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この記事の監修者

三軒茶屋デンタルデザイン歯列矯正歯科を運営する医療法人D.D.Orthoが監修しています。

院長:内澤 朋哉

監修者
内澤 朋哉

経歴

2009年 北海道医療大学歯学部卒業
2009年 北海道医療大学院歯学研究科
2014年 北海道医療大学歯学部歯科矯正学講座
2015年 こうざき歯列矯正歯科クリニック勤務
2017年 三軒茶屋デンタルデザイン歯列矯正歯科開院

前歯の重度叢生は4本抜歯で治る?表側矯正で改善した症例

2026年7月23日

前歯の叢生とは、歯を並べるスペースが不足し、歯が重なったり前後にずれたりしている状態です。

患者さまからは「前歯がガタガタしている」「歯が重なっている」と相談されることもあります。

軽度の叢生では、歯列の拡大や歯の側面をわずかに削る方法などにより、歯を抜かずに治療できる場合があります。一方、歯を並べるスペースが大きく不足している重度の叢生では、抜歯によってスペースを確保することがあります。

この症例では、上下の歯列に大きなスペース不足が認められたため、上下左右の第一小臼歯4本を抜歯しました。さらに、左側の臼歯関係を改善するため、左上の親知らずも抜歯して上顎臼歯の後方移動を行いました。表側ワイヤー矯正で犬歯の牽引、前歯の配列、抜歯スペースの閉鎖、咬合調整を行い、2年6カ月で重度の叢生と左右で異なっていた臼歯関係を改善しました。

※治療結果や治療期間には個人差があります。

症例の概要


項目 内容
年齢・性別 20代・女性
主訴 前歯の叢生(でこぼこ)を改善したい
診断 上下顎の重度叢生、上下顎歯列のスペース不足
骨格的分類 Skeletal Class I
前歯の傾斜 上下顎前歯ともに標準的
治療前の臼歯関係 右側:Angle Class I/左側:Angle Class II
使用装置 表側マルチブラケット装置(表側ワイヤー矯正)
便宜抜歯 上下左右の第一小臼歯4本
親知らずの抜歯 左上親知らず1本(左上臼歯の後方移動スペースを確保するため)
治療内容 犬歯の牽引、レベリング、抜歯スペースの閉鎖、臼歯関係・噛み合わせの調整
動的治療期間 2年6カ月
治療後の保定 固定式保定装置(フィックスリテーナー)とマウスピース型保定装置
治療費 82万円(税込)
主なリスク・副作用 歯の痛みや違和感、口内炎、虫歯、歯肉炎、歯根吸収、歯肉退縮、治療期間の延長、治療後の後戻りなど

※治療費は治療当時のものです。現在の治療費とは異なる場合があります。

※治療結果や治療期間、必要な抜歯部位には個人差があります。

治療前の歯並びと噛み合わせ


動的治療前の口腔内写真

上下の前歯に重度の叢生を認めました

治療前の口腔内写真では、上下の歯列に重度の負のA.L.D.が認められました。

A.L.D.とは「Arch Length Discrepancy」の略で、歯を並べるために必要なスペースと、実際に歯列に存在するスペースとの差を示します。「負のA.L.D.」は歯を並べるスペースが不足していることを意味します。

今回の症例では、特に前歯部で歯の重なりや位置のずれが大きく、歯列の拡大や歯の側面を削る方法だけで、前歯を適切な位置に並べることは難しい状態でした。

左右で奥歯の噛み合わせが異なっていました

治療前の臼歯関係は、右側がAngle Class I、左側がAngle Class IIでした。

右側の奥歯の前後的位置関係は比較的良好でしたが、左側では上の歯列が下の歯列に対して前方に位置していました。そのため、前歯を並べるだけでなく、左右の臼歯関係の違いにも配慮した治療計画が必要でした。

レントゲン写真とセファロ分析


パノラマX線写真とは?

パノラマX線写真は、上下の歯、歯根、親知らず、顎の骨などを1枚の画像で広範囲に確認する検査です。

矯正治療前には、主に次の項目を確認します。

  • 歯の本数や欠損歯の有無
  • 親知らずや埋伏歯の位置
  • 歯根の長さや形態
  • 顎の骨や歯の周囲の状態

これらの情報をもとに、矯正治療を進められるかを確認するとともに、必要に応じて親知らずの抜歯時期や治療方法を検討します。

 

パノラマX線写真で確認された内容

初診時のパノラマX線写真

パノラマX線写真では、右上の親知らずは確認できませんでした。そのほかの永久歯に欠損はなく、歯根の長さや歯冠・歯根の形態にも、矯正治療上問題となる明らかな異常は認められませんでした。

左上・左下の親知らずは完全に萌出し、上下で噛み合っていました。一方、左側のAngle Class IIの臼歯関係を改善するため、左上臼歯の後方移動を計画しました。その際、後方への移動スペースを確保する目的で、完全萌出していた左上の親知らずを抜歯しました。

右下の親知らずは、手前の第二大臼歯側へ傾いた近心傾斜の状態でした。親知らずと第二大臼歯の間は清掃が難しく、虫歯などのリスクが高くなる可能性があるため、状態を説明したうえで抜歯を推奨しました。

セファロ分析とは?

セファロ分析とは、頭部X線規格写真を用いて、上下顎の位置関係、前歯の傾斜、顔貌や口元のバランスなどを客観的に評価する検査です。

主に次の項目を確認します。

  • 上顎と下顎の前後的・垂直的位置関係
  • 上下顎前歯の傾斜や突出度
  • 顎の骨格と顔貌・口元とのバランス

口腔内写真やパノラマX線写真、顔貌写真、歯型などの検査結果とあわせて、抜歯の必要性や歯を動かす方向を検討します。

 

今回のセファロ分析結果

初診時のセファロ分析

セファロ分析では、骨格的にはSkeletal Class Iで、上下顎の前後的位置関係はおおむね調和していました。

また、上下顎前歯の傾斜は標準的でした。

そのため、今回の主な問題は顎の骨格的な前後差ではなく、上下の歯列におけるスペース不足と、それに伴う重度の叢生であると判断しました。

なぜ上下4本の第一小臼歯を抜歯したのか

今回の症例では、上下ともに歯を並べるスペースが大きく不足していました。

無理に非抜歯で前歯を並べようとすると、前歯が必要以上に前方へ傾斜したり、歯列が外側へ広がったりする可能性があります。また、歯槽骨や歯肉の状態によっては、歯肉退縮などへの配慮も必要です。

そこで、上下左右の第一小臼歯を計4本抜歯し、前歯と犬歯を適切な位置に配列するためのスペースを確保しました。

なお、第一小臼歯4本は叢生を改善するための便宜抜歯です。左上の親知らずは、左側の臼歯関係を改善するために上顎歯列を後方へ移動させる目的で、別に抜歯しています。

抜歯の必要性や抜歯する歯は、叢生の程度だけでは決まりません。前歯の傾斜、口元、顎の骨格、歯槽骨、噛み合わせ、親知らずの状態などを総合的に評価して決定します。

表側ワイヤー矯正による治療の流れ

STEP1 一部の歯に装置をつけて犬歯を牽引

治療開始時からすべての歯にブラケットを装着するのではなく、まず一部の歯に装置を装着しました。

重度の叢生がある状態で前歯をすぐに並べようとすると、歯の移動方向や前歯の傾斜を十分に管理できない場合があります。そのため、第一小臼歯の抜歯によって得られたスペースを利用して、最初に犬歯を牽引しました。

犬歯を移動させることで、重なっていた前歯を並べるためのスペースを段階的に確保しました。

STEP2 すべての歯にブラケットを装着してレベリング

犬歯の牵引が進み、前歯を並べるスペースが確保できた段階で、すべての歯にブラケットを装着しました。

その後、細いワイヤーから段階的に交換しながら、歯の高さや傾き、ねじれを整えるレベリングを行いました。

前歯を一度に無理に動かすのではなく、歯の位置と歯根の状態を確認しながら、段階的に歯列を整えています。

STEP3 残った抜歯スペースを閉鎖

前歯の叢生が改善した後、残っている抜歯スペースを閉鎖しました。

この段階では、単に隙間を閉じるだけでなく、前歯の傾斜や正中、奥歯の前後的位置関係を確認しながら歯を移動させます。

左側については、左上の親知らずを抜歯して上顎臼歯を後方へ移動させ、治療前に認められたAngle Class IIの臼歯関係の改善を図りました。

STEP4 噛み合わせを調整して装置を撤去

抜歯スペースの閉鎖後は、上下の歯の接触状態や左右の噛み合わせを確認し、細かな調整を行いました。

前歯の見た目だけではなく、上下の歯が機能的に噛み合うことを確認したうえで、表側のブラケットとワイヤーを撤去しました。

動的治療期間は2年6カ月でした。

治療後の変化

治療後の口腔内写真

 

治療後は、上下の前歯に認められた重度の叢生が改善し、歯の重なりやねじれが整いました。

上下左右の第一小臼歯を抜歯して得られたスペースを利用することで、前歯を無理に外側へ広げることなく歯列内に配列しています。

また、右側のAngle Class Iの臼歯関係を維持しながら、左側のAngle Class IIの臼歯関係もAngle Class Iへ改善し、左右の奥歯の噛み合わせを整えました。

※本症例の治療結果であり、すべての患者さまに同じ結果を保証するものではありません。

治療後は固定式とマウスピース型の保定装置を併用


矯正装置を外した直後の歯は、元の位置へ戻ろうとする「後戻り」が起こりやすい状態です。そのため、治療後は歯並びを安定させる保定が重要です。

今回の症例では、前歯の裏側に装着する固定式保定装置(フィックスリテーナー)と、取り外しのできるマウスピース型保定装置を併用しました。

当院では、マウスピース型保定装置について、次のように使用時間を調整しています。

装置撤去後の期間 マウスピース型保定装置の使用時間
装置撤去後1年間 食事と歯磨き以外は基本的に使用
1年〜1年6カ月 在宅時を中心に使用
1年6カ月以降 夜間を中心に使用
その後 使用時間を徐々に減らしながら長期間継続

保定装置の使用時間や使用期間は、歯並びや噛み合わせの安定状態によって異なります。上記は当院における一つの目安です。

歯は加齢や噛む力などの影響でも少しずつ位置が変化します。保定装置は「一定期間使用したら完全に終了」というものではなく、良好な歯並びを維持するため、可能な限り長く使用することが推奨されます。

固定式保定装置が外れた場合や、マウスピース型保定装置が合わなくなった場合には、歯が動く可能性があるため、早めの受診が必要です。

Q&A


4本抜歯を伴う叢生の矯正には何年かかりますか?

全体矯正の治療期間は、2〜3年程度が一つの目安です。今回の症例では、犬歯の牽引、前歯の配列、抜歯スペースの閉鎖、咬合調整を行い、動的治療期間は2年6カ月でした。

ただし、叢生の程度、抜歯スペースの大きさ、歯の動き方、顎間ゴムの使用状況、通院間隔などによって治療期間は異なります。

重度の叢生は必ず抜歯が必要ですか?

重度の叢生であっても、すべての症例で抜歯が必要とは限りません。

叢生を改善するスペースをつくる方法には、主に次のような選択肢があります。

  • 歯列を適切な範囲で拡大する
  • 奥歯を後方へ移動する
  • 歯の側面をわずかに削る
  • 前歯の傾斜を調整する
  • 小臼歯などを抜歯する

どの方法が適しているかは、スペース不足の大きさ、前歯の傾斜、口元、顎の骨格、歯槽骨の幅、歯肉の状態、親知らずの有無などによって異なります。

抜歯・非抜歯の判断には、口腔内写真だけでなく、パノラマレントゲン写真やセファロ分析などを含めた精密検査が必要です。

まとめ


今回ご紹介したのは、上下の前歯に重度の叢生が認められた症例です。

上下左右の第一小臼歯を計4本抜歯し、表側ワイヤー矯正によって、犬歯の牽引、前歯のレベリング、抜歯スペースの閉鎖、噛み合わせの調整を行いました。

また、左側のAngle Class IIの臼歯関係を改善するため、左上の親知らずを抜歯して上顎歯列の後方移動を行っています。治療期間は2年6カ月でした。

前歯の重なりが大きい場合でも、歯を並べるスペースの不足量や骨格、前歯の傾斜、噛み合わせを正確に診断することで、改善を目指せる場合があります。

前歯のガタガタや重なり、抜歯矯正が必要かどうかでお悩みの方は、矯正歯科で精密検査を受け、治療方法について相談することをおすすめします。

矯正治療に伴う主なリスク・副作用


  • 装置装着後や調整後に、歯の痛みや違和感が生じることがあります。
  • ブラケットやワイヤーにより、口内炎ができることがあります。
  • 装置周囲の清掃が不十分な場合、虫歯や歯肉炎のリスクが高くなります。
  • 歯の移動に伴い、歯根吸収や歯肉退縮が生じることがあります。
  • 歯の移動速度には個人差があり、治療期間が延長する場合があります。
  • 顎間ゴムの使用状況や来院間隔などにより、治療結果や期間が変わることがあります。
  • 治療後に保定装置を適切に使用しない場合、後戻りする可能性があります。
  • 固定式保定装置が外れたり破損したりした場合、歯が移動することがあります。

参考資料

 

でこぼこでお悩みの方へ


「自分の歯並びも抜歯が必要なのか」「歯を抜かずに治療できる可能性はあるのか」と疑問をお持ちの方もいらっしゃると思います。抜歯の必要性は、でこぼこの程度だけではなく、顎の骨格、前歯の傾き、口元のバランス、歯槽骨の状態などを総合的に評価して判断します。

三軒茶屋デンタルデザイン歯列矯正歯科では、セファロ分析やパノラマX線写真、口腔内写真などを用いて診査・診断し、それぞれの患者さんに適した治療方法をご提案しています。八重歯や前歯のでこぼこ、内側に入った歯でお悩みの方は、矯正相談をご利用ください。

三軒茶屋デンタルデザイン歯列矯正歯科

住所: 東京都世田谷区三軒茶屋1-32-14 園田ビル地下1階

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予約はこちら:https://www.sangenjaya-ortho.com/contact/#link01

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歯科医(ドクター)、衛生士、受付、院長含めスタッフや院内の雰囲気がわかります。

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