した歯の根そのものへの影響も大きくなります。
○前歯の重なりが深くなりやすい
上顎と下顎の前歯は、少し重なり合う程度が理想的です。
もし、上顎の前歯に下顎の前歯が隠れてしまうようでは、重なり合いが深くなりすぎということになります。
抜歯をして歯並びを整えようとするとそのリスクが高くなります。
■適した歯を抜歯しなかったら
実は、歯並びをきれいにするためなら、どの歯を抜いてもいいというわけではありません。
歯並びをきれいにするために犠牲になってもらう歯は、正しく選ぶ必要があります。
もし、適した歯以外の歯を抜歯すると、以下のようなリスクが生じます。
○隙間が残ることによる見た目の悪化
一番わかっていただきやすいリスクがこれですね。
抜歯した歯が大きすぎるなどの理由で、残った歯を動かしてもきちんと隙間を埋められなかった場合、歯並びに隙間が残ってしまいます。
隙間が残った歯並びになってしまい、治療後の見た目があまりきれいにならなくなってしまいます。
○隣の歯の傾斜
抜歯して歯並びを整え、矯正治療を終えたとします。
そのとき先ほどの例にあったように抜歯した後の隙間が残っていると、その隙間に対して、隣の歯が傾きながら寄ってきます。
隣の歯が隙間に向かって傾くと、隙間の隣の歯とその隣の歯との間にも隙間ができてしまいますから、同じように後ろの歯が寄ってきます。
そうです、隙間が残ったままになっていると、隙間の見た目だけでなく、歯並び自体も再び悪くなってしまいます。
○噛み合わせの悪化
隙間があると、その分上顎と下顎の歯が適切に噛み合わせられなくなります。
すなわち、噛み合わせがかえって悪くなってしまうリスクも生まれます。
○前歯の傾き
上顎、下顎の前歯が後ろに向かって引かれることで、内側に向かって傾くことがあります。
○大臼歯の前方への移動
抜歯をしたのちに隙間が残ってしまった状態が続くと、大臼歯という奥歯が前に向かってずれてしまうこともあります。

■抜歯すべき歯の選び方
矯正治療を行うためにどの歯を抜歯するのか、その歯はどのようにして選ぶのでしょうか。
○必要なスペースが得られる大きさの歯であること
矯正治療で抜歯する第一の理由は、歯並びをきれいに整えるためのスペースを得ることです。
もし、抜歯して得られたスペースだけでは歯をきれいに収めきれないようでは、なんのために抜歯したのかわかりません。
しかも、抜歯して得られたスペースの4分の1は、どれほど隣の歯をしっかりと止めていても近づいてきて塞いでしまうと言われていますので、この4分の1を見越しただけのサイズを選ぶ必要があります。
矯正治療で抜く歯を選ぶときには、その歯のサイズが必要なスペースを余裕をもって満たすことができるかどうか、これが1番の条件といえます。
○抜歯後の歯の移動が容易であること
いくら、抜歯した歯の大きさが必要なスペースと照らし合わせて適切だったとしても、抜歯して得られたスペースが歯を移動させにくい場所にあっては矯正治療はスムーズに進みません。
抜歯したのちに進められる矯正治療が、順調に進められるような位置にある歯を選ぶことも大切です。
○隣の歯に悪影響を及ぼさないこと
抜歯する歯の隣に生えている歯は、もちろん残すのが大前提です。
しかし、抜歯する歯を支えている骨の状態、抜歯する歯と隣の歯との位置関係などにより、抜歯した場合に、何らかの悪影響が残そうとしている隣の歯におよびそうな場合は、その歯を抜歯するのは避けなければなりません。
改めて、隣の歯に影響しないような歯を選ぶ必要があります。
○見た目に影響しないこと
仮に、前歯を抜いたとします。
前歯は、外観に大きく影響する歯です。
前歯の大きさがたとえ、必要なスペースとマッチしていたとしても、隣の歯に悪影響を及ぼさない歯であったとしても、前歯がなくなってしまうと、治療後の外観に影響が出るのは避けられません。
理想的な顔つきにすることも矯正治療の目的のひとつですから、見た目に影響するような歯を抜歯してはなりません。
○歯並びの持つ機能に影響しないこと
歯には、見た目だけではなく、食べ物を噛む、言葉をはっきり発音できるようにするなどの機能的な役割があります。
適当に歯を抜いてしまった結果、歯固有の機能が損なわれてしまうようでは、矯正治療の意味がなくなってしまいます。
矯正治療が終わったのち、機能的な面で悪化が生じないような歯を選ばなければなりません。
○左右両方を抜くこと
もし、右側の歯だけ、左側の歯だけ抜くとなると、歯並びのバランスが狂ってしまいます。
その結果、上顎と下顎の歯並びの真ん中が合わなくなってしまうばかりか、歯並び自体が体の中心線からずれてしまうことにもなります。
見た目が悪くなってしまうだけでなく、歯並びの対称性もなくなってしまいます。
抜歯する場合は、右も左も均等になるように抜歯する歯を、かつ原則的には同じ名前の歯を選ばなければなりません。
○予後の悪い歯を優先
例えば、第一小臼歯という前から4番目の歯と第二小臼歯という前から5番目の歯の形はとてもよく似ています。
抜歯する歯をどちらにしようかと迷うことも珍しくありません。
そんなとき、いずれかの歯が、欠けたり割れたりしている、深い虫歯になっている、根の先に膿の袋ができているような場合は、健康な歯の方ではなく、そちらを選ぶようにします。
■第一小臼歯が多い理由
実際の矯正治療の現場では、歯並びの状態や骨格の状態はみなさん異なりますから、一律にどの歯を抜くのが適していると決まっているわけではありません。
先ほどお話ししたように、抜く歯を選ぶにはいろいろな条件を考えて、慎重に選ぶ必要があります。
けれども、一般的に多いのは、第一小臼歯です。
第一小臼歯がよく選ばれるのには理由があります。
○前歯の歯並びを整えるのに有利
第一小臼歯は、前歯部に近い、つまり前歯を移動させやすい位置にあります。
そのため、前歯の乱杭歯や上顎前突、下顎前突などの治療にも十分対応できます。
○奥歯の歯並びを整えるのにも有利
奥歯の歯並びを整えるにも、移動させやすい位置にあるため、奥歯の矯正治療にも利用しやすいです。
○噛み合わせの安定性にも有利
下顎の歯の幅を全て足した数値を上顎のそれで割ったものをオーバーオールレイシオと言います。
第一小臼歯なら4本抜歯しても、オーバーオールレイシオがそれほど変わらないため、奥歯の噛み合わせを安定させやすいです。
○機能上の問題も少ない
第一小臼歯は、元々それほど噛み合わせの力が大きくないので、抜歯しても噛み合わせの力という機能的な点でのマイナスがほとんどありません。

マウスピース型の矯正歯科装置
2021年9月3日
こんにちは!
最近、マウスピース矯正ってよく耳にして興味がある方って増えていると思います。
今日は当院で扱っている「インビザライン」についてお話していきます。
みなさんは今までの矯正治療のイメージはなにがありますか?
・金属のワイヤーが目立つ
・何年も治療期間がかかる
・毎月調整に通う
・矯正装置を調整したばかりだと何日かお食事の際に痛くて噛めない
・歯磨きがしにくいため、虫歯になりやすい
・食べ物が挟まる
このようなイメージから興味はあるけど諦めた経験がある方もいらっしゃると思います。
■目立たない矯正治療とは
矯正治療というと、金属製の矯正装置を歯の表側につける姿をイメージする方がほとんどではないでしょうか。
中には歯の裏側に装置をつけたり、プラスチックやセラミックの器具にしたりして、目立ちにくくしているタイプもあります。
インビザラインは、それらとは一線を画す透明なマウスピース型矯正歯科装置を使った矯正治療法です。
多くの方がマウスピースと聞くと、スポーツのときや顎関節症の治療で使用するような分厚いマウスピースを想像するかと思います。
インビザラインのマウスピースは、透明ですから装着していても目立ちません。
厚みもとても薄いため装着中の違和感も少なくなっています。
そのため、接客業の方もお仕事中にできるとあって、とても注目されています。
■来院回数も少ない
マウスピース矯正は、インビザラインだけではありません。
インビザライン以外のマウスピース矯正の場合、来院のペースは、およそ2〜3週おきです。
それは、治療を進めるための新しいマウスピースを製作する必要があるからです。
ところが、インビザラインでは、基本的に最初に1度歯型を取ると、3次元画像化技術とCAD/CAM技術により、将来必要となるマウスピースまでまとめて作成できるようになっています。
そのため来院の頻度は6~8週間に1回のペースと、来院の回数を少なく抑えることができます。
■痛みが少ない
インビザラインの特徴のひとつに、ワイヤー矯正と比べて治療中の痛みの少なさがあります。
では、インビザラインはどうして痛みが少ないのか、お話していきますね!
矯正治療中に痛みを感じる理由は、ふたつです。
ひとつは、頬や唇などに矯正装置が当たって傷をつけること、ふたつは、歯を動かすことです。
ワイヤー矯正の矯正装置は凸凹としていますから、角のある硬い部分が頬や唇に当たると、口内炎ができてしまいます。
インビザラインなら、滑らかなプラスチック製のマウスピースなので、頬や唇に傷を作ることがありませんから、傷による痛みが生まれないわけです。
では、ふたつ目の歯を動かすときの痛みとはいったいどういうことでしょうか。
矯正治療で、歯を動かすために歯に力を加えると、歯の周囲を覆っている骨に、吸収と新生が生じます。
歯を動かす方向、つまり圧力の加わる側の骨には、破骨細胞という骨を吸収させる細胞が生まれ、骨を溶かしていきます。
そして、反対側では、骨芽細胞の働きで新しい骨が作られ、歯が移動してできた隙間を埋めています。
この破骨細胞による骨の吸収と、骨芽細胞による骨の新生は、骨のリモデリングという全く正常な現象なのですが、矯正治療では歯を人為的に動かすことで、骨吸収が起こる側に痛みの元となる物質が生まれます。
これが歯を移動させるときに痛みが生じる原因です。
ここまで読むと、ふと疑問が浮かんできませんか?
インビザラインも、ワイヤー矯正と同じく矯正治療ですから歯を移動させます。
歯を移動させなければ、歯並びは整えられませんよね。
では、どうしてインビザラインはワイヤー矯正より痛みが少ないのでしょうか。
それは、インビザラインの歯を動かす仕組みに理由があります。
ワイヤー矯正では、ブラケット、つまり一箇所に力が加わり歯を移動させようとします。
一方、インビザラインは、歯の頭部分、つまり歯冠全体をマウスピースで覆って、歯
全体に力を加えて、歯を移動させます。
歯を移動させる力の強さは、ワイヤー矯正もインビザラインも同じくらいの強さなのですが、インビザラインは歯全体に力が加わりますから、力が分散されるというわけです。
インビザラインもワイヤー矯正も歯を移動させますが、歯に加わる力のかけ方が少し異なるために、インビザラインは歯を動かすときの痛みが少なくなると考えられています。
■歯周病、虫歯のリスク
ワイヤー矯正は、ご自身では取り外しができませんから、食事の後の歯磨きがとてもしにくくなります。
そのため、ワイヤー矯正での治療中は虫歯や歯周病の発生のリスクが、治療を受けていない場合と比べてとても高まります。
矯正治療を受けている間に虫歯や歯周病になってしまうと、治療を中断して、虫歯や歯周病の治療をしなくてはならなくなります。
インビザライン矯正は、ご自身で矯正装置であるマウスピースの取り外しができますから、食後の歯磨きがとてもしやすいというメリットがあります。
もちろん、お食事の時もマウスピースを外していただけますから、お食事の最中に食べ物が矯正装置に挟まって気持ちが悪くなることもありません。
取り外して歯磨きができる点は、インビザラインなどのマウスピース矯正の利点なのですが、マウスピースをつけている間は、歯や歯ぐきの周囲への唾液の流れが悪くなってしまいます。
唾液には、お口の中の虫歯菌や歯周病菌の活動を抑える抗菌作用や、お口の中の汚れを洗い流す洗浄作用、虫歯菌によって溶かされた歯を治す再石灰化作用、お口の乾燥を防ぐ湿潤化作用などいろいろな働きがあります。
インビザラインのマウスピースの装着時間は、1日22時間です。
食事と歯磨きのとき以外は、ほとんどマウスピースを付けているといってもいいでしょう。
この間、唾液のさまざまな働きは、歯に作用されにくくなり、虫歯や歯周病のリスクが高まります。
外出先での食事など、お食事の後歯磨きができないというときも、少なくともうがいだけはしてください。
また、マウスピースをつけていると、お口の中が乾燥しやすくなりますから、こまめな水分補給でお口の中を潤いしてください。
お水ならマウスピースをつけたまま飲んで頂いても問題ないです。
このようにインビザライン矯正は他の矯正治療に比べて虫歯のリスクが少ない矯正方法ですが、リスクが全くないわけではありませんからご注意ください。
■認定医院
当院は、インビザラインを開発したアライン社から、治療レベルで上位クラスにあたる「プラチナエリート」という認定を受けた歯科医院です。
インビザラインは、治療レベルに応じて7つのランクが設定されています。
当院が認定を受けている「プラチナエリート」は、インビザラインによるマウスピース矯正を、年間81症例以上行った医院を対象としています。
このほかに、アライン社では、歯科医院単位ではなく、診療にあたる歯科医師単位でも認定制度を設けています。
それは、「インビザドクター」という認定医制度です。
インビザドクターは、インビザラインでの治療経験が50症例以上を認定の基準とした制度です。
大きな歯科医院では、歯科医院自体がインビザラインから認定を受けていても、そこで治療にあたる歯科医師がすべてインビザラインに精通しているとは限りません。
そこで、歯科医院の認定と別に、歯科医師の認定医制度を設けているわけです。
当院の担当医は、インビザドクター、つまりインビザライン「認定医」を取得しております。
安心してご相談ください。
みなさんメリットがあるとデメリットも気になりますよね?
良い面ばかりに気を取られて治療を始めるとデメリットに気づいてきちんと治療が進まないことになると残念ですよね。
治療を始める前に必ず知っておきましょう。

■自己管理が必要
マウスピース矯正とワイヤー矯正の違いはいろいろありますが、ワイヤー矯正以上に重要となるのが、自己管理です。
インビザラインでのマウスピース矯正では、その他のマウスピース矯正と異なり、すぐに使っていただくマウスピースだけでなく、そのマウスピースの次の段階で使う交換用のマウスピースも一緒にお渡しすることができます。
交換用のマウスピースもまとめてお渡しできることが、インビザライン矯正の特徴であり、通院回数を減らせるというメリットにつながっています。
これを言い換えると、患者さまご自身が、歯科医師から支持されたタイミングで、次の新しいマウスピースに取り替えなければならないということを意味しています。
もちろん、交換するマウスピースを間違えてはいけないことは言うまでもありません。
先ほどお話しした自己管理とはこのことで、自己管理こそが、マウスピース矯正を成功させるカギと言っても過言ではありません。
少し面倒臭いと思うこともあると思います。
しかし!理想の歯並びを得るためにも頑張りましょう!
インビザライン矯正では、マウスピースをご自身の手で取り外せますから、矯正装置の隙間に食べ物が挟まったままになる心配はありませんが、矯正治療中の虫歯や歯周病は、矯正治療を中断させる原因となります。
お食事を楽しんだ後は、ブラッシングやデンタルフロスでのお口のケアをしてからマウスピースをつけるのが理想的ですが、それができないときは、うがいだけでもしてください。
そして、うがいの後で、マウスピースをつけるようにお願いします。
■マウスピース以外の矯正装置が必要なこともある
インビザライン矯正では、マウスピースだけでは歯並びをきれいな状態に整えられないという場合、「アタッチメント」という小さな矯正装置を歯の表面につけることがあります。
マウスピースは、このアタッチメントの上から装着します。
すると、マウスピースからの力がアタッチメントに作用して歯に伝わり、歯が移動するという仕組みです。
マウスピース矯正といいますが、完全にマウスピースのみで治療できて、歯には何も着けないとお思いの方も多いと思いますので、注意が必要です。
また、「チューイー」という丸いチューブをつけることもあります。
これは、マウスピースと歯をしっかりとフィットさせるために用いられます。
新しいマウスピースをはめると、マウスピースの歯並びと実際の歯並びにギャップがあることがあります。
もし、マウスピースが歯から浮き上がったまま装置を使用すると、歯に適正な力がかからず、当初の治療計画通りに歯は動きません。
そこでチューイーを装着して、歯にマウスピースをフィットさせて、歯にしっかりと力を加えるというわけです。
いかがでしょうか?
少しはマウスピース矯正についての不安が取り除けたでしょうか?
しかし、マウスピース矯正はすべての方が適用なわけではありません。
抜歯を必要とするような歯を動かす距離が大きい場合など、マウスピース矯正だけでは限界があるという場合がないわけではありません。
そのようなときは一定期間、ワイヤーとブラケットによる矯正を併用することもあります。
目立ちにくい、痛みが少なくできると思い、マウスピース矯正したいけど、目立つのは困るなと思う方。安心して下さい!
あなたにとって最適な矯正治療法をご提案させてください。
もっと詳しく知りたい。インビザラインで矯正治療を始めてみたいという方はぜひ、一度ご相談ください。
