フッ素とは何?/東京都世田谷区三軒茶屋「三軒茶屋デンタルデザイン歯列矯正歯科」
2018年1月21日
こんにちは三軒茶屋デンタルデザイン歯列矯正歯科、歯科衛生士の三輪しおりです。
北海道から引っ越しを行い早3ヶ月が立ちました。こちらは雪がなく季節が戻ったような感覚がありましたが、やっと生活のペースをつかめるようになりました。
忙しいとどうしても生活が乱れてしまうものです。
忙しさから歯磨きの時間も短くなってしまう…というのも耳にしたことがあります。
私自身も歯磨きをおろそかにしてしまい、歯茎が腫れたりしている時期がありました。
歯科医院に通うことは忙しいと、予約を取るのにも時間が合いにくいこと、
できれば怖いし行きたくないところという理由で虫歯になってから…
痛くなってから受診される方がほとんどかと思います。
歯医者に行ったことがある方はご存知かと思いますが、治療回数が1回で終わることはなかなかないですよね。
忙しい方が治療内容にもよりますが週に1度のペースで歯科医院へ通うのはとても難しいことだと思います。
そうなる前に予防が必要なのです。
少なくとも半年に1度(望ましいのは3か月に1度)歯科医院にて定期健診を行うことと、自宅での正しいケアが必要です。
歯科医院での定期健診とは虫歯や歯周病になっていないかを確認し、歯のクリーニングや、フッ素ケアを行うことであり、自宅でのケアとは正しい歯磨きとフッ素の使用です。
矯正治療中は特に虫歯のリスクも高いためフッ素でのケアが必要となります。
今日はそのフッ素についてお話します。
そもそもフッ素って何?
フッ素という言葉を知っていますか?
CMやドラッグストアのポップ等で見たり聞いたりしたことがあるかと思います。
フッ素=虫歯予防ですが、使用方法を誤ってしまうと適切な効果が得ることが出来ません。
フッ素とは天然に存在する元素の1つであり、お茶や海産物にも含まれています。
人体において必要な微量元素として人間の体内ではカルシウム、カリウム、ナトリウム、鉄に次いで含有量が多く、歯や骨を作る再石灰化には欠かせないものです。
(再石灰化とは口の中の酸が歯の1番表面の組織であるエナメル質の内側から溶かし初期の虫歯状態になった状態を修復すること)
フッ素による再石灰化の働きにより虫歯になる事を防いでいます。そのため削る必要のある虫歯になってから使用するのではなく、予防的なフッ素の使用を継続して行うことが重要です。
歯医者でのフッ素と自宅でのフッ素は何が違うの?
歯科医院で使用するフッ素と市販にて販売されているフッ素では含まれているフッ素の濃度が異なります。
歯科医院の定期健診(3~6ヶ月に一度)などで使用されているフッ素は9000ppmであり一般的な歯磨き粉に使用されているフッ素は1000ppmです。(ppmとは濃度の単位出あり1000ppmの歯磨き粉だと0.1%のフッ素が含まれているということです)
今年の3月に厚生労働省が1000ppm以下としていた歯磨き剤に含まれるフッ素濃度を1500ppmまでに引き上げました。
欧米ではフッ素が1000~1500ppmの歯磨き剤が一般です。そのため日本がやっと世界の基準値になったということです。しかし早い年齢からフッ素濃度の高いものの使用は控えていただきたいです。それは誤ったフッ素の使用方による危険性があるからです。
フッ素って危険と聞いたことがある?
結論から言うと使用料や対象年齢を守れば安全にご使用いただけます。
年齢ごとに使用フッ素濃度の基準があります。
なぜそのような基準があるかというと、「急性毒性」「歯のフッ素症」という問題があるためです。
急性毒性とは?
誤って大量のフッ素を直接服用した場合に限り起こります。
経口中毒の際に現れるものとして頻度の高いものから嘔吐、腹痛痙、痙攣、全身および筋の脱力感、虚脱、呼吸困難、麻痺言語障害、口渇、微弱脈、色覚障害、失神。運動不正などがあり、死亡している例もあります。
嘔吐などの急性中毒が発生するフッ素の量は歯科医院で綿球を使用し歯に塗布するものは(9,000ppm)1㎏に対してフッ素が2㎎です。これは3歳児の例ではフッ素の薬剤をしみこませた綿球33個分となります。1回の塗布につきその量を塗布することはあり得ません。また市販でこれだけフッ素濃度の高いものはないため誤飲という心配はありません。
しかし、フッ素の洗口剤を使用している方はご自身での管理を怠ってしまうと誤飲から急性中毒の危険性がたかいです。
フッ素洗口剤にもフッ素の濃度が異なるものがありその濃度によって毎日洗口を行うもの(900ppm)と週に1度洗口を行うもの(226ppm)があります。
毎日洗口を行うものは15キロの体重(約3歳児)と考えたときに33mlで急性中毒の症状がでてしまいます。そのため、フッ素洗口はしっかりと洗口のできる年齢から行う必要があり、4歳以降から低濃度である毎日方を行い、小学生以降は毎日方か週1回方を選択し、継続したフッ素洗口を行ってください。
フッ素洗口剤を飲み込んでしまった!対処法は?
嘔吐や腹痛を訴えている場合はまずフッ素によるものかを確認し、フッ素洗口剤を誤飲してしまったと思われる量を確認してください。上記にあったフッ素洗口剤を33ml誤飲したのであれば牛乳やアイスなどのカルシウムを含むものを飲ませ、経過観察を行ってください。これ以上の量や、どのくらいフッ素洗口剤を飲んだのか全く分からない場合は牛乳を飲むことや吐き出させること、直ちに受診し入院する必要があります。この時にフッ素洗口剤誤飲の可能性を必ず伝えてください。地域に救急車を呼ぶべきなのか答えてくれる窓口などもあるので携帯電話への登録をしておくと便利です。
またフッ素入りの歯磨き剤や、洗口剤はお子様の手に届かないところに保管してください。
歯のフッ素症とはなに?
慢性的な症状である歯のフッ素症とはエナメル質という歯の1番表側の組織が生え変わりの前にフッ素の継続的な過剰摂取により生ずるエナメル質の形成不全です。どのような症状かというと、軽度であれば歯の1部分が白濁、中度~重度となると凹陥部が形成されるという症状がおこります。4歳ごろになると永久歯の歯の頭の部分(エナメル質を含む)がほぼ完成しているため、歯のフッ素症の心配はありません。そのため、4歳以下はフッ素症を避けるためにも500ppm以下のフッ素歯磨き剤を使用して下さい。
フッ素はどのくらい効果があるの?
フッ素を使用したから必ず虫歯にならないというわけではありません。個人個人の食生活の違いや、唾液の分泌量、歯ブラシがしっかり行えているのかによっても虫歯へのリスクが異なります。
一般的に歯科医院で塗布を行うフッ素の虫歯抑制率は永久歯で20~40%と言われています。
自宅でのフッ素洗口剤は20 ~50%、歯磨剤は15~20%です。
しっかり磨いているのに虫歯になってしまった…というかたは多いのではないですか?
フッ素は毎日のブラッシングに補助的にプラスしていくことが大切です。
フッ素は市販の歯磨き粉のほとんどに含まれていますが、歯科医院での定期的な高濃度フッ素の塗布や、効果的な使用法を守っていただくことがとても重要です。
また、正しいブラッシングやブラッシング後の洗口を行えていますか?歯と歯の間に歯間ブラシやデンタルフロスを使用していますか?
市販でも磨き残しをチエックできる薬剤も販売していますので1度確かめてみるのもいいかもしれませんね。
市販の歯磨き粉の成分表に「フッ素と記載がない」
フッ素入りと書いているのに成分表にはフッ素とは書いてありません。
フッ素にも種類がありそれぞれに名前があるからです。
通常市販されているものには「モノフルオロリン酸ナトリウム」「フッ化ナトリウム」という主に2種類のフッ素があります。モノフルオロリン酸ナトリウムは唾液で分解されてフッ素が遊離し、フッ化ナトリウムはすぐにフッ素が歯へ作用します。
効果的なフッ素の使用方法
適切なフッ素配合歯磨き剤、フッ素洗口剤の使用量を知っていますか?
フッ素入り歯磨き剤は
6ヶ月 3㎜程度
3~5歳 5㎜程度
6~14歳 1㎝程度
15歳以上 2㎝程度
の量で使用し
フッ素入り洗口剤は3歳~5歳(うがいが出来る頃から)で5~10ml、6歳以上は10ml~15mlです。
フッ素を全て流してしまっていませんか?
ミント味の強い歯磨き粉が好まれる方も多くいらっしゃいますが、歯磨きの後何回お口をゆすいでいますか?
おそらく歯磨き粉の味が完全に無くなるまでゆすぐとなると4~5回程行っていませんか?
実はフッ素も一緒に流れてしまうため、ゆすぐ回数は15mlで1回が適切であり、ゆすぐ回数が多いほどフッ素はどんどん流れていきます。
また歯科医院でフッ素を塗布した後や自宅でのフッ素入り歯磨き粉やフッ素洗口を実施した後に飲食などはされてないですか?せっかくの効果が薄れてしまいます。フッ素ケア後30分間はうがいや飲食を避けてくださいね!
フッ素のケアの後うがいをしないと危険ではないの?
危険ではありません。口の中に残るのは塗布や洗口した量の25%程であり、身体に害を及ぼす量ではありません。
また、フッ素は尿として排出されるため問題はありません。
当院では歯磨き粉の味が薄めでフッ素濃度が1,450ppmの歯磨き剤を販売しております。ぜひお試しください。
私は銀歯が一つもなく、今までも虫歯の治療は2回程しか経験がなく、歯科衛生士として働いてからは虫歯になっていません。経過観察状態の歯は学生時代からありますが、適切なブラッシンングや、フッ素のケアにより治療の必要は現在もありません。
忙しい方こそ、毎日のケアをしっかりと行っていただきたいですね。
また、矯正治療中は器具により清掃が困難になり虫歯になってしまう場合がありますが、
正しいブラッシングとフッ素ケアにより虫歯を防ぐことが出来ます。
矯正装置を付けたときには必ず磨き方の説明も行っていますのでご安心ください。
当院では矯正治療。ホワイトニングのほかに歯のクリーニングも行っていますので1度しっかりとケアを行いませんか?