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歯の矯正治療期間に寄せる当院の想い

2022年2月25日

こんにちは、世田谷区の三軒茶屋デンタルデザイン歯列矯正歯科です。
当院では患者様の歯並びや咬み合わせをはじめとする、お口まわりのさまざまなお悩みを解決するために、無料で個別相談を受け付けています。加えて当院では、他の多くの医院様が3万円程度で行うことの多い検査、診断までも無料で行っております。実際に、検査や診断までを行っても矯正治療を行わない患者さまもいらっしゃいますので、どうぞご安心ください。

診断まで行うのはなぜか。それは、ひとえに矯正治療にかかる期間が長く、そのことが患者さまの負担になっているということに対する想いがあるからです。今日は矯正治療の期間について、当院が矯正治療に対して抱いている想いを含めお話しします。

 

患者様の心に寄り添い、情熱をもって理想を共有

患者様の心に寄り添い、情熱をもって理想を共有

 

目次

■歯の矯正にかかる期間はどのくらいか
■当院での3つの取り組み
■情熱を持って矯正治療に向き合います

■歯の矯正にかかる期間は2種類あります


基本的に治療期間は、お口の状況と、理想とする歯並びとのギャップがどれだけあるかによって変わってきます。
歯列矯正に必要な期間は、歯を動かす距離と現在の歯の状態で変わります。歯は歯槽骨の中に、歯根膜繊維によってハンモックのように吊り下げられています。骨の代謝を利用して、歯を立体的に少しずつ動かしていくことで、歯並びや歯の向きを機能的にかつ美しく整えることができます。
なお、虫歯が見つかった際は、原則として矯正治療の前に虫歯を先に治療しますので、さらに時間が必要になります。
歯を抜く場合はどうでしょう。歯を動かせるすき間が生じるために動かしやすくなるだろうとお考えのかたがいらっしゃるかもしれません。たしかにすき間はできるのですが、もともとあった歯がなくなってしまった結果、歯を動かす距離が増えますので、当院ではできるだけ矯正にあたっての歯を抜くことは避けるようにしています。
詳しくはリンクをご覧ください。

さて、移動させたら矯正完了、治療終了、というわけにもいかないのが矯正治療期間のわかりにくいところです。矯正によって一旦移動させた歯は、定着するまでは前の姿に戻ろうとするホメオスタシスと呼ばれる力が働きます。ホメオスタシスは生命活動の基本であり、これが働くことは必要で重要なことです。ですが、せっかく矯正治療を施した歯並びを後戻りさせるわけにはいかない。そのため、矯正治療の終了後、リテーナーと呼ばれる保定装置を装着する期間が生じます。
矯正治療をしたのに歯並びが崩れてしまったというケースの多くは、保定が不十分だったことから生じています。保定は一般的に矯正と同じ期間必要といわれますが、患者さまの歯並びや口周囲の筋肉・舌癖などの影響によって後戻りのしやすさは異なりますので、定期的に通院して主治医の判断を受ける必要があります。

まとめますと、歯科矯正にかかる期間には、矯正装置を使って治療する「歯を動かす期間」と、治療後に動かした歯を保定する「保定期間」の2つがあります。
また、歯は限られたスペースを使いごくわずかな力を使って動かしていきますので、目指す歯並びという理想と現実のギャップが大きいとそれだけ治療期間は長くなります。

 

■当院での3つの取り組み


保定期間も含めると長い期間の通院が必要となる矯正治療ですが、患者さまの負担を少しでも軽くするため、当院では3つの取り組みを行なっています。

○ライトフォース理論に基づいた矯正

当院では、骨の新陳代謝を促進する「ライトフォース理論」を取り入れています。これは、骨代謝に関係する毛細血管をつぶさないよう、血管の弾力より弱い力をかけて歯を動かすことで、代謝活動を妨げない、結果として歯の移動が従来の方法よりスムーズに行われるというものです。ライトフォース理論は加える力が従来より1/2~1/5程度に弱めているので、痛みも軽減されるというメリットがあります。

 

○マウスピース型矯正

針金を使う矯正に比べ、見た目が自然で気になりにくいことで選ばれやすいマウスピース型の矯正装置ですが、当院が採用しているインビザラインは、他のマウスピース型矯正歯科装置と比べ「来院回数を6〜8週間に1回程度まで短縮できる」特徴もあります。
インビザラインでは、歯の移動予測イメージをコンピュータで正確にシミュレーションしており、治療に必要なマウスピースをまとめて数十個単位で作成します。従来のマウスピース型矯正装置ですと、通院の度に型をとって作成する時間がかかってしまいましたし、歯型を取る作業も患者さまに負担になってしまっていました。当院はインビザラインでの治療実績がトップクラスのダイヤモンドプロバイダーで、他の歯科医院様で矯正がうまくいかなかったケースも治療できた実績を持っています。

 

○相談・検査・診断の3ステップの無料化

一般的に、矯正治療を始める前には相談・検査・診断の3つのステップがあります。それぞれのステップでどのようなことを行うかをご説明します。

◇相談

歯並び・咬み合わせやお口の中で気になっていらっしゃることについてカウンセリングを行い、矯正治療の概要についての説明させていただく機会です。多くの歯科医院様が矯正に関する無料相談・カウンセリングを受け付けています。

 

◇検査

精密検査を行い、歯や歯槽骨の状態、歯並びを構成する顎や口元、顎関節など顔全体の状態を詳しく把握します。当院では積極的にデジタル機器を導入し、精密かつ正確に患者さまの歯並びの状態を捉えています。

 

◇診断

精密検査の結果を分析し、どういった治療方針が立てられるかをご説明します。当院では、あくまでも客観的に診断し、事実をお伝えすべく、検査と診断までを無料で行なっております。時間も手間もかかる検査・診断プロセスは有料とする歯科医院が多い中、なぜ診断まで無料にしているかというと、患者さまにできるだけ必要な情報を多く届け、たくさん悩んでいただき、ご自身が「この医院、この先生に診てもらいたい!」と感じた上で治療を始めていただくことこそが治療の成功につながると確信しているからです。

 

当院の無料検査・診断についてはホームページでもご案内しております。

 

■情熱を持って矯正治療に向き合います


本日は、歯の矯正治療の期間についてお話しいたしました。矯正期間、保定期間、矯正を速やかに進めるため、ご自身の矯正計画を理解し、納得して臨んでいただくための当院でのさまざまな工夫についてこれまでにも何度かお伝えしてきました。矯正治療を望まれる方は、みなさんそれぞれの「理想」を抱いて歯科医院へ来られます。決して簡単ではない矯正治療に臨まれる際、その患者さまの現実と理想のはざまにいるお悩みは、歯並びと咬み合わせの専門家のひとりとして、いつも胸を打たれます。

矯正治療は「経験」「知識」「技術」「センス」があれば対応できますが、私はいつも「患者様の心に寄り添い、情熱をもって理想を共有できるか」を加えています。情熱というと少々古くさいかもしれませんが、患者さまの理想に向かって、スタッフ一同がともに治療期間を伴走し続けることこそが、決して簡単なことではない歯列矯正の成功と患者さまの満足という成果につながるのだと信じています。

矯正治療を始めるのは遅いということはありません。いま一度ご自身の歯を見つめ直す、矯正治療という選択肢と向き合ってみてはいかがでしょうか。ぜひ一度当院へご相談ください。

 

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歯科矯正で「歯を動かす」しくみ 〜歯の構造と矯正治療での動かし方

2022年2月18日

こんにちは、世田谷区の三軒茶屋デンタルデザイン歯列矯正歯科です。

 

当院は患者様の歯並びや咬み合わせをはじめとする、お口まわりのさまざまなお悩みを解決するために、無料で個別相談を受け付けています。

このブログをお読みの皆さんは、歯並びの矯正にあたって「歯を動かす」という説明をお聞きになったことがあろうかと思います。試しにご自身の歯を指でつまんで揺すってみてください。なんとなく動きそうな気がしますか?動くような気がするけど、すぐ戻ってしまうような感覚を持たれるのではないでしょうか。
今日は矯正治療で「歯を動く」しくみについて、みなさんとおさらいしていきます。

目次

■歯と歯のまわりの構造
■「歯が動く」しくみ
■矯正治療での歯の動かしかた
■「歯並びと咬み合わせの専門家」である当院にご相談ください

■歯と歯のまわりの構造


歯は押すことで動かすことができる、ということは、古くは紀元前後の古代ローマの医学者アウルス・コーネリウス・ケルススが、歯は押すことで移動できるということを著書に記しています。いったい歯はどういう構造で成り立っているのでしょうか。

 

歯の断面を切った図をお示しします。上のほうに飛び出している白い部分が歯冠、多くのかたがイメージする「歯」です。歯冠の表面はエナメル質と呼ばれる物質からできており、人間のからだの中でもっとも硬い組織です。どのくらい硬いかといいますと、もっとも硬いダイヤモンドを10とした時の6から7程度、ちょうど水晶と同じくらいの硬さになります。
歯は見える部分だけではないというのは、歯が抜けた時のことを思い出していただけるとお気づきかと思います。根のようなものがついてますね。歯の根、歯根(しこん)と呼ばれます。この歯根は、あごについた歯槽骨と呼ばれる骨の中に、歯根膜を介して植わっています。歯が骨に植わっている状態は、釘が板に打ち付けられているのに似ていることから「釘植(ていしょく)」と呼ばれます。
歯根膜とは、歯根部分の表面(セメント質)と歯槽骨の間を結び付ける繊維性の組織です。歯の靭帯とも呼ばれ、食べ物をかむ際に歯にかかる力を吸収・緩和し、歯に加わる力が直接歯槽骨に伝わるのを和らげるという重要な役割を担っていますが、実際はコラーゲン線維がおよそ半分を占める厚さ0.3㎜位のごく薄い組織です。この薄い組織の中にたくさんの血管が通っています。

釘植というと、硬いところにぎしぎしと植わっているようなイメージを持たれるかもしれませんが、歯は、歯根膜繊維によって歯槽骨の中にハンモックのように吊り下げられています。歯根膜があることで、歯は通常噛むことでわずかに沈んだりちいさな揺れを生じたりすることができます。歯根膜は、食事の時などで噛みしめたときにさまざまな方向から加わる力をうまく逃して、力が歯に加わりすぎるのを防ぐ免振機能の役割を果たしているのです。

 

歯の断面図

歯の断面図

 

■「歯が動く」しくみ


噛んだ時の力を逃すために歯が動くとしても、歯槽骨に埋まっているかぎり、そんなにたくさんは動かせないのではないか、とお思いの方が少なくないと思います。
歯を押したら動く、といってもすぐに戻りますよね。しかも、びっしりと並んでびくともしない歯が、矯正装置をつけているとはいえ1本ずついろいろな方向に動いていくのは不思議なことのように思われます。
しかし、歯は同じ向きに持続的に力を加えていくことで、少しずつ力の加わった方向に動くしくみになっているのです。骨が代謝することと、からだが自身のバランスを保ち続けようとするホメオスタシス(恒常性)という性質による、歯が動くしくみをご説明いたします。

歯を一方方向に押し続けると、押された側の歯根膜が窮屈になります。なぜなら歯根膜の外側には歯槽骨があり、圧迫されるからです。そして、歯に押されることで歯ぐきを通っている血管がおされて貧血状態になります。逆に、押した側の歯根膜は歯槽骨から引っ張られ、ゴムが伸びてしまっているようなかたちになります。
本来歯槽骨にちょうどいいバランスで埋まっていたはずの歯根が偏ると、体は歯根膜の元の幅を保とうとします。具体的には、窮屈な側の歯槽骨を溶かして貧血状態を正常の状態に戻そうとする破骨細胞という細胞が働き始めます。あわせて、力が加えられた逆の場所には、歯槽骨を新たにつくる骨芽細胞という細胞も出現し、新たに歯槽骨をつくる作用が働き、歯槽骨が減り続けないようなバランスをとるのです。

わざわざ骨を溶かす必要はあるの?という思われる方もいらっしゃるでしょう。これは、物を動かす時のことを想像していただけるといいかと思います。物を移動させるためには、まず移動させる側の場所を空けなければいけませんよね。破骨細胞の活動は、新たなバランスを取るために場所を空けることが目的だったのです。
また、新たに骨ができるといわれてもピンとこない方もいらっしゃるかもしれません。親知らずを抜いた時を思い出してみてください。抜いた直後は穴が空いたような状態になり、ご飯粒が詰まっていやな思いをされたことと思います。ですが、しばらく経つといつの間にか穴がなくなっていませんか?これが骨芽細胞の仕事です。

 

■矯正治療での歯の動かしかた


矯正治療では、さまざまな歯の動かし方で、美しく機能的な歯並びに導きます。具体的には、次の7つの移動方法があります。

○歯の位置を移動させる

  • 歯体(したい)移動
    歯を傾けることなく、平行方向に動かす移動法です。歯根を平行に動かすためには、歯冠に正確でしっかりとした力をかけることが必要です。
  • 傾斜移動
    傾斜移動は、歯根の根の先から1/3付近を中心に、歯を傾斜させながら歯冠を動かす移動法です。歯冠に力を入れると、歯は通常は根の先端付近を支点として回転するように動きます。

歯体移動と傾斜移動をうまく組み合わせることで、理想的な歯並びへ動かしていきます。

 

○歯の向きを移動させる

  • 回転
    歯の向きが悪い時に、歯の長軸を中心にして回転させる移動法です。中心となる支点に対してうまく力をかけることで回転します。
  • 圧下(あっか)
    伸び出している歯全体を根の方向に向かって沈めるように動かす移動法です。
  • 挺出(ていしゅつ)
    歯根を歯冠の向きに引っ張り出すように動かす移動法です。
  • 根尖(こんせん)移動
    歯冠を中心に歯の根の先の向きを動かす移動法です。
  • 整直(せいちょく)
    傾いた歯根の向きを正確な向きに合わせることです。

 

歯は見えている部分だけきれいに並んでいればよいわけではありません。歯槽骨の中でも一定間隔で均しく並んでいることが望ましいといえます。
歯根が傾いたままの状態で咬み合わせの力が加わると歯や歯槽骨にかかる負担が大きくて、歯と歯周組織にダメージを与えることになります。歯並びがより良い状態を維持するためには、見えるところだけではなく、歯槽骨(顎の骨)の中の歯根の配列にも気を配る必要があるのです。

 

■「歯並びと咬み合わせの専門家」である当院にご相談ください


本日は、歯が動くしくみについてあらためてご説明させていただきました。外から見える部分、見えない部分含め、歯並びがとても繊細なバランスで成り立っていることのイメージを共有していただけたのではないでしょうか。
当院では、患者さまひとりひとりの歯のバランスをていねいに測ってお伝えするため、「矯正相談」だけでなく「検査診断」までを無料で実施しています。検査診断は一般的には数万円かかりますが、矯正治療は一般の歯科治療と比べ治療期間も長く、費用もかさみます。患者さまが納得して治療を始められるよう、当院ではできるだけご説明を差し上げたいと考えております。
いま一度ご自身の歯を見つめ直す、矯正治療という選択肢と向き合ってみてはいかがでしょうか。ぜひいちど当院へご相談ください。

 

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矯正治療中に起こりうるトラブルにはどんなものがあるのか?予防や対策についても解説

2022年2月4日

「矯正歯科治療中は痛みが出る」と聞く人は多いのではないでしょうか?「矯正は痛い」といったイメージを持っている人も多いかと思います。また、痛み以外にも、「装置を入れることによって何かお口の中にトラブルが起こるのではないか」と心配に思っているという人もいるのではないでしょうか? 矯正歯科治療に興味はあるけれど、このようなマイナスのイメージを持っている人もいるかもしれません。
矯正歯科治療中には、治療のステップに合わせて、口腔内にさまざまな装置を装着します。また、矯正歯科治療は治療期間が比較的長期間にわたるため、治療中にはさまざまなトラブルが起こる可能性があります。トラブルによっては、早めに対応しなければ、治療が計画通りに進まなくなってしまうこともあります。
ここでは、矯正歯科治療中に起こりやすいトラブルについて、トラブルが起きたときの対処方法や日常生活における注意点について説明していきます。どのようなトラブルが起きやすいかをあらかじめ知っておくことで、もしトラブルが起きたときでも冷静な対応をとることができるかと思います。

目次

■矯正治療中に起こりうるトラブルについて
■まとめ

矯正治療中に起こりうるトラブルについて


矯正歯科治療中に、ワイヤーの破折や接触による痛みを生じることがあります。そうした偶発的な事項について、また、それら偶発事項への対応の仕方について解説します。

○ブラケットの脱離

マルチブラケット法では、ワイヤーとブラケットの存在は必須であり、ブラケットが歯から脱離すると、歯の動きが生じなくなります。ブラケットは動的治療終了時に外せる程度の接着力であるため、矯正歯科治療にブラケットが脱離することがあります。

◇予防と対処法

矯正歯科治療中に硬いものを食べないように注意が必要です。かみ合わせの強い(ディープバイト)場合は、咬合挙上などの処置が必要になる場合もあります。
また、脱離した場合には、患者さんにできるだけ早く来院してもらいリカバリーすることが大切です。脱離したまま長期に放置すると、ワイヤーの破折や歯肉の退縮など、二次的なトラブルが発生することもあります。

 

○ブラケットの粘膜・舌への接触

ブラケットは角があったり、フックがついていたりするため、装着初期には粘膜・舌と接着して違和感を誘発します。特に、リンガルブラケット矯正の場合、下顎に装着したときに舌への違和感が出ることが多いです。

◇予防と対処法

次第に軽減していくので、3日~2週間程度で慣れてくるということを患者さんに事前に知っておいてもらうことが大切です。

 

○発音障害

発音障害に関しては、リンガルアーチ、トランスパラタルアーチなど歯列の内側に装着する装置の場合に、違和感を覚えやすくなります。特に、リンガルブラケット矯正の場合、上顎に装着すると発音に影響が出やすく、音として「さ行」「た行」「ら行」が装着初期に発音しにくいといわれています。
(トランスパラタルアーチ:口蓋を横切る矯正線で左右臼歯を連結した固定用の装置)

◇予防と対処法

装着後、舌が順応するまで、発音障害があります。個人差はありますが、通常は数週間で症状は軽減してきます。最近は違和感の少ない小型の装置を使用することで、順応しやすくすることができます。

 

○口内炎

口内炎は機械的な刺激(ブラケットが粘膜に触れるなど)だけが原因ではなく、患者さんの習癖も影響することがあります。頬粘膜内側に口内炎が頻発する場合は、口腔周囲筋の緊張が強かったり、口呼吸により口腔内が乾燥していたりすることも多いと思われます。舌側装置が誘発する口内炎なども舌位や舌癖、食いしばりなどが影響していることがあります。食いしばる癖があると舌を歯に押しつけていることが多いです。そのような環境でリンガルブラケット装置を装着すると、違和感も強く舌にも痛みを覚えます。

◇予防と対処法

通常は1週間程度で消失していきますが、長期に喪失しない場合は歯科の受診を勧めます。
また、マルチブラケット装置による治療の際、最後臼歯に装着したチューブが粘膜にあたる場合は、歯の動きを阻害しないように軟性レジンなどでカバーしておくと違和感が軽減します。
患者さんの習癖が影響している場合は、MFT(口腔筋機能療法)を行うことで軽減するということもあります。MFTは、口の周りにある筋肉の働きを正常化することを目的として開発された機能訓練療法です。

 

○ワイヤーの破折

ワイヤーは矯正歯科治療のステージに応じて太さ、硬さ、材質を変えていきますが、治療中に破折することもあります。折れた末端が舌に接すると痛みが出るため患者さんも気づきますが、ブラケットの境目で折れている場合は患者さんも気づかず、歯の位置がずれてしまう場合があります。

◇予防と対処法

食いしばりのある患者さんはワイヤーの破折が生じやすいので注意が必要です。

 

○歯石の沈着

下顎前歯の舌側にブラケットやフィックスリテーナーを装着していると、歯石が沈着しやすくなります。歯石が沈着すると歯の動きを阻害したり、歯周病のリスクも高くなったりしてきます。
(フィックスリテーナー:両側犬歯をバンドや接着剤を使って固定し、舌側からワイヤーで連結する方法)

◇予防と対処法

定期的な歯石除去が必要で、保定中でもワイヤー固定をしてある場合は定期的な歯科受診が必要です。

 

○歯科矯正用アンカースクリューによる歯肉の腫脹、アンカースクリューの脱落

歯科矯正用アンカースクリューとは、口腔内の顎骨に植立し、固定に使用するスクリューです。歯科矯正用アンカースクリューは粘膜上に一部が露出しているため、食物残渣が停滞し、歯肉の炎症を誘発することがあります。また、スクリューが緩んで脱落することもあります。

◇予防と対処法

歯科矯正用アンカースクリュー植立後、2週間経過時から歯肉上のスクリューヘッド部の清掃を行うことが大切です。矯正装置と同様に食物残渣によるプラークを除去し、丁寧に清掃します。

 

○装置の埋入

マルチブラケット装置による治療の際、時としてワイヤーの一部が歯肉を強く圧迫してしまうことがあります。また、リンガルアーチを装着した場合、前歯舌側の部分が粘膜に埋入することがあります。

◇予防と対処法

必要に応じて一部装置の除去や装置自体の再設計を考慮する場合もあります。

 

○レジン床の圧迫による口腔粘膜の疼痛

床矯正装置(保定装置など)の場合は、辺縁部が不適合であったり、鋭利であったりすると、口腔粘膜に強くあたり疼痛や潰瘍(褥瘡性潰瘍)を引き起こすことがあります。

◇予防と対処法

一度装置を外し、傷が癒えてから再度正確な位置に装着していきます。装着時に、装着感や発音などに違和感があれば、歯科医師に申し出てください。そうすることでトラブル回避につながります。

 

トラブル発生時は歯科医院に対応を相談

トラブル発生時は歯科医院に対応を相談

 

まとめ


矯正歯科治療中は、さまざまな装置を口腔内に装着するため、いろいろなトラブルが起こることがあります。よく起こりうるトラブルとしては、「ブラケットの粘膜・舌への接触による違和感」や「装置の装着初期の発音障害」、「装置の装着が影響する口内炎」などがあります。これらのトラブルの多くは、1週間~2週間程度で慣れてくるケースがほとんどです。そのため、しばらく様子をみていただいて問題ありません。
しかし、トラブルによっては早めに対処が必要なものもあります。例えば、「ブラケットの脱離」や「ワイヤーの破折」、「歯科用アンカースクリューの脱落」などといったトラブルの場合、トラブルを長期間放置しておくと、歯の位置がずれて治療計画が狂ってしまったり、二次的なトラブルにつながったりすることもあります。このような場合は、早めの歯科受診が必要となってきます。
矯正歯科治療は、多くの症例で2年~3年といった長期の治療期間を要します。歯科医師も患者さんも気を付けていたとしても、トラブルは起こってしまいます。もしトラブルが起こったときには、自己判断で放置したりせずに必ず歯科医院に連絡して、対応を相談することが大切です。

初診「個別」相談へのご案内

当院では、患者さんが抱えていらっしゃるお口のお悩みや疑問・不安などにお応えする機会を設けております。どんなことでも構いませんので、私たちにお話ししていただけたらと思います。
ご興味がある方は下記からお問い合わせください。

電話でのお問い合わせ

03-6805-5765

住所

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