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後戻りについて

2021年11月26日

「歯科矯正」というと、みなさんは「歯並びの見た目を綺麗にする」という印象を持たれている方がもしかしたら多いのではないでしょうか。

実は歯並びは単純に見た目の問題だけではなく、咬み合わせを治すという意味でも重要な役割があり、さらに咬み合わせは人間の心身にも関係しています。

ただ歯を並べて綺麗にする治療ではなく、本来あるべき歯の機能を最大限に引き出してあげる治療です。矯正治療のあとは保定といって安定した咬み合わせを維持することが必要です。

目次

■歯並び・咬み合わせとメンタル
■歯並びや咬み合わせとお口の健康
■矯正治療だけでは終わらない
■まとめ

■歯並び・咬み合わせとメンタル


矯正治療で得られることは見た目の美しさ、健康、機能、メンタルがあります。

シンプルに見た目を気にされる方にとって、歯並びの悪さはメンタルに直結しています。あまり口の中が目立たないように口を押さえて話したり、笑うのも少し控えめにしたりと、見た目にストレスを抱きながら、振る舞っている方もいらっしゃいます。

歯並びの悪さによって、コミュニケーションに自信を持てなかったり、人と会うことにさえ後ろ向きになってしまうケースもあるようです。

こうしたストレスを矯正治療によって、歯並びを綺麗にすることで、自分に自信を持って、コミュニケーションに臨めるようになり、メンタルを安定させられる場合もあります。

長い矯正期間を乗り越えるためには、長期的なやる気を育てることも必要になります。

ご自身で保定期間は管理していただくことが多いです。自己管理は患者様自身でしっかり行って頂かないと十分な結果が出ません。

 

■歯並びや咬み合わせとお口の健康


歯並びが悪いとお口の健康にも悪影響を与えます。

一つは歯並びがデコボコしていると、歯磨きが難しくなり、時間をかけて歯磨きをしても、汚れを取りきれないことが多くなることです。

デコボコした歯並びに対してはタフトブラシなどの道具を使用することや、しっかり小刻みに歯ブラシを当てないと汚れを落としきれません。

取り残した汚れの中の細菌が、むし歯や歯周病を引き起こす原因となり、歯並びが悪いと歯の健康を損なう恐れが高まります。

また咬み合わせが悪い人の中に、口を閉じることが大変でいつも口が空いており、口呼吸をいつもしてしまうという事例は多く見受けられます。このような方の場合は口の中がどうしても乾燥しやすくなってしまうので口臭、風邪、睡眠時無呼吸症候群、アレルギーなどのリスクを高めます。また、むし歯や歯周病の進行を防いでくれる唾液が、歯や歯ぐきに行き渡らなくなり、むし歯や歯周病を生み出しやすい状態を作ってしまいます。

こうした点で、歯並びが悪いとむし歯や歯周病のリスクが高まり、これは矯正治療によって軽減することができます。

また、口が開いた状態が長く続けていると、口の周りの筋肉の発達が妨げられてしまいます。唇と閉じる筋肉がしっかり発達しなければ、口を閉じにくくなり、悪循環を招きます。そして、これによって姿勢にも影響し、前かがみになりやすく、結果的に背骨に影響する場合もあります。

咬み合わせは、身体の使い方のバランスに影響します。噛む力が均等に使われないため、結果的に身体を左右バランス良く使えていないということに繋がります。そうなると、私たち人間は無意識のうち、身体のバランスをとるために不自然に重心をずらして動くようになるのです。

 

歯並びが悪いと身体の健康にも悪影響

歯並びが悪いと身体の健康にも悪影響

 

■矯正治療だけでは終わらない


矯正治療が終わり、見た目の美しさ、安定した咬み合わせを維持するためには保定期間がとても重要です。

矯正治療直後は後戻りがしやすい時期です。矯正治療で「歯が動く」=「他の要因でも動いてしまう可能性がある」ということです。

特に矯正治療後は歯の周辺組織が安定せず、動きやすい、つまり後戻りしやすい状態にあります。矯正治療後は少なくとも1日20時間、保定装置を装着することが必要となります。

せっかく矯正治療が終わったのにと思う方もいらっしゃると思います。美しく整った歯をキープするための大事な過程が保定期間です。保定装置をきちんと付けていれば、後戻りはほとんどしません。逆に保定装置の装着を忘れる、装着期間が短いと徐々に歯並びは戻っていきます。

保定装置は少しずつ装着時間を減らしていき、最終的に装着をやめるという形で保定を進めていきます。舌の癖や口呼吸などの癖がある方はどうしても後戻りしやすい傾向にあるので、装着時間を減らしつつ、歯並びに変化がないか確かめながら、保定装置の終了を目指します。

正しい歯並び、咬み合わせを保つことは審美的な面、健康面にも大きなメリットとなります。保定期間中は今までの治療の財産をケアする期間と思って頂き、装置の着用をしっかり行ってください。

また、装置や、ワイヤーを下の前歯の裏側につけておくような器械的な保定と自然保定があります。

自然保定とは、動的矯正治療で得られた正常な状態を、装置を使わずに上下の歯の咬み合わせや歯相互の隣接面接触、あるいは口腔周囲の機能などによって維持することです。後戻りの原因は口腔周囲筋の不均衝、安定するまでの歯根膜線維の弾性力が原因となります。

 

○口腔周囲筋

歯列弓を正常に維持するためには、口腔周囲筋の機能力すなわち外側からのバクシネーターメカニズム(頬筋機能機構)と内側からの舌筋の作用との力の均衡がとれている必要があります。

口輪筋、頬筋、上咽頭収縮筋という筋が歯列の外側から機能力として舌圧に拮抗し、歯列や咬合の保全に関与するということです。

歯列上では、口唇、頬筋など外側から作用する力と、内側から働く舌の機能力とのバランスが保たれている。口輪筋および口角から始まる頬筋は、歯列を外側から帯状に包み、臼歯後方の翼突下顎縫線で上咽頭収縮筋と結ばれています。

 

○咀嚼筋

正常な咬頭嵌合は歯列の維持に大切である。その状態で咀嚼筋が強く緊張する食事やかみしめ時には歯列に強い力がある。下顎安静位での咀嚼筋は強緩し、上下歯列の間には一般に1~3mmの安静位空隙がある。

このように歯列には口腔周囲筋や咀嚼筋などの機能力や萌出力が三次元的に作用していて、歯列全体をきちんと保持するためにはこれらの力の均衡がとれている必要があり、これを咬合保全力といいます。

 

■まとめ


多くの後戻りの原因は治療後の保定装置を装着していなかったことが原因です。しかし、再治療となってしまうと、期間、費用がまた掛かってしまいます。

なぜ矯正医のもとで矯正治療したのに問題が生じてしまうのか。といった疑問がよぎる方もいると思います。それは担当医が機能性を考慮せず治療をしている、機能性に関しての知識が少ないからというのも原因にあります。

当院の行っている矯正歯科治療は後戻りしにくいことが1つの特徴です。

それは咬み合わせをしっかり意識した治療を行っているからです。人間の身体は回復機能を備えていますので、戻ろうとする力、一部に過度な力がかかると後戻りを促進させる現象が起きるのです。

後戻りが生じる要因は様々ありますが、歯並びが悪くなる原因が残っているか検査診断まで無料で実施しています。

治療に入るまでは費用は一切頂いておりません。プロの目線で客観的に診断させていただき、事実をお伝えしています。患者様にはたくさん悩んでくださいとお伝えしています。

以前のように何年もかかるものではありません。皆さんが想像されているよりも簡易的に対応できますので、まずはご相談ください。

 

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ハーフリンガルのメリットと、裏側矯正・マウスピース矯正・表側矯正の違い

2021年11月22日

矯正治療に使用する装置には、いろいろありますが、大人の歯がすべてはえそろった歯並びに使用する矯正装置には、マルチブラケット装置(表側矯正、裏側矯正(フルリンガル/ハーフリンガル)、マウスピース型矯正装置があります。

目次

■矯正装置の種類
■各矯正装置の値段は?違いは?
■ひとつの選択肢
■ハーフリンガルのメリットとは
■装置選択の基準
■まとめ

■矯正装置の種類


○マルチブラケット装置とは

マルチブラケット装置とは、すべての歯に接着剤でボタンを接続し、このボタンにワイヤーを通した構造となっています。

この装置の特徴は、ワイヤーがアーチ状になろうとする力を発揮し歯を動かします。

つまり、アーチに対して内側に入り込んでいる歯は外側に引っ張られ、出ている歯は内側に引っ張られます。このワイヤーの動きによって歯のでこぼこが解消されます。装置は表側矯正や裏側矯正(フルリンガル/ハーフリンガル)があります。

 

○マウスピース型矯正装置とは

マウスピース型矯正装置は、各社色々なシステムで装置を作成していますが、
マウスピース型矯正装置のひとつであるインビザラインは、デジタルシミュレーションにて治療前から治療後のきれいな歯並びになるまでの適切なステップの歯の動きを予測し、その予測されたステップごとのマウスピースを作成します。作成されたステップごとのマウスピースを約一週間おきに交換しながら装着することで、歯にきれいに並ぶ力を加えて歯が並べます。

 

マウスピース型矯正装置

 

■各矯正装置の値段は?違いは?


マルチブラケット装置には、表向き(唇側)に装置を装着する表向き矯正、裏側(舌側)に装置を装着する裏側矯正があります。

値段設定は、一般的に、裏側矯正と表向き矯正の間にマウスピース型矯正装置が設定されています。

マルチブラケット装置とマウスピース型矯正装置の違いは何かというと、最大の違いは、患者自身で装置を取り外しができるのかどうかです。マウスピース型矯正装置は患者様自身で取り外しができます。裏側矯正、表向き矯正は、取り外しができません

取り外しができることをメリットと考える人もいますし、逆に自分で管理することをデメリットと感じる方もいます。

そのため、取り外しができることをデメリットと考える方に対してはマルチブラケットを勧めております。

 

■ひとつの選択肢


先ほど、マルチブラケット装置には、表向き(唇側)に装置を装着する表向き矯正、裏側(舌側)に装置を装着する裏側矯正がありますとお伝えしましたが、

この二つの装着方法のコンビネーションがあります。

それがハーフリンガルや、コンビネーションといわれる形となります。

つまり、上顎の歯に裏側矯正、下顎の歯に表側の矯正装置をつける方法となります。

 

■ハーフリンガルのメリットとは


○値段がおてごろ

ハーフリンガルは、裏側矯正と表向き矯正のコンビネーションなので、料金も上下裏側矯正と上下表向きの矯正の間の料金となります。

 

○目立ちづらい

一般的に笑顔の時には、上顎の歯がたくさん見えたほうが魅力的と言われます。

また、大半の方は、上顎の歯が笑った時にたくさん見えることがおおいです。

そのため、ハーフリンガルの場合、大きく見える上顎の歯を舌側に、たいしてみえない下顎は表向きの装置を使用するため、マウスピース型矯正装置や、上下裏側矯正に比べると目立ちますが、表向き矯正に比較すると目立ちづらくなります。

 

○発音が楽

一般的に、裏側矯正を使用すると、滑舌が悪くなるといわれます。(ある程度すれば、装置に慣れ、ほとんど気にならなくなりますが)特に、上顎と下顎の裏側装置を比較すると、下顎の装置が滑舌に影響しやすいといわれています。

下顎の装置の方が、話す時に舌に装置に当たりやすいからといわれています。

そこで、ハーフリンガルにすることで、下顎の装置が唇側になるため、発音に対する不安が軽減します。

 

滑舌と舌側矯正

 

■装置選択の基準


ハーフリンガルを選択する理由が、なるべく目立たない矯正治療を行いたい場合には、装置選択のうえで検討しなければならないことがあります。それは、笑ったり、話したりしたときに、上下どちらの歯が見えるかです。

笑った時に、下あごの歯がたくさん見えるときには、上顎が裏側、下顎が表向きのハーフリンガルは勧めませんが、使用する場合には笑い方の改善をお勧めします。

笑い方の改善とは、笑顔の関わりの強い、口輪筋のトレーニングを行います。

口輪筋のトレーニングとは口角をリフトアップするトレーニングです。

例えばトレーニングのひとつとして、割り箸をしっかりと奥歯でくわえ、口を「い」の形にして口角をおもいっきり上げて、その状態を20から30秒間維持します。これを3回繰り返します。

 

■まとめ


矯正装置にはたくさんの種類があります。

使用する装置の選択は、値段、目立ちづらさ、また装置を取り外しするのかどうか等の、いろんな要素を考慮して検討して頂ければと思います。

また、矯正治療はある程度の治療期間がかかるため、途中で装置の変更はできますが、治療をしていくうえで何を優先順位を上げていくかによって変わってきます。

今回でいえば、値段を抑え、目立ちづらくかつ取り外しのしない装置を希望であればハーフリンガルをおすすめします。

 

一度 当院で矯正相談しませんか?

 

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犬歯誘導

2021年11月19日

顎関節は、回転運動と滑走運動が可能な関節です。
特に重要なのは関節から離れ、歯根が最も丈夫な犬歯です。
犬歯は正面から見て3番目の歯を指します。
上下合わせて4本ありますが一般的に八重歯とお伝えするとわかりやすいと思います。

目次

■犬歯は丈夫な歯
■理論的理想咬合
■アンテリアガイダンスの重要性
■まとめ

■犬歯は丈夫な歯


犬歯は骨に埋まっている歯根の部分が他の歯に比べて長く、横からの力に強いです。
顎を左右に動かした際、下顎の制御に力を発揮します。
犬歯が横から受ける力を負担することで、臼歯部を側方圧から守ってくれます。
過度な筋肉の緊張が起こらないように、一定以上の力が犬歯にかかると脳にこれ以上食いしばるなと信号を犬歯の歯根膜から脳に送ります。
咀嚼の際にあまり使わない犬歯ですが、とても重要な働きをしています。
ここで問題なのが不正咬合で犬歯が咬合していない場合です。
上下の歯を噛み合わせてみてください。
力を抜いて下の顎を左右どちらか一方にゆっくり動かしてみてください。
犬歯に当たって奥歯に隙間ができますでしょうか?この状態を犬歯誘導といいます。
歯はもともと横の動きに強くないです。
そこで丈夫な犬歯を支えに、横の動きは犬歯に噛み合うようになっています。
このように考えると見た目の審美性だけではなく、機能的な正しい噛み合わせの位置にない場合は、見た目も大切ですがむしろ噛み合わせが心配です。
先ほどの噛み合わせた時に奥歯に隙間ができない場合は、どこかに無理な力がかかり、負担がかかっている可能性があります。
歯ががたがたしていることを叢生(そうせい)と言います。
歯軸と顎骨の大きさとの不調和(ディスクレパンシー)がマイナスの関係になったときにあらわれる症状です。
あとから犬歯が生えてくるために上下前歯部に叢生を生じることが多いです。
歯が重なり合っている箇所を正確に歯磨きできず、虫歯などになりやすい傾向があります。
歯を並べるスペースを確保し、マルチブラケットやインビザラインなどで歯を移動させて治療を行います。歯の大切さを誰よりも分かっているため、出来る限り非抜歯で対応しておりますが、全ての症例で非抜歯を行っているわけではありません。犬歯自体は抜歯せず、他の歯を抜くなどして矯正治療をすることが多いです。
その場合は、カウンセリングで患者様1人1人へしっかりとお伝えさせていただきます。
捻転を含む叢生という症状は比較的容易に後戻りします。
そのため矯正治療後は長期にわたる保定が必要です。

 

犬歯はとても重要な働きをする

犬歯はとても重要な働きをする

 

■理論的理想咬合


咬合理論には複数のものが存在しています。

ちなみに、犬歯誘導による臼歯部の離開咬合が1番理想的だとされています。

先ほどもお伝えした、噛んだまま顎を横にずらしてみた時、上と下の犬歯に誘導される形で、奥歯が開いてひっかからないことを指します。

そして、物を噛むときに、まっすぐ噛むだけではありません。

上下のみならず、左右にも顎が動いている点も知っておきたいです。。

どちらかというと雨だれ型のように咀嚼します。

 

本来とはずれてしまった場所で長期間かんでいると、奥歯はどんどん倒されることになるでしょう。奥歯は縦にかかるパワーには耐えられるのですが、意外と横からの力には弱いとされています。

 

ですから、横にずれてしまった場所から真ん中に噛んでいって、最後に真ん中に来た際だけ奥歯で噛むことが可能であれば奥歯への無理な負担を心配する必要はありません。

 

不正咬合であれば、特定の歯に力が入りすぎてしまい、該当する歯が割れる、揺れが起こる、ということで結果的に歯を抜くことにもなりかねません。

斜めに閉じる角度は、犬歯の角度によって異なります。

犬歯の角度のみによって、全奥歯が引っかかってしまうか…決定するのです。

 

八重歯は角度を定める犬歯が上方向に飛び出ていて、まったく当たることがなく、噛むべき角度が決まりません。奥歯が引っかかった角度しか、物理的な角度に関するファクターがありません。

分かりやすく言いますとお、犬歯がとても重要な奥歯をしっかりと守ってくれているのですね。

 

詳細は、生理的な噛み合わせが徹底した状況においては、噛んだ時に犬歯は当たりません。同一角度で犬歯が接してしまうスレスレの部分で咀嚼する軌道が決定しています。これをチューイング・サイクルと呼びます。

ゴルフおす時のスイングみたいに、パターンが記憶されますと、犬歯も奥歯も引っ掛かることなく、無意識のうちにスムーズに噛むことが可能です。ですから、歯はあまり磨り減りすることはありませんし、詳しく説明すると、咀嚼する段階次第で、このサイクルは変化します

不正咬合と噛み合わせが悪い際は、噛む角度の情報が犬歯のみならず、引っかかっている奥歯などから脳に伝達されます。脳から筋肉に情報が伝達されるためどうしても混乱してしまい弊害が発生します。

 

パターンが確立されていないと、相当な負担を歯にかけることになりますから、矯正治療により適切な角度を設定します。

徐々に最適な角度を脳が覚え、チューイング・パターンが確立し、徐々に生理的な噛み合わせが完成形に近づきます。

犬歯による臼歯離開咬合が、理想的な咬合といえるはずです。
あくまでも基準であり、実際は様々な要素により判断いたします。
不正咬合の場合、歯ぎしり、食いしばり、臼歯の歯周病、顎関節症、知覚過敏などさまざまな増悪因子となります。

 

■アンテリアガイダンスの重要性


今は噛めている、見た目も綺麗、と思っていても長期的に口腔内の健康を維持するなら、アンテリアガイダンスが大切です。
下の顎をさきほど左右どちらかに動かした時犬歯がわずかに擦れましたよね?
奥歯に隙間があることが本来必要で、隙間がなく、奥歯と奥歯が接していると臼歯部に負担があらわれ、臼歯や臼歯部の歯周組織が痛む原因となります。
具体的に言うと、下の顎を前に移動させるとき、上顎前歯の裏側と下顎前歯の切端の接触を前歯が誘導します。そして、側方向に移動させるときは犬歯が下の歯に接して誘導し臼歯部の隙間が得られることをアンテリアガイダンスが適切に確保されている状態だといいます。

 

■まとめ


歯並びが綺麗で美しいだけでは歯が正しく機能しているとは言えません。
適切な噛み合わせもとても大切です。
正常な噛み合わせ(咬合)に近づける治療が矯正治療です。
嚙み合わせが改善されなかった場合、噛む力をすべての歯で受け止めていないといけません。つまり一部の歯に過度な力が加わっていきます。
噛み合わせを意識した医院で治療を受けることを強くお勧めします。
矯正治療していきたいけど犬歯は前歯で目立つところで、矯正装置を付けた姿を人に見られたくないというジレンマに悩んでいる方はいませんか?
矯正治療は金属のギラギラした装置をつけるだけではありません。
当院では3つの目立たない矯正装置をご用意しております。
・透明なマウスピース型矯正装置
・見えない歯の裏側につける装置
・歯の表面に目立たない半透明の装置
従来の矯正装置と異なり、目立たない装置が多く開発されています。
接客業など、人前に出る職業の方も矯正治療を受けられています。
ぜひ一度、ご相談くださいね。

 

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矯正治療の目的

2021年11月12日

矯正治療はなぜ必要だと思いますか?矯正治療ではどのような歯並びを目指すのか、ご存じでしょうか?

歯並びをきれいにして思いっきり笑いたいと考える方は多いと思います。

しかし、矯正歯科=歯並びを良くすることだけではありません。

口元を美しくするのと同時に、上下の歯のかみ合わせを良くすることで、身体的にも精神的にも健康な生活ができることを目的としています。

目次

■矯正治療の目的
■矯正治療が必要な不正咬合
■矯正治療のメリット
■矯正治療のリスク
■まとめ

■矯正治療の目的


かみ合わせを良くするということは、上下の歯がしっかりとかみ合い良好に機能する位置に、歯を配列するということです。そうすることで、歯やお口周りの筋肉、顎の関節が機能的に働き、それぞれに過剰な負担がかかることもなくなります。

歯が不揃いだったり、上下の顎の歯並びがお互いにかみ合わなかったりする状態を不正咬合といいます。

 

不正咬合は、先天的なものと後天的なものによって分けられます。

  • 先天的(生まれつき)なもの
    口唇・口蓋裂・ダウン症などの先天異常や、歯の数の過不足、歯の形態などがあります。
  • 後天的(生まれてからの障害、環境、生活習慣)なもの
    口呼吸、全身的な病気、歯ぎしり、睡眠時の体の向きや噛む回数の低下などがあります。最近は食生活の激変によって、お口周りの筋肉の力が極端に弱い人が増えていることも関係していると思います。

 

食べ物が噛みにくいと感じる、見た目のコンプレックがあるなど、不正咬合から引き起こされる悩みは患者様によって異なります。患者様それぞれの悩みをしっかり把握し、できる限りの治療を行うことで、少しでも快適な日常を送れるようにすることも目的のひとつと考えております。

 

■矯正治療が必要な不正咬合


不正咬合をそのままにしていると、食べ物がよく噛めない、顎の関節に負担がかかるといった問題が出てきます。

矯正治療が必要と言われている状態はいくつかあります。

○出っ歯(上顎前突)

出っ歯は上顎前突(じょうがくぜんとつ)と言い、みなさまがよく知っている歯並びだと思います。前歯で食べ物が噛みにくい、唇を閉じることが難しい、上顎の前歯が下顎の歯よりも大きく前に出ている歯並びです。

前歯で食べ物が噛みにくいため、本来前歯で行うことを奥歯がしなければならず、奥歯の使用が多くなります。奥歯喪失のリスクが高くなる場合があり、奥歯を失った際には咬合崩壊といって、本来咬むべき顎の位置がわからなくなってしまうこともあります。

 

○受け口(反対咬合)

受け口は見た目で言うと、下顎が上顎よりも前に出ている歯並びで、かみ合わせが通常とは逆の向きになっている状態です。

 

○八重歯・乱ぐい歯(叢生)

歯が様々な角度で生えていて重なり合い、デコボコになってしまっている歯並びを乱ぐい歯や叢生(そうせい)と呼びます。そのうちのひとつの「八重歯」は、日本ではチャームポイントとして捉えられることもありますが、海外では早期に矯正されることが多くあります。ブラッシングがしにくく、むし歯や歯周炎になりやすい状態といえます。

 

○開咬

オープンバイトと呼ばれる開咬は、前歯に上下方向の隙間ができる不正咬合のことで、奥歯でしっかり噛んだ際にも上下の前歯がかみ合わない状態です。

基本的には開咬は前歯の不正咬合を指しますが、稀に奥歯でも同様の症状を起こすことがあります。

 

○過蓋咬合

一般的にオーバーバイトが4mm以上の場合を過蓋咬合と言い、前歯の上下方向のかみ合わせが深い状態のことです。

過蓋咬合になると、下顎の前歯が上顎の前歯に隠されて見えなくなります。見た目だけでなく、大きく被さることにより、下顎の前歯が上顎の前歯の裏側の歯ぐきに食い込み、口内炎を引き起こしたり発音が悪くなったりすることもあります。

 

きれいな歯並びでも、上下の歯がきちんとかみ合っているとは限りません。

すべての歯がきちんとかみ合い、顎の動きによく合って食べ物を噛めることが大切です。

 

■矯正治療のメリット


矯正治療をすると歯並びがきれいになり、思いっきり笑えることで自信を持てると思います。
また、歯並びが大きく崩れている状態や、受け口等の方が治療を行うと、フェイスラインも同時にシャープになる傾向があります。

そのほかにも、矯正治療には身体的なメリットがいくつもあります。

○咀嚼機能の改善と維持

咀嚼能率が向上することで、胃腸の負担が軽減されます。

 

○顎関節と咬合との調和

上下の歯並びは正しくない位置でかみ合うと当たるべきでない部分が強く当たります。正しい位置でかみ合う場合は歯列全体でその圧力を分散しますが、歯並びが悪い部分はその力が偏って大きくかかってしまいます。どこか特定の歯に力が強く加わると、歯がかみ合わせの力に耐えかねて割れたり、歯の周囲の骨がダメージを受けたりします。矯正治療を受けることで、かみ合う力が歯列全体で受けられるようになり、歯の寿命も長くなります。

また、人間の顔貌は骨格で決まるため、顎の形や歯並びが悪いと顔貌の歪みの原因にもなります。

 

○発音の改善

矯正治療で歯並びがきれいに整えられると、歯並びの隙間がなくなり、舌の位置が安定します。そのため、空気の漏れがなくなったり滑舌が良くなったりすることで、発音が改善されることもあります。

 

矯正治療で咀嚼機能と発音の改善・顎関節と咬合との調和

矯正治療で咀嚼機能と発音の改善・顎関節と咬合との調和

 

■矯正治療のリスク


矯正治療の中で、完全にリスクを無くすことはできません。

当院ではメリットだけでなく、リスクについてもきちんと理解・納得していただいた上で、治療に取り掛かります。

矯正治療には、

  • 歯の痛み
  • 発音障害
  • 歯根吸収
  • 歯肉退縮
  • 後戻り

などのリスクがあることが知られています。

当院ではライトフォース理論に則り弱い力を加えて治療を進めることで、様々なリスクを抑えております。特に痛みについては、従来と比較して1/2~1/5になります。

弱い力では痛みが軽くなるのはもちろんですが、毛細血管がつぶれないため血液の流れが邪魔されず、本来の骨代謝が促され、歯が動くスピードも速くなります。

また、歯を動かすことで矯正治療中に歯根が短くなることや歯の神経が失活することがありますが、弱い力では歯への負担が小さくなり、リスクを軽減できます。

しかし、稀に矯正治療中の一時的なかみ合わせの状態によって、これらのリスクが起こることもあります。当院では、事前の検査やカウンセリングで、プロ目線で客観的に診断し事実をお伝えしています。

 

■まとめ


健康で美しい外見を求めることは、とても素晴らしいことです。

たくさん悩んでいただき、ご自身がこの医院、この先生に診てもらいたいと思ったときが、治療に最適なタイミングだと思います。

ただし、矯正治療を始めていく上で、事前にリスクについて説明がない場合は注意が必要です。

当院では、納得して頂くまで詳しくご説明させていただきます。お気軽にご相談下さいね。

 

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目立たない裏側矯正

2021年11月5日

目立たない裏側矯正は歯の表面に器具をつけるのではなく、歯の裏側に器具を付けて行う矯正治療のことです。舌側矯正、リンガル矯正とも呼ばれています。
歯の裏側につけることによって気づかれることなく矯正治療を行うことができます。
お口は顔の中でも目立つパーツです。接客業など職業柄、目立つ装置がつけられないと器具への抵抗があり、矯正治療ができない方には最適な方法です。

目次

■舌側矯正を始めることで起こる問題
■舌側矯正の利点
■舌側矯正の欠点
■まとめ

■舌側矯正を始めることで起こる問題


裏側矯正は比較的新しい治療法で、従来の表側矯正と術式が異なり、高度な技術が必要です。
一般的な歯列矯正は歯の表面に「ブラケット」と呼ばれる装置を付けて、ワイヤーを通して歯を動かすので目立ってしまうというイメージがあると思います。
矯正装置には目立ちにくいタイプがありますが、この裏側矯正が最も目立ちません。装置をつけていることさえも気づかれにくくなります。
裏側矯正は上顎の歯の裏側、下顎は表側に装置を取り付けるというコンビネーションもあります。目立ちにくくなり、よほど大きなお口を開けない限り正面から装置が見えることはないため、広く支持されております。
裏面に装置を取り付けた際に発生し得るトラブルに対処するため、表の処置では実施しない処置が必要なケースも見られます。

○バイトアップ

一般的に歯は上と下の顎の噛み合う箇所がぶつかり合います。

裏側矯正は上顎の歯の裏に装置を装着するため、一般的には噛み合わせを上げるためのプラスチックを用いることも多くありますが、これは前歯が当たらないようにする処置です。もしこういったことを行わない場合は、上の前歯の裏に装着されているブラケットに前歯が当たってしまい、装置がハズれることもあります。

噛み合わせが深い方はバイトアップを多くすることになり、結果として違和感も覚えるはず。

バイトアップしている下の歯に噛む力がかかってきます。すると下の歯が並んで、歯の根部分の方向に移動し、他の歯が移動しやすくなるわけですね。

前歯の裏や上の奥歯の内側は、歯が噛み合う箇所ですから、継続して裏側矯正の装置を取り付けるわけにはいけません。意図的に噛むことができない状況を作り上げ、装置に歯がぶつからないようにします。

バイトアップを取り付けるとその期間はその箇所のみでしか噛むことができず、短期間ではありますが我慢する必要があります。

 

○発音

表面の矯正より発音しにくくなるかもしれません。

しかし徐々に慣れてくるでしょう。

 

○補助的な装置

最終的な調整の際に噛み合わせが浅くなるケースもみられ、自分でゴムかけをすることになります。

通常は裏側にフックを設置してゴムかけをすることになるものの、難しい場合には表面に白色のボタンを付けてそこにゴムをかけることもあります。

 

■舌側矯正の利点


裏側矯正のメリットとしては

  • スポーツなどで外傷が少ない
  • 舌癖防止で後戻りのリスクが減る
  • 歯の表面にダメージがない
  • 他人に矯正装置が見えない
  • 歯が前に出ている症例では後退させやすい

スポーツをしているときは裏側なので頬や唇を傷つけるリスクが少ないです。
出っ歯の方に多く見られる舌癖。舌で前歯を押す癖が出っ歯を引き起こす可能性の1つと言われています。
リラックスしている時の舌はいわゆるタンスポットと呼ばれる場所にあるのが一般的です。ですが、癖などによって本来舌があるべきではないところにあると、例えば歯の裏側を長期間押し続けてしまいます。

頬と唇が内側に押すパワーと舌が外に押すパワーは絶妙な力加減で均衡を保っているわけですが、タンスポットから外れた場所に舌があり、例えば前歯を押してしまっていると均衡が崩れてしまい、出っ歯になりかねません。

裏側矯正は歯の裏に装置が取り付けられていて、歯の裏を舌で押す癖を改善する効果も期待できます。矯正装置が舌の癖を防止するためのアイテムとしても活躍してくれるわけですね。そして装置を外した後に舌の癖が改善されていると、矯正が終わった後の後戻りの可能性も減るでしょう。

矯正治療の際には、奥歯を固定ポイントに設定し、前歯を引っ張り歯を後ろに移動させることもあります。表側矯正だと前歯が後ろに動かず、固定源の奥歯が前方に引っ張られて、歯の移動がうまくいかないケースもあります。

裏側矯正は装置が固定源となる歯を後ろに引き込むことを得意にしているため、前歯の動きもスムーズに行いやすいです。例えば、出っ歯、受け口の場合、裏側矯正はおすすめな治療法になります。
痛みの軽減、矯正期間の短縮のカギになっているのが、ワイヤーとブラケットと呼ばれる矯正装置間の摩擦の度合いです。摩擦が小さければ痛みの軽減や短期間治療を可能にします。これまでの矯正装置は結さつ線で、矯正装置を固定していました。結さつ線を利用すると、どうしてもワイヤーとブラケットの間で摩擦が生じてしまい、痛みや治療期間の長期化の原因となっておりました。
しかし、当院で利用しているクリッピーシステムは結さつ線を利用しないため、痛みの軽減、治療期間の短縮を可能にします。

 

舌側矯正には様々なメリットがある

舌側矯正には様々なメリットがある

 

■舌側矯正の欠点


裏側矯正のデメリットとしては

  • 装置の違和感が大きい
  • 発音がしにくい
  • 噛み合わせを上げることがある
  • 飲食の際のストレス

矯正装置をつけると舌に靴ズレのように装置と擦れる部分ができます。
そして擦れた部分に口内炎ができやすいです。
特に下顎の奥歯に装置をつけた際に、舌の根元部分に口内炎が発生しやすいです。
ただ、時間が経つと口腔内で装置に慣れて問題なく過ごすことができると思います。

三軒茶屋デンタルデザイン歯列矯正歯科では従来装置よりも快適な「クリッピー」と呼ばれるシステムを利用しています。
装置が薄いため、違和感が少なく、発音のしにくさも軽減されました。
バイトアップしているときはそのまま食事をしていただく形になります。
食事がしにくいと少し負担をかけることもありますが、矯正治療終了するときにはすべて取り外します。
表側矯正の場合は外食先で装置にどうしても食べ物が挟まって見えると人目を気にすることもあると思います。
裏側矯正は、装置が歯の裏側についており、そういった心配は無用です。

 

■まとめ


装置が目立ちにくいという点では、マウスピース矯正という手段もあり得ます。
しかしマウスピース矯正では対応不可なケースもあります。
その場合は裏側矯正がおすすめで、表から装置が見えないので審美的にも優秀ですね。
裏側矯正を始める前と同じように見た目を気にせずに、口元を隠さず思いっきり笑って過ごしながら矯正治療ができるって嬉しいですよね。
メリットがあればデメリットがあります。
きちんとご納得いただけるようカウンセリングを行い、メリット・デメリットも含めお口に合った治療方針を詳しくご説明いたします。
裏側矯正は一般的な表側矯正治療のデメリットである見た目の問題をクリアし、機能性でも優れた矯正法です。矯正中は周りの目も気にせず矯正治療を始めることができます。
歯並びが悪いと見た目だけではなく、噛み合わせに影響します。正常な噛み合わせ、美しい歯並びを目指して矯正治療しましょう。

 

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目標と診断

2021年10月22日

こんにちは

 

矯正治療に限らず、医療行為には治療と目標というものがあります。

目標がなければ、治療が成功したかどうか決められませんし、何よりどのように治療を進めていくのか、どのような状態になれば治療が終了となるのかも決められなくなってしまいます。

歯科医の担当分野でいえば、虫歯治療なら『痛みをなくすこと』、歯周病の治療なら『腫れや揺れをなくすこと』といったところでしょうか。

もちろん、被せ物をセットして虫歯で失われた歯の形を回復するというのも目標でしょう。

では、矯正治療の目標は一体なんでしょうか。

『歯並びをきれいに整えること』、これはすぐに思いつくと思いますが、実はこれだけではありません。

目次

■矯正治療での治療目標
■矯正歯科治療での診断はちょっと特殊
■不正咬合の分類
■顎骨の異常の改善
■横顔の異常

■矯正治療での治療目標


矯正治療に先立って、いろいろな検査や診査を受けていただき、その結果を分析します。

問題となる異常箇所が、歯並びだけなのか、顎の骨も含めたものなのか、両者の関係性も含めて見出し、どの部位を治療すべきか判断します。

この診療行為を治療目標の確立とよんでいます。

治療目標となる異常としては、『歯並びや噛み合わせの異常』『上顎骨や下顎骨の骨格の異常』『横顔の異常』『お口に関係するいろいろな組織の異常』の4つが挙げられ、それぞれの改善が目標となります。

矯正治療というと歯並びをきれいに整える治療というイメージがありますが、実は、単に歯並びを良くするだけにとどまらず、お口全体の組織を良くしようというコンセプトで行われていることがわかっていただけたのではないでしょうか。

だからこそ、矯正治療は誰でもできる治療ではないのです。

普通の歯科医院でも矯正治療を手がけているところは数多くありますが、当院のように矯正歯科治療を専門に行っているところの方が、おすすめとされる背景にはこのように矯正治療の治療目標がとても複雑であるという事情があります。

 

■矯正歯科治療での診断はちょっと特殊


矯正歯科治療においては、『病気や病状を判断』して『病名を決定する』だけでは十分とはいえません。

矯正歯科を受診する方の病名は、『不正咬合』『歯列不正』ですが、これだけで治療方針は決定できないからです。

そのため、矯正歯科治療の診断では、単に病気や病状を判断するにとどまらず、治療方針の決定に関係する範囲まで広く判断することが求められています。

また、患者さんのお口やお顔の形に加え、『食べ物を噛む』『言葉を発する』などのお口の機能の異常について、どこまでを正常とするのか、言い方を変えると、どの程度を病気として捉えるのかも問題となります。

しかも困ったことに、現代では、矯正歯科治療に対するニーズは年々多様化の一途をたどっています。

単に歯並びをきれいに整え、噛み合わせを適切にするだけではダメで、お顔を整える、さらには横顔もきれいにしたいというご希望を叶えられるようにしなければならなくなっています。

加えて、矯正治療の方法も、目立ちにくい方法や治療期間を短くする方法が望まれるようになってきました。

当院でも人気の高いインビザラインなどのマウスピース矯正が誕生したのは、こうしたニーズがあったからです。

そのため、治療前に行う診断の持つポテンシャルは、大きくなる一方です。

このような特殊性をはらんでいるのが、矯正歯科での診断なのです。

現在では、矯正治療前のさまざまな検査や診査を経て診断をくだし、それに基づいて治療前の状態を分類して評価するようにしています。

 

矯正歯科治療の診断には幅広い判断が求められる

矯正歯科治療の診断には幅広い判断が求められる

 

■不正咬合の分類


歯並びが整っていない状態を、不正咬合、もしくは歯列不正といいます。

いろいろな治療前の検査や診査を経て、最初に歯並びの状態を診断します。

不正咬合の分類法としては、現在、一般的にはアングルの分類という分類法が用いられています。

 

○アングルの分類

アングルとは、角度という意味ではありません。

この分類方法を考案したアメリカ人歯科医師の名前エドワード・アングル博士に由来しています。

アングル博士は、今では近代的な矯正治療の父とも言われているほど矯正歯科治療の歴史に大きな貢献を果たした人物です。

このアングル博士が、100年以上前に考案した不正咬合の分類が、アングルの分類です。

アングルの分類では、上顎と下顎の歯並びの前後的な関係性を重視しています。

その上、アングルの分類を評価するときには、特別な計測器具はいりません。

歯型をとって作った石膏模型があれば十分です。

しかも、評価の方法もとても簡単で、矯正歯科治療のベテランでなくてもできる優れた方法です。

そのため、実際の矯正治療の現場でもとても重宝しています。

 

○アングルの分類の実際

アングルの分類は、上顎と下顎の第一大臼歯、いわゆる6歳臼歯の前後的な位置関係を基準にして、1〜3級に分類して判断します。

1級は、上顎と下顎の第一大臼歯の噛み合わせが正常な歯並びです。

2級は、下顎の第一大臼歯が上顎の第一大臼歯に対して後ろに下がっている噛み合わせです。

上顎前突(出っ歯)がこれにあたります。

ここから2級はさらに1類と2類に分類され、1類は上顎の前歯が前方に傾いている歯並び、2類は上顎の前歯が後ろに傾いている歯並びになります。

3級は、下顎の第一大臼歯が上顎の第一大臼歯前に対して前側で噛み合っていることで、下顎前突や受け口として知られている噛み合わせになります。

 

○アングルの分類の問題点

とても優れて、100年以上にわたって矯正治療の診断の基礎となっているアングルの分類ですが、問題がないわけではありません。

それは、アングルの分類の基準ともなっている第一大臼歯にあります。

実は、第一大臼歯が本来の位置になければ、この分類法は正しく評価しにくくなるのです。

そのため、第一大臼歯が本来の位置にあるのかをまず評価しなくてはなりません。

特に、第一大臼歯より前に生えているいずれかの歯に大きな虫歯がある場合や、歯がなくなっているような場合は、本来の位置からずれている可能性が高いため、要注意とされます。

左右の第一大臼歯の位置が前後的にずれているときや、必要以上に前に向かって傾いているときもずれが疑われます。

もし、第一大臼歯の位置がおかしいと思われる場合は、上顎と下顎の犬歯や小臼歯(第一大臼歯の前の歯)の位置関係も考慮に入れて判断します。

 

■顎骨の異常の改善


顎骨の異常には、①上顎骨の形や位置の異常、②下顎骨の形や位置の異常、③上顎骨と下顎骨の垂直的な位置関係の異常の3つがあり、それぞれの改善が治療目標となります。

 

○上顎骨の形や位置の異常

上顎骨の形の異常の例としては、骨格性の上顎前突症が挙げられます。

これは、上顎の前歯が傾くなどして、下顎の前歯より前に出ているような上顎前突ではなく、上顎骨自体が前方に成長しすぎたことで生じる上顎前突症です。

このような症例では、上顎と下顎の歯並びだけを整えても異常は解決できないので、骨格そのものも治療の対象となります。

 

○下顎骨の形や位置の異常

下顎骨の形の異常は、骨格性の下顎前突症が代表的です。

下顎骨自体が上顎骨よりも過度に前に向かって大きくなりすぎている不正咬合です。

上顎骨のそれと同じく、歯並びだけをよくしようとしても問題は解決しないので、骨格自体の治療も必要です。

 

○上顎骨と下顎骨の垂直的な位置関係の異常

上顎骨や下顎骨の骨格異常というと、先にご紹介した前方へ位置異常がイメージしやすいことでしょう。

ところが、顎の骨格は3次元のものですから、上下方向への位置異常もあります。

具体的には、開咬でよくみられる下顎骨の前上方へ過度な成長発育です。

やはり、上顎骨と下顎骨の治療も平行して行う必要があります。

 

■横顔の異常


横顔は、上唇と下唇の位置関係を基準にして異常があるかどうかを判断します。

具体的には、鼻の先端と下顎の先を結ぶラインを引いて、このラインに対して、上唇と下唇がどのような位置にあるのかを判断します。

なお、このラインをE-ラインとよんでいます。

E -ラインと上唇、下唇の関係性については、時代とともに変化しています。

 

長期間の矯正治療も治療の目標が決まっているとわかりやすいですよね。

ぜひ三軒茶屋デンタルデザイン歯列矯正歯科へご相談ください。

 

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部分矯正について

2021年10月15日

こんにちは!

 

世田谷区の三軒茶屋デンタルデザイン歯列矯正歯科です。
矯正というと、歯の全体にワイヤーをつけているというイメージをお持ちの方が多くいら
っしゃると思います。
しかし歯並びについてのお悩みは、大なり小なり、様々ですよね…
中でも気になる歯の部分だけにピンポイントでアプローチする部分矯正をご存知でしょう
か?
「前歯が少し出ているのが気になる」
「他の歯並びは綺麗なのに、ここの一本だけが引っ込んでいるせいで歯並びが良く見えな
い」
「前歯のすきっ歯だけが気になって仕方がない…」
など…
最近で多いのは、「リモートワークになったからあまり人と合わないので今こそ部分矯正を
やってみたい」「コロナ禍のマスク生活が日常化しているので矯正しても良いかな」などと、
今までも矯正に興味はあったものの、人とたくさん会うから今はちょっと…とためらって
いた方も、現在流行している新型コロナウィルスの影響でリモートワークが定着し、人と会
う機会が減っている今こそ矯正への意識も向上しているようです。
特に人から見られる前歯はとても大事で、前歯の歯並びが悪い、もしくは一本だけ引っ込ん
でいる、というのはなんと言ってもお顔の第一印象がかなり変わってきます。
近年では、審美歯科の注目度もかなり上がってきております。
このような理由から、お顔の印象を変えたいと前歯だけでも「早く・安く・目立ちにくく・
きれいに」できる部分矯正にニーズが高まっているのです。
さて、一般的な部分矯正とはどのような治療なのでしょうか。
部分矯正はプチ矯正、小矯正とも呼ばれていて、適応症例が限定されるということもありま
す。つまり、すべての症例では適応できないということですが、適応症例であれば、すべて
の歯を矯正するよりも「低価格」「短期間」で治療が可能になります。

目次

■部分矯正の種類について
■部分矯正のメリットについて
■部分矯正のデメリットについて
■部分矯正で治せる症状について
■当院における矯正について

■部分矯正の種類について


○ワイヤーによる部分矯正(表側・裏側)

ワイヤーによる部分矯正とは、歯にブラケットと呼ばれる矯正のための装置を歯の表面に
取り付けた後に、そこにワイヤーを通し、歯を適切な方向に動かしていく方法です。症例に
よって、もしくは患者様のご希望によっては歯の裏側にワイヤーをつける「裏側部分矯正」
というやり方もあります。
このワイヤーによる方法が矯正で一番ポピュラーなもので、昔からある矯正治療の方法に
なります。
ワイヤーによる矯正治療が終了すると、ワイヤーの代わりにリテーナーという保定装置を
装着します。この装置を付けることで、矯正した歯が元の位置に戻る(後戻り)のを防ぎま
す。

○適応可能なマウスピースによる矯正

適応可能なマウスピースによる矯正というのは、こちらも適応症例が限定されるというこ
ともありますが、透明なマウスピース型の矯正によるものです。こちらはブラケットやワイ
ヤーを使用することなく透明なマウスピースを装着しながら歯を適正な方向に動かしてい
く方法で、成人の方や金属アレルギーのある方、スポーツをしている方、などに適した矯正
の方法です。

 

■部分矯正のメリットについて


  • 低価格で治療が可能
    全体の矯正治療に比べると矯正の範囲が狭いため、低価格で矯正治療を受けることができ
    ます。
  • 矯正装置が目立ちにくい
    歯の全体の矯正で全体的にワイヤーを装着するより矯正の範囲が狭いので「目立ちにくい」
    ということになります。
  • 気になる部分だけにピンポイントで治療できる
  • 短期間で治療期間が終了する
    全体の矯正治療に比べると矯正の範囲が狭いため、治療期間も短くなります。
  • 矯正中の痛みや、噛み合わせが変わることによる違和感が少なくて済む
  • 負担が少ない
    矯正装置が一部分にしか装着していないため、食事の際のストレスなど、患者さんの負担が
    少ないです。

 

部分矯正には様々なメリットがある

部分矯正には様々なメリットがある

 

■部分矯正のデメリットについて


  • 見た目の改善が目的になりますので、歯本来の機能の根本的な改善までは及びません
  • 基本的には簡単な症例のみ適応可能

 

■部分矯正で治せる症状について


○軽度の出っ歯

出っ歯とは、一般的には前歯が前方に向かって出てしまっている状態のことで、口を閉じて
いても前歯が少し見えていたりする場合もあります。出っ歯により咬合の機能に問題が生
じている状態を歯科の専門用語では「上顎前突症」といいます。

○軽度の受け口

受け口とは、下の歯が上の歯よりも出ている状態で、出っ歯の逆の状態となります。受け口
の場合問題となるのは、噛み合わせが悪く食べ物を咀嚼するときに十分に咀嚼できずに飲
み込んでしまうので消化気管に負担をかけ続けてしまい、身体の成長や、脳の働きにも影響
を与えてしまいます。また、顎関節症を発症しやすくなってしまう、言葉の発音がしづらく
なる、全身のバランスが悪くなる、など身体にも悪影響を及ぼすことがあります。
こちらも軽度であれば、部分矯正で改善することが可能です。
歯科の専門用語では、「反対咬合」または「下顎前突症」といいます。

○軽度のでこぼこの歯

隣の歯と重なって生えていたり、歯がずれて生えていたり、八重歯もこちらの一種で、基本
的に歯がでこぼことしている状態です。歯科の専門用語では「乱杭歯」や「叢生」といい、
基本的に歯並びが良くない状態です。

○すきっ歯

すきっ歯とは、外から見て歯と歯の間に隙間ができている状態のことを言います。歯科の専
門用語では「空隙歯列(くうげきしれつ)」と呼ばれていて、この空隙歯列の中でも前歯と
前歯の隙間が大きい状態のことを「正中離開(せいちゅうりかい)」といいます。

○開咬

開咬とは、オープンバイトとも呼ばれ、奥歯はしっかりと噛んでいるのに前歯が噛み合って
いなくて開いている状態をいいます。前歯が噛み合っていないので、前歯で食べ物を噛み切
れなかったり、発音がうまくできない、食べるときに咀嚼音をたててしまう、などの日常生
活に支障をきたす場合があります。
部分矯正は全体的に歯を動かすのではなく、一部のみ動かすことを目的とした治療法です。
矯正治療は歯並びを綺麗にすることが目的ではなく、正常なかみ合わせを作ることが目的
になります。
無理に部分矯正をしてかみ合わせがおかしくなったということがないように、しっかりか
み合わせのことまで考えたうえで部分矯正を選択できるようにお手伝いさせていただきま
す。

 

■当院における矯正について


三軒茶屋デンタルデザイン歯列矯正歯科では「歯からきれいになりたい」という患者様のお
手伝いをしたいと考えております。
口元の印象を決めるのはまずは「歯並び」がとても重要です!
第一印象で好感を一番得られるのは「清潔感」が最も重要だそうです。確かにお顔の印象は、
「笑顔が一番」ですね!!
当院では、「歯に関するお悩み・患者様が矯正治療に求めていること」をしっかりと丁寧に
カウンセリングをさせていただき、一人一人の患者様に合った矯正方法をご提案させてい
ただきます。
当院における矯正治療の特徴は、初診の相談料が「無料」はもちろんのこと、通常、他の矯
正歯科医院では有料(3~5 万円)の検査費用も「検査診断料」として「無料」となっており
ます。
どんな治療でもメリットとデメリットはあります。
部分矯正で対応できない場合は、他の治療案内を行います。
当院では患者様のライフスタイルに合わせた治療を心がけております。
まずは患者様のお悩みをしっかりと聞かせていただき、現状のリスクと治療計画、一人一人
の患者様に合った選択肢をご提案させていただければ、と考えております。

 

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矯正力の種類

2021年10月10日

こんにちは

 

矯正治療では、乱れた歯の位置を整えて、歯並びをきれいに揃えます。

そのために、歯を移動させるわけですが、放っておいても歯が勝手にいい位置に動いてくれるわけではありません。

歯を理想的な位置にまで移動させるために、歯や顎の骨に歯を動かす力を加えます。

この力を『矯正力』といいます。

どんな矯正装置を使って矯正治療を行うとしても、『矯正力』が発揮できないことには歯並びをきれいな状態に整えることはできません。

今回は、矯正治療を成功させるカギと言っても過言ではない『矯正力』についてお話しします。

目次

■矯正力と整形力の違い
■矯正力の種類
■矯正力の強さ
■矯正力の作用時間
■歯の動き方

■矯正力と整形力の違い


矯正治療で歯並びを整えるために作用させる力に、もうひとつ整形力という力があります。

先ほど、歯並びを整えるために歯や顎の骨に加える力を矯正力というと書きました。

矯正力と整形力にはどのような違いがあるのでしょうか。

実は、広い意味では整形力も矯正力に含まれます。

なぜなら、矯正力のうち、顎骨に加える力を区別して整形力とよんでいるからです。

矯正力とひとことで表現せずに、整形力とわざわざ別々の言葉を使って置き換えるのには、理由があります。

顎の骨を移動させることや顎の骨の成長方向をコントロールすることも、歯並びを整えるために、歯を移動させることと同じくらいに、とても重要だからです。

ちなみに、顎の骨に加える力を整形力という言葉を使って説明するとき、同時に用いる矯正力という言葉は、純粋に歯を移動させるために作用させる力のみを指します。

矯正治療というと、単に歯を移動させているだけのように思われるかも知れませんが、整形力という別のことがあることから、矯正歯科医は、歯だけでなく、顎の骨のことも考えて歯並びを整えていることが、おわかりいただけたのではないでしょうか。

 

■矯正力の種類


歯を移動させる矯正力、実はこの矯正力にもいろいろな種類があり、大きく分けると器械的矯正力と機能的矯正力の2種類になります。

○器械的矯正力

器械的矯正力とは、器械、すなわち矯正装置自体から生み出される矯正力のことです。

器械的矯正力にもいろいろな種類があります。

◇ワイヤー

ワイヤーによる矯正力は、矯正治療の中でもっともオーソドックスな矯正力です。

ワイヤーは形状記憶合金で作られています。

ワイヤーを歯に装着すると、変形します。

ワイヤーは形状記憶合金で作られているため、変形したワイヤーは元の形に戻ろうとします。

ワイヤーによる矯正力は、使われている金属の材質や、ワイヤーの太さ、ワイヤーの作用部位までの長さ、丸型や角型などの断面の形、直線やループなどのワイヤーの形などによって違いがあります。

ワイヤー矯正では、ワイヤーを選ぶことで適切な矯正力を作用させます。

 

◇エラスティック

エラスティックとは、ゴムのことです。

ゴムの弾力性を使って歯を移動させます。

矯正治療では、さまざまな材質のエラスティックを使って矯正力を得ます。

エラスティックは、紐状のものもあれば、リング状のもの、太いエラスティック、細いエラスティック、大きなエラスティックに小さなエラスティックといろいろあります。

その中から適切なものを選んで、歯を移動させていきます。

 

◇スクリュー

スクリューは、日本語に言い換えると拡大ネジで、上顎に用いられる拡大装置についています。

スクリューから発生される強制力は、ネジを回転させることで生み出されます。

矯正力のひとつに分類していますが、歯を移動させる矯正力だけでなく、上顎骨のサイズや上顎の歯並び自体を大きくする整形力としても利用される力です。

スクリューは、ネジを回転させた直後は強い力で作用できるのですが、この力は急速に衰えてしまいます。

したがって、スクリューによる矯正力は、持続的に作用するものではなく、断続的に作用する矯正力ということになります。

 

◇アライナー

アライナーとは、最近、話題になっているマウスピースタイプの矯正装置のことです。

当院で、人気の高いインビザラインもこれに当てはまります。

マウスピースタイプの矯正装置では、アライナー、つまりマウスピース自体が矯正力の源となるため、顎関節症の治療で使われるマウスピースと比べると、とても硬く作られています。

アライナーによる矯正力は、装着中、常に作用し続けます。

 

○機能的矯正力

機能的矯正力とは、矯正装置ではなく、ご自身のお口の周囲の筋肉の働きで歯を移動させる矯正力です。

もっとも、何もせずに歯が勝手に移動して理想的な位置に並んでくれるわけではありませんから、何かしらの矯正装置は必要です。

機能的矯正力を得るときに用いるのが、機能的矯正装置というタイプの矯正装置です。

機能的矯正装置にはいろいろなタイプがあり、代表的なものがアクチバトールです。

その他、咬合斜面板やリップバンパーなどもあります。

機能的矯正装置は、ワイヤーやマウスピースなどの器械的矯正力を発揮する矯正装置と違って、それ自体が歯を動かすわけではありません。

では、どのようにして歯を移動させるのか、それが筋肉の力です。

ただ、必ず機能的矯正装置を利用しなければ、機能的矯正力を発揮できないのかというとそんなことはありません。

機能的矯正装置を利用しないで、口腔筋機能療法(MFT)という唇や舌の訓練で機能的矯正力を得ることもあります。

 

矯正力は器械的矯正力と機能的矯正力の2種類

矯正力は器械的矯正力と機能的矯正力の2種類

 

■矯正力の強さ


では、『矯正力』は、どれくらいの力を歯に加えているのでしょうか。

歯を移動させるのに、どれくらいの矯正力が必要なのかを考えるポイントがあります。

○歯の大きさや、歯根の数とその形

大きい奥歯を移動させるのと、小ぶりな前歯を移動させるのでは、自ずと必要な力が違ってくるのはわかっていただきやすいと思います。

例えば、前歯をみてみると、一見すると同じように見えても、犬歯だけは他の歯と比べて歯根の長さがとても長くなっています。

根が長い歯もやはり動かすのは難しくなります。

歯根の形も矯正力を考えるうえで大切な要素のひとつです。

 

○歯に加わる筋肉の力

歯の位置は、唇や頬、舌などの筋肉のバランスの取れたところにあります。

どれくらいの矯正力を考えるとき、筋肉のバランスに打ち勝てるだけの力を考えなければなりません。

 

○力の方向や時間など

矯正力と書きますから、どうしても力の大きさにばかり目がむかいがちです。

実際には、力の大きさだけではなく、どの方向に向かって力を加えるのか、どれくらいの時間力をかけ続けるのか、また、力の源となるところから歯までどれくらいの距離を設定するのかなども重要なポイントです。

 

このように、矯正力をどれくらいにするのかを決めるためには、たくさんの要因が複雑に絡み合っていることがわかってもらえると思います。

歯を動かすために最も適した矯正力を一律に決めることはできません。

どれくらいの力をどの方向に、どれだけの時間加えるのか、これが矯正治療の成功の礎となるわけですが、それを決めるのが、矯正治療にあたる歯科医師の長年の経験と知識です。

なんだか職人技みたいですね。

 

■矯正力の作用時間


矯正力には、作用時間によって『持続的な力』と『断続的な力』の2種類に分けられます。

○持続的な力

持続的な力とは、文字通り矯正力が途絶えることなく、ずっと加わり続ける矯正力のことです。

ワイヤーやマウスピースなどの器械的矯正力の多くが、この持続的な力になります。

持続的な力では、矯正装置を使っている間、矯正力の減りがほとんどないか、とてもゆるやかになっています。

先ほど例に挙げた矯正装置以外に、エラスティックや補助弾線という細いワイヤーなどでも持続的な力を加えることができます。

 

○断続的な力

断続的な力とは、途切れ途切れに加わるタイプの矯正力です。

代表的な断続的な力としては、スクリューから得られる矯正力が挙げられます。

スクリュー以外では、太めのワイヤーから得られる矯正力も断続的な力に含まれますが、作用距離が短いために、歯が少し移動すれば、矯正力はたちまち0になってしまいます。

これを何度も繰り返すことで、歯を移動させていきます。

なお、断続的な力は、持続的な力と異なり、矯正力の大きさは強くなります。

 

○間欠的な力

間欠的な力とは、ある一定の時間だけ作用するようになっている矯正力です。

アクチバトールや咬合斜面板などの筋機能矯正装置がきちんと機能したときに得られる矯正力が、この間欠的な力に当たります。

断続的な力と間欠的な力は、矯正力が持続しないという点で、とても似ています。

そのため、断続的な力も間欠的な力のひとつとして捉える見方もあります。

 

■歯の動き方


適切な矯正力が歯に作用した場合の歯の移動の仕方は、5種類あります。

『傾斜移動』『歯体移動』『回転』『挺出』『圧下』です。

○傾斜移動

歯の頭である歯冠に横向きに単純な力を加えると、歯は傾きます。

傾斜移動とは、これを利用した歯の動かし方です。

傾斜移動では、歯の根の先3分の1あたりを中心として歯が回転し、歯の根の先は歯冠と反対方向へ移動します。

傾斜移動に必要な矯正力は、一般的に50〜75グラムと言われています。

 

○歯体移動

歯体移動とは、歯間も歯根も同じ方向に同じ分だけ移動させる歯の動かし方です。

歯をそのまま横にずらすような動かし方といえばイメージしやすいかも知れません。

傾斜移動では、歯に1箇所だけ力を加えればよかったのですが、歯体移動では2箇所に同時に力を加えなければなりません。

歯体移動を行うためには、100〜150グラム程度の力が必要とされています。

 

○回転

回転では、歯の位置そのものは変わりません。

歯の軸を中心に回転させる歯の動かし方です。

回転に必要な矯正力は、50〜75グラムとされており、傾斜移動と同じくらいです。

 

○挺出

挺出とは、歯が上方へ引き抜かれるような歯の動かし方です。

挺出は、最も弱い力で行わなければなりません。

歯を挺出させるのには、15〜20グラムほどの矯正力に抑えなければなりません。

 

○圧下

圧下とは、挺出の逆で、歯を骨の方向に押し込む動かし方です。

元々、噛み合わせることで歯には沈み込む力が常に加わっていますから、圧下は一筋縄ではいきません。

矯正力の中でも、最も強い力を加える必要があります。

 

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矯正(抜歯と非抜歯の判定方法)

2021年10月8日

こんにちは

 

矯正治療では、歯並びをきれいに整えるために、歯を抜歯してスペースを確保するようなことがしばしば行われます。

何しろ、ある統計によれば、歯の並ぶスペースが不足することによる乱杭歯や八重歯の占める割合は、矯正治療を希望する方のなんと20〜30%にもなるそうです。

「歯並びをきれいにするために抜歯をすすめられた」なんて話がよく聞かれるようになるのも、納得ですね。

これは当院でも同じです。

では、どのような基準で、抜歯するか、抜歯せずに歯並びを整えるのかを決めているのでしょうか。

そこで、今回は、矯正治療で抜歯するかどうかの判断方法についてお話ししようと思います。

目次

■各国で異なる抜歯への理解
■矯正治療で抜歯が必要となるケース
■抜歯するかどうかの判定方法
■石膏模型を使った判定方法について
■レントゲン写真を使った判定方法について

■各国で異なる抜歯への理解


今でこそ、歯並びをきれいに整えるための抜歯が市民権を得るようになりましたが、実は今のような近代的な矯正治療が始まった頃はそうではなかったようです。

例えば、今から100年ほど前の1920年代から1930年代ごろまでは、矯正治療を目的とした永久歯の抜歯について、今では矯正歯科学の教科書にも載る近代矯正歯科医学の父ともよばれているアングル先生は否定的だったそうです。

一方、肯定派の代表格は、アングル先生と同じくらい有名なケース先生でした。

両者の間で、本当に永久歯を抜歯しなければ歯並びをきれいに整えられないのかどうかで、喧々諤々の議論が重ねられたようです。

このときの主流は、アングル先生派でした。

そのためか、現在でもアメリカではできるだけ抜歯をしないで矯正治療をしようという風潮があるとかないとか。

ところで、我が国では、上顎骨と下顎骨の骨格そのものが前に出ている、

そのため、矯正治療のための抜歯に比較的に、同意してもらいやすい傾向があります。

そして、社会的にもアメリカ人やヨーロッパ人のような口元の引き締まった横顔を望むことが多いことから、必然的に抜歯せざるを得ないケースが多くなっています。

そのため、矯正治療のための抜歯に比較的、同意してもらいやすい傾向があります。

 

■矯正治療で抜歯が必要となるケース


矯正治療で抜歯が必要となるのは

①歯の幅の長さの合計と、歯が並ぶスペースの長さのバランスが取れていないとき

②上顎と下顎の前歯の重なり具合を適度なものにしたいとき

③上顎と下顎の奥歯の噛み合わせを適切なものにしたいとき

④上顎の歯と下顎の歯のサイズがアンバランスなとき

以上の4つのケースとなります。

①は理解していただきやすいと思いますが、②③は意外ではないでしょうか。

例えば、③は⑤にも関係しています。

 

■抜歯するかどうかの判定方法


では、矯正治療に際して、抜歯が必要かどうかを、どのようにして私たち矯正歯科医師を判定しているのでしょうか。

大きく分けると、歯並びの石膏模型を作って判定する方法と、レントゲン写真と歯並びの石膏模型を使って判定する方法のふた通りになります。

なお、これらの方法を使って判定を試みようとしても、抜歯するかどうかについて判定するのが難しいボーダーライン上になってしまうことも珍しくありません。

そのようなときは、判定結果にしたがって一律に決定するのではなく、患者さん自身の矯正治療への協力の具合や年齢、お顔の審美的な評価、お顔や顎の骨の形のバランスなどを考えて判断します。

そのため、矯正歯科医の診断や治療方法の違いから、抜歯するか抜歯しないかの割合も異なってきます。

よそでは抜歯しなくてはいけないと言われたのに、違うところの歯科医院では反対のことを言われた、なんてこともあるようですが、抜歯するかどうかを決めるのは、今もってとても難しく、私たち矯正歯科医は常に厳しい決断を迫られているのです。

 

■石膏模型を使った判定方法について


では、まずベーシックな方法である石膏模型を使った判定方法からご説明します。

歯を並べる顎の骨のスペースの長さは、一般的には、片側の第一大臼歯の前から反対側の第一大臼歯の前までの長さを測って算出します。

第一大臼歯は、6歳臼歯という別名を持つ奥歯のことです。

○石膏模型を作る

まず、お口全体の歯型を取り、その歯型に石膏を流し込んで、歯の模型を作ります。

石膏模型ができたら、次に細く軟らかい針金などを用意します。

 

○針金を使って測る

右側と左側の第一大臼歯の間の正しいと思われる歯並びを予想して、針金を曲げて、その針金の長さを測ります。

ちなみに、針金を使って得られたこの長さを、アベイラブル アーチ レングス(avaiable arch length)といいます。

アベイラブル=利用できる、アーチ=歯並び、レングス=長さという意味です。

ちなみに、並べなければならない歯の幅の長さの合計値は、リクワイアード アーチ レングス(required arch length)といいます。

リクワイアードとは、必要とされるという意味ですね。

 

○歯の幅を測る

アベイラブル アーチ レングスがわかったら、次はリクワイアード アーチ レングスです。

第一大臼歯の前の歯、つまり第二小臼歯から、反対側の第二小臼歯までの歯の幅を一つずつ測って、その値を全て足します。

これが、リクワイアード アーチ レングスになります。

 

○計算

アベイラブル アーチ レングスとリクワイアード アーチ レングスが計算できたら、両者を引き算します。

この差をアーチレングス ディスクレパンシーといいます。

アーチレングス ディスクレパンシーがプラスなら、抜歯しなくても歯並びはきれいになりますが、もしマイナスだったら必ず抜歯ではありません。
基準以上にマイナスの値が大きくなったら抜歯を検討します。

 

抜歯の判定には石膏模型やレントゲン写真が用いられる

抜歯の判定には石膏模型やレントゲン写真が用いられる

 

■レントゲン写真を使った判定方法について


先ほどお話しした石膏模型を使った計測方法は、とてもシンプルでわかりやすい方法なのですが、実は欠点も隠されています。

石膏模型を使った計測方法では、上顎と下顎の歯並びの前後的な位置関係や、前歯と顎の骨やお顔などとの位置関係まではわからないのです。

そこで、前歯自身の傾き具合や上顎と下顎の前歯、そして奥歯の噛み合わせ、お顔のバランス、唇や鼻のバランスを知るために、レントゲン写真を組み合わせて判断する方法が考えられました。

レントゲン写真を使って判断する方法は、ふた通りになります。

ツィード先生の考案した方法と、シュタイナー先生の考案した方法です。

いずれの方法も、石膏模型を使って算出したアーチレングス ディスクレパンシーに加えて、レントゲン写真を応用するようにしています。

ここでいうレントゲン写真とは、お口の歯並びを写し出しているパノラマエックス線写真ではなく、頭部エックス線規格写真という矯正歯科治療のために使われているレントゲン写真写真です。

特にツィード先生は、先にご紹介したアングル先生の弟子のような矯正歯科医です。

彼は、師であるアングル先生の意見と異なり、「非抜歯症例の矯正治療では、成功症例は2割、失敗症例は8割」と抜歯肯定派だったようです。

ツィード先生は、矯正治療の目標について

  • 均衡のとれたバランスの良い顔立ちを得ること
  • 矯正治療を終えた後の歯並びが安定的で適正であること
  • 歯周組織をはじめとするお口のさまざまな組織が健康的であること
  • しっかりと上顎と下顎の歯が噛み合わせられること

としていました。

そんなこともあり、抜歯するかどうかの事前の診断をより重要視していたそうです。

彼は、下顎の前歯の位置が決まれば、奥歯の位置が自動的に決まり、この下顎の歯の並びに合わせて上顎の歯の並びが決まると考えていたそうです。

そのために、下顎の歯並びと顎の骨のバランスの算出方法を重視し、とても複雑な分析方法を作り出しました。

ツィードの分析方法は精密で優れているのですが、とても複雑でした。

そこで、より使いやすい方法として考案されたのが、シュタイナー先生の分析方法です。

レントゲン写真をもとに、その分析結果を分析チャートに順次記入して算出します。

 

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矯正治療の固定とは

2021年9月24日

こんにちは

 

矯正治療では歯並びをきれいに整えるために、歯を移動させます。

このとき、大切なのが固定です。

移動と固定とは、全く逆の行為なのですが、実は固定こそが矯正治療を成功させるカギともいえ、移動と固定は切っても切れない関係にあります。

今回は、矯正治療で重要な固定についてお話しします。

目次

■固定が欠かせない理由
■矯正治療における固定とは
■固定の分類

■固定が欠かせない理由


例えば、あなたが荷物の乗った台車を押すとします。

もし、あなたの足元の地面がツルツルになっていれば、いくら押しても足が滑ってしまい台車は一向に動きません。

これは、あなたが台車を押した力が、台車に作用せず、逃げて失われてしまうからです。

台車を動かすためには、あなたの足が滑らないように、足をしっかりと地面に踏ん張っておかなければなりません。

矯正治療も同じで、歯を移動させようとしても、力が逃げてしまうようでは、歯を動かすことはできません。

踏ん張る力が必要です。

この歯を移動させるために踏ん張る力が固定なのです。

 

■矯正治療における固定とは


続いて、歯を移動させるための固定について詳しくみていきましょう。

矯正治療における固定とは、歯または顎の骨の移動にあたっての抵抗源のことです。

矯正治療では、一般的に歯を抵抗源、つまり固定に使うことが多いです。

歯を固定に利用しない場合は、上顎や頭部、頚部なども使います。

ちなみに、当院でも行っているインプラント矯正では、顎の骨に埋め込む矯正治療用のアンカースクリューが抵抗源となっています。

このために、矯正治療における固定となっている歯やアンカースクリュー、場合によっては頭部や頚部には、歯や顎の骨を移動させようとして加えられている矯正力と同じだけの強さを持つ力が反対方向に加わることになります。

私たち矯正歯科医は、歯を移動させようとするとき、これらの反対方向に発生する力があることを常に念頭において治療にあたっています。

 

■固定の分類


固定とひとことで表しますが、実は固定にもいろいろな固定があります。

○固定の性質による分類法

基本的な固定の分類法のひとつが、固定の性質に基づく分類法です。

◇単純固定

単純固定は、最もシンプルな固定です。

これは、固定となっている歯に傾斜移動させようとするときに加わる力に対する抵抗力を利用した固定です。

とてもシンプルなため、単純固定の固定力はあまり強くありません。

したがって、固定歯は止まってくれず、傾斜移動します。

単純固定の固定力の強さは、歯の歯根の大きさや数、形によって異なります。

歯根が大きいほど固定力は強くなることはいうまでもありませんし、1本だけの歯根よりも2〜3本の歯根の方が固定力は強いです。

そのほか、隣に生えている歯との当たり方や、噛み合わせている歯との噛み合わせの状態も単純固定の固定力の強弱に関係しています。

単純固定には、ふつうは移動させようとする歯よりも大きな歯、歯根のしっかりしている歯を利用します。

 

◇不動固定

単純固定では、固定となる歯が傾斜してしまいます。

歯が傾斜するということは、固定となった歯の並びが悪くなることを意味しています。

そこで、歯を傾斜させないように移動させる、つまり歯体移動となるようにしたときの固定方法を不動固定と言います。

歯の傾斜移動と歯体移動を比較すると、歯体移動の方が強い力を必要とします。

すなわち、単純固定と不動固定では、不動固定の方がはるかに強い固定力を得られる固定であることがわかります。

不動などと大それた名前がついていますが、決して名前負けしてはいないんですね。

ただし、不動固定であっても、全く固定歯が動かないというわけではありません。

少しは移動しますから、矯正歯科医はそれを含めて治療計画を立てています。

 

◇相反固定

相反固定は、ちょっとややこしい固定です。

歯1本、もしくは歯何本分かの抵抗力が、これに対応するやはり歯1本、もしくは歯何本分かの移動に使われる場合の固定です。

相反固定は、移動させようとする歯と固定しようとする歯の双方に等しく反対に向く力が加わり、同じように移動するとき、それぞれが移動と固定の役割を担っています。

どうです、ちょっと言葉にするとややこしいでしょう。

簡単にいうと、移動させようとする歯同士が、引っ張り合ったり押し合ったりすることで、相手側に生まれる固定という感じです。

ですから、固定側が移動側ともなり、移動側が固定側ともなりうる固定といったところでしょうか。

一般的に、矯正治療では、どのような矯正装置を使っても、移動する歯だけでなく、固定しようとする歯にも同じように反対方向の力が作用し、移動します。

この点から考えてみると、矯正治療における固定のほとんどが、相反固定ということになります。

ですが、相反固定というとそれぞれが同じように移動しようとする場合の固定のみを指します。

 

◇加強固定

加強固定は、かきょうこていと読みます。

強さを加えると書くように、固定力を強くすることをいいます。

どうして固定力を強くしようとするのか。

それは、固定となっている歯ができるだけ移動しないようにするためです。

固定となる歯が動くと、歯の移動がややこしくなってしまいます。

ルービックキューブを解くとき、クルクルと回してしまうと、どれが動いているのか訳がわからなくなりますよね。

ルービックキューブを解くためのポイントは、視点を1箇所に固定することです。

矯正治療も同じで、固定となっている歯が動かない方が、矯正治療は進めやすいわけです。

そこで、加強固定では、固定となる歯を増やしたり、頭部や頚部などの顎外固定を使ったりすることで、より強い安定した固定を得ようとします。

また、リップバンパーなどを使って、お口を取り巻くさまざまな筋肉の筋力を加強固定に利用することもあります。

 

◇準備固定

準備固定とは、マルチブラケット法のひとつであるエッジワイズ法で、ツイードさんが考え出した固定をより強くするための固定方法です。

上顎の前歯を後ろ方向に移動させるときに、固定となる下顎の奥歯が前方方向へ傾斜移動するのを防ぐ目的で行われます。

そこで、準備固定では、あらかじめ下顎の奥歯を後方に傾斜させておいて、固定力を高めておきます。

基本的には、マルチブラケット法のエッジワイズ法に用いられる固定法ですが、そのほかの矯正治療の固定にも用いる場合もあります。

 

○抵抗源の部位による分類法

固定の際の抵抗源から分類する方法もあります。

◇顎内固定

顎内固定は、がくないこていと読みます。

顎内固定とは、骨折のときの固定法のひとつですが、矯正治療での顎内固定は少し方法が異なります。

移動させる歯と固定となる歯が、上顎もしくは下顎のそれぞれの顎内にある場合の固定です。

マルチブラケット法の場合の固定が、これに当たります。

このほかに、舌側弧線装置という歯の内側にワイヤーを通すタイプの矯正装置や、拡大床などの床タイプの矯正装置も当てはまります。

 

◇顎間固定

移動させようとする歯や顎の骨に対して、固定源が反対の顎にある固定です。

下顎の歯を移動させようとする場合に、上顎に固定源を求めようというような移動と固定が上下の顎に分かれている固定のことです。

顎間固定の固定力は、エラスティック、つまりゴムによって得られます。

具体的には、引き伸ばされたゴムリングが縮もうとする力です。

例えば、上顎前突、いわゆる出っ歯ですね、この場合に上顎の前方から下顎の後方にかけて斜めにかけるゴムや、反対に下顎前突、つまり受け口の場合に上顎の後方から下顎の前方にかけて斜めにかけるゴムなどがあります。

ちなみに、顎間固定は、先の分類にしたがうと相反固定に分類されます。

 

◇顎外固定

顎外固定とは、その名前の通り、歯や顎の骨を移動させようとするときの抵抗源が、お口の外に設けられている固定法です。

固定力の高さが顎外固定の利点ですが、見た目が良くないのが難点です。

顎外固定に使う矯正装置は、ヘッドギアやオトガイ帽装置、上顎前方牽引装置などが代表的です。

顎外固定は固定力がたいへん高いので、顎の骨に力を加えようとする整形力や、奥歯を後ろに移動させる歯の移動の場合に、よく使われます。

また、加強固定として顎外固定を用いることもあります。

 

固定は性質・部位・強さで分類できる

固定は性質・部位・強さで分類できる

 

○固定力の強さからの分類

固定力がどれくらい強いかによる分類もあります。

乱杭歯の治療や、上顎前突症の治療、下顎前突症の治療では、歯を理想的な位置に収めようとしても、スペースが足りないことがあります。

そんなときは、小臼歯という前から4番目や5番目の歯を抜いて歯を並べるスペースを確保しようとします。

このとき、抜いて得られたスペースに向かって、前から3番目の犬歯を後ろに下げたり、前歯全体を内側に下げたりするような歯の移動を試みます。

しかし、実際には隙間が少し残ってしまうことが多く、そのようなときには、前歯を動かすための固定源となっている奥歯を前に寄せてきて隙間を埋めます。

それ以外の場合、例えば、上顎の奥歯が下顎の奥歯よりも前にずれている奥歯の歯並びの異常や下顎前突症を治す場合に、上顎や下顎の奥歯を前方に移動させようとすることがあります。

これら、奥歯の移動に際して、どれくらい移動させるのか、それによって固定の強さを変更します。

したがって、固定力の強さもとても大切な要素です。

固定力の強さは、『最大』『中等度』『最小』の3つに分類されています。

◇最大の固定

最大の固定とは、奥歯を前方に移動させる移動距離を、小臼歯を抜いて得られた隙間の1/4以下にしたいときの固定力です。

 

◇中等度の固定

中等度の固定とは、奥歯の前方への移動量が、小臼歯を抜いて得られた隙間の1/4から1/2程度の幅にしたいときの固定力です。

 

◇最小の固定

最小の固定とは、奥歯の前方への移動量が、小臼歯を抜いて得られた隙間の1/2以上の場合の固定力です。

ここからわかることは、奥歯をより前方へと動かしたいときは、固定力を弱くして、反対にあまり動かしたいくないときは、固定力を強めるということです。

 

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