三軒茶屋デンタルデザイン歯列矯正歯科を運営する医療法人D.D.Orthoが監修しています。
目立たない裏側矯正
2021年11月5日
目立たない裏側矯正は歯の表面に器具をつけるのではなく、歯の裏側に器具を付けて行う矯正治療のことです。舌側矯正、リンガル矯正とも呼ばれています。
歯の裏側につけることによって気づかれることなく矯正治療を行うことができます。
お口は顔の中でも目立つパーツです。接客業など職業柄、目立つ装置がつけられないと器具への抵抗があり、矯正治療ができない方には最適な方法です。
■舌側矯正を始めることで起こる問題
裏側矯正は比較的新しい治療法で、従来の表側矯正と術式が異なり、高度な技術が必要です。
一般的な歯列矯正は歯の表面に「ブラケット」と呼ばれる装置を付けて、ワイヤーを通して歯を動かすので目立ってしまうというイメージがあると思います。
矯正装置には目立ちにくいタイプがありますが、この裏側矯正が最も目立ちません。装置をつけていることさえも気づかれにくくなります。
裏側矯正は上顎の歯の裏側、下顎は表側に装置を取り付けるというコンビネーションもあります。目立ちにくくなり、よほど大きなお口を開けない限り正面から装置が見えることはないため、広く支持されております。
裏面に装置を取り付けた際に発生し得るトラブルに対処するため、表の処置では実施しない処置が必要なケースも見られます。
○バイトアップ
一般的に歯は上と下の顎の噛み合う箇所がぶつかり合います。
裏側矯正は上顎の歯の裏に装置を装着するため、一般的には噛み合わせを上げるためのプラスチックを用いることも多くありますが、これは前歯が当たらないようにする処置です。もしこういったことを行わない場合は、上の前歯の裏に装着されているブラケットに前歯が当たってしまい、装置がハズれることもあります。
噛み合わせが深い方はバイトアップを多くすることになり、結果として違和感も覚えるはず。
バイトアップしている下の歯に噛む力がかかってきます。すると下の歯が並んで、歯の根部分の方向に移動し、他の歯が移動しやすくなるわけですね。
前歯の裏や上の奥歯の内側は、歯が噛み合う箇所ですから、継続して裏側矯正の装置を取り付けるわけにはいけません。意図的に噛むことができない状況を作り上げ、装置に歯がぶつからないようにします。
バイトアップを取り付けるとその期間はその箇所のみでしか噛むことができず、短期間ではありますが我慢する必要があります。
○発音
表面の矯正より発音しにくくなるかもしれません。
しかし徐々に慣れてくるでしょう。
○補助的な装置
最終的な調整の際に噛み合わせが浅くなるケースもみられ、自分でゴムかけをすることになります。
通常は裏側にフックを設置してゴムかけをすることになるものの、難しい場合には表面に白色のボタンを付けてそこにゴムをかけることもあります。
■舌側矯正の利点
裏側矯正のメリットとしては
- スポーツなどで外傷が少ない
- 舌癖防止で後戻りのリスクが減る
- 歯の表面にダメージがない
- 他人に矯正装置が見えない
- 歯が前に出ている症例では後退させやすい
スポーツをしているときは裏側なので頬や唇を傷つけるリスクが少ないです。
出っ歯の方に多く見られる舌癖。舌で前歯を押す癖が出っ歯を引き起こす可能性の1つと言われています。
リラックスしている時の舌はいわゆるタンスポットと呼ばれる場所にあるのが一般的です。ですが、癖などによって本来舌があるべきではないところにあると、例えば歯の裏側を長期間押し続けてしまいます。
頬と唇が内側に押すパワーと舌が外に押すパワーは絶妙な力加減で均衡を保っているわけですが、タンスポットから外れた場所に舌があり、例えば前歯を押してしまっていると均衡が崩れてしまい、出っ歯になりかねません。
裏側矯正は歯の裏に装置が取り付けられていて、歯の裏を舌で押す癖を改善する効果も期待できます。矯正装置が舌の癖を防止するためのアイテムとしても活躍してくれるわけですね。そして装置を外した後に舌の癖が改善されていると、矯正が終わった後の後戻りの可能性も減るでしょう。
矯正治療の際には、奥歯を固定ポイントに設定し、前歯を引っ張り歯を後ろに移動させることもあります。表側矯正だと前歯が後ろに動かず、固定源の奥歯が前方に引っ張られて、歯の移動がうまくいかないケースもあります。
裏側矯正は装置が固定源となる歯を後ろに引き込むことを得意にしているため、前歯の動きもスムーズに行いやすいです。例えば、出っ歯、受け口の場合、裏側矯正はおすすめな治療法になります。
痛みの軽減、矯正期間の短縮のカギになっているのが、ワイヤーとブラケットと呼ばれる矯正装置間の摩擦の度合いです。摩擦が小さければ痛みの軽減や短期間治療を可能にします。これまでの矯正装置は結さつ線で、矯正装置を固定していました。結さつ線を利用すると、どうしてもワイヤーとブラケットの間で摩擦が生じてしまい、痛みや治療期間の長期化の原因となっておりました。
しかし、当院で利用しているクリッピーシステムは結さつ線を利用しないため、痛みの軽減、治療期間の短縮を可能にします。

舌側矯正には様々なメリットがある
■舌側矯正の欠点
裏側矯正のデメリットとしては
- 装置の違和感が大きい
- 発音がしにくい
- 噛み合わせを上げることがある
- 飲食の際のストレス
矯正装置をつけると舌に靴ズレのように装置と擦れる部分ができます。
そして擦れた部分に口内炎ができやすいです。
特に下顎の奥歯に装置をつけた際に、舌の根元部分に口内炎が発生しやすいです。
ただ、時間が経つと口腔内で装置に慣れて問題なく過ごすことができると思います。
三軒茶屋デンタルデザイン歯列矯正歯科では従来装置よりも快適な「クリッピー」と呼ばれるシステムを利用しています。
装置が薄いため、違和感が少なく、発音のしにくさも軽減されました。
バイトアップしているときはそのまま食事をしていただく形になります。
食事がしにくいと少し負担をかけることもありますが、矯正治療終了するときにはすべて取り外します。
表側矯正の場合は外食先で装置にどうしても食べ物が挟まって見えると人目を気にすることもあると思います。
裏側矯正は、装置が歯の裏側についており、そういった心配は無用です。
■まとめ
装置が目立ちにくいという点では、マウスピース矯正という手段もあり得ます。
しかしマウスピース矯正では対応不可なケースもあります。
その場合は裏側矯正がおすすめで、表から装置が見えないので審美的にも優秀ですね。
裏側矯正を始める前と同じように見た目を気にせずに、口元を隠さず思いっきり笑って過ごしながら矯正治療ができるって嬉しいですよね。
メリットがあればデメリットがあります。
きちんとご納得いただけるようカウンセリングを行い、メリット・デメリットも含めお口に合った治療方針を詳しくご説明いたします。
裏側矯正は一般的な表側矯正治療のデメリットである見た目の問題をクリアし、機能性でも優れた矯正法です。矯正中は周りの目も気にせず矯正治療を始めることができます。
歯並びが悪いと見た目だけではなく、噛み合わせに影響します。正常な噛み合わせ、美しい歯並びを目指して矯正治療しましょう。